Nicotto Town



最後の言葉  ~女~

~男~
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彼が最後にくれた言葉。

嬉しかった。

今までにないくらい。

あれから10年たった今。

毎年、この日。

ケーキにろうそくをたてて、歌い、ろうそくの火を消す彼がいる。

今年も。

友達と一緒にケーキにろうそくをたてて、歌い、ろうそくの火を消している。

フーッ

「おめでと~!」

すぐに明るくなった。

ほんのりまぶしく感じた。

「あれ?1本、消えてねぇじゃん。」

たった1本。

消えないろうそくがあった。

明るくなった部屋の中で、うっすらと光っている。

「ほんとだ…もっかいふけよ。」

消したい。

そう思った私は、必死にろうそくに息を吹きかけた。

必死に、必死に。

隙間風がふいて、消えてしまったけど。

「そばにいるなら、姿見せてよ…」

そう弱弱しく言った彼に、姿を見てもらいたくて、隣に寄り添う。

あぁ、見えないんだ…

やっぱり見えないんだ…

ねぇ、気づいて?

ずっとそばにいるよ?

心残りがあるんだ。

一度だけでも、デートしてみたかった。


“ねぇ、聞いて?好きだよ。大好きだよ。”

病室に響いた彼の声に、私は最後の力を振り絞って言った。

「私も。もっと早く知ってればよかった。」

息を引き取り、幽霊となった私が見たのは、涙が止まらない彼だった。

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2017/10/07 14:50
すごくいい話…
感動しました。

短編かけるってすごく尊敬する…
すごい!!



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