Nicotto Town



最後の言葉  ~男~

君が最後に残した言葉。

それを思い出すと、君との時間を思い出すと、あの日から10年たった今でも涙する。

毎年、この日は、君はそばにはいないのに、ケーキにろうそくをたてて、友達と集まる。

友達には、「さすがにもうやめろよ。」なんて言われるけど、誰がなんと言おうと、今日は特別な日。

君が生まれた日。

そう、誕生日。

そして、君と僕が付き合った日。

君はろうそくの火を消せないから、僕が毎年消している。

フーッ

「おめでと~!」

すぐに電気がついて、明るく振舞ってても、僕にとっても、友達にとっても、悲しい日だ。

「あれ?1本、消えてねぇじゃん。」

友達がそう言って、消えてないのに気づいた。

「ほんとだ…もっかいふけよ。」

消そう。

そう思った瞬間、隙間風がふいた。

その隙間風で、ろうそくの火が消えた。

僕は思った。

あぁ、君が消したんだ。

「そばにいるなら、姿見せてよ…」

弱弱しい僕の声が、静かな部屋に響いた。


「ねぇ、聞いて?好きだよ。大好きだよ。」

病室に響いた僕の声に、君はこう微笑んだ。

“私も。もっと早く知ってればよかった。”

目の前で息を引き取った君に、涙が止まらなかった。




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