今日から僕ら
- カテゴリ:自作小説
- 2017/04/03 21:42:08
4月1日。
エイプリルフール。
君に告白する。
もちろん午後に。
でも君は嘘だって思っちゃうかな?
君と出会ったのは中学1年生。
端っこにいた僕に喋りかけてくれた君。
そんな君のおかげで僕の世界は明るくなって、4月から高校3年生の今。
周りにたくさんのあたたかい人がいる。
「明日、12時から遊べる?」
「うん、遊べるよ。」
「じゃあ、遊ぼ。」
「うん。」
昨日LINEで約束した。
今は午前6時。
午前中は嘘ついてもいいんだよね。
ならどうかな?
君はどんな反応、するかな?
「実は4月中に祖父母の家に引っ越すことになった…
今日、教えようと思ったんだけど…」
って送ってみる。
「そっか…
元気で頑張ってね。」
あっさりしてる。
君には好きな人がいる。
その人だったら悲しんだのかな?
そう考えたら告白する勇気なんてなくなって行く。
でも時計の針はどんどん12時に近づいて行く。
そして12時前。
君の家の前。
緊張しながらインターホンのボタンを押す。
君の家の中に響くインターホンの音が外にかすかに聞こえてくる。
バタバタと走ってくる音が聞こえて、近づいてくる。
「来た!!中、入って?」
「うん。」
午前中についた嘘を本当だと思ってないのか、いつも通り。
でも、部屋に入ってドアを閉めた瞬間、変わった。
「引っ越すのって本当?」
「いや、エイプリルフールだから嘘ついた…」
「よかった。本当はやだった。元気で頑張ってってのは本当だけど、やっぱりそばにいてほしくて…」
少し頬を赤くして言う君が可愛くて、「ごめんね…」って嘘ついたことを謝る。
「エイプリルフールとかするんだね。」
いつものように無邪気に笑った。
そんな君の笑顔にドキドキとうるさくなる。
君に聞こえてないかな?
静かな密室に2人なんて考えただけでドキドキするのに、その状態に今なっている。
どうすればいいのかな?
「あ、あの…」
「うん?」
「実は、僕…えと…その…」
「なに?」
気になるって言いたいのかずっと見てくる君に、伝えるのにもっと緊張してくる。
「あ…え…」
どうしよ…
好きの一言がのどで止まる。
「す…き…です…」
どんどん小さくなっていった声。
好きな人がいるってこと知ってるよ。
その人が僕じゃないってことも。
でも…
伝えたかったんだ。
「ま、また…嘘で…しょ…?」
顔を真っ赤にさせて顔をそらしてる君。
「エイプリルフールやけど、もう午後だよ…?」
「え、あ…なら…本当…?」
「うん…」
「わ、わ…たし…」
きっと断られる。
好きな人がいるからって。
「好きな人…いる…」
「うん…」
知ってたけど…
知ってたけど辛いな…
「その好きな人…誰かわかる…?」
「ううん…」
首を軽く横に振った。
「目の前にいる人…だよ…?」
それって…
それって…
「僕…?」
「うん…」
「えと…付き合ってください!!」
「はい…」
エイプリルフール。
今日の午前だけ嘘ついて。
今日の正午から本当のことを。
告白を。
今日から僕らは高校3年生。
そして…
今日から僕らは恋人です。
***
サークル用ですが、サークル関係ではないかたも読んでくれていたら嬉しいです(>_<)
エイプリルフール。
午前中嘘ついて正午から嘘をついたことを知らせる。
みたいなとこもあるのですが、日本はどうなんでしょうか?w
正午から嘘をついたことを知らせるということにしていただきました。
短いですが…^_^;
もうね、案が浮かばなかった。
数日遅れのエイプリルフール作品。
ありがとうございました。
儚い世界観が伝わってきて、いい……。
告白にどもる主人公が可愛くて。なんだかリアルで。
彼らの今後が気になります(笑)
美味しいお話ありがとうございましたー!
純情感すごい2人がよかった!
関西弁も好きだった(*≧∀≦*)