Nicotto Town



新・小説 再びの日に

気を使ってくれてありがとう
私は真一をちらっと見て笑った

何かついてる?
彼は右手で頬をそっとなぞった

何やってんだ、おまえ
俺、何も言ってないぞ

店内にBGMがかろやかに流れ
入れたてのコーヒーの香りが漂っている

ここはある大学近くの喫茶店
ガラス張りの大きな窓を通して

行き来をする学生達がよく見える
窓側の席が私と真一との定位置だ

新学期が始まったばかりの学生街
新入生も含め人通りが多い

なぜか真一が急に話題を変え急に話し始める
外を見ると香織が男と腕を組み歩いている

楽しそうに
いつもの笑顔だった

そうなんだと認識した
真一は気づかない振りをして必死に話を進める

春休み私は香織と別れた
2年半の付き合いだった

渋谷の街をぶらついてると
東急ハンズの前で彼女がつぶやいた

ねぇ、やめよう
えっ、なにを

もう会うのやめよう
なんて話を切り出した

その日以来2ヶ月間
彼女とは会っていない

久々に見た彼女の微笑み
そして、この日が私と香織との予期せぬ新たな始まりだった

その3日後
携帯を取ると香織の声がした

今・・・・・・・・・
何してる?

会えないかな?
ちょっとだけでもいいから・・・・・・


つづく




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