Nicotto Town



花筏(はないかだ)

桜の木が恋をしました
ある街の海の見える高台にある若い桜です

名前は桜夫

恋をされたのはすぐ隣の小さな桜の木

その名前は桜子

彼には思いを伝えるすべがありません

そうだ
彼は思いを花びらに託して伝えます

散っていく花びらはいかだとなって
清流を流れていきます

花いかだはそのまま海へと流れていきました
海はにこやかにほほ笑みました

次の日遠く水平線に文字が現れました
それは植物にしか見えない文字です

その時街の人々は
海の彼方に蜃気楼を見ました

はるか彼方の海に揺れ霞む小さな街を
珍しい出来事として見ていました

その中に桜子は愛のメッセージを
見つけました

思いは伝わりました
桜子は同じように花びらを散らしました

流れてきた淡いピンクの花いかだを
海は前よりにこやかな顔をして波にそっと隠しました

次の日も海の彼方に蜃気楼が現れました

それを見た街の人々は
なぜか明るく楽しい気分になりました

なんて今日は気持ちが良い日なんだろう
心地よく春の風が吹いています

その風の中
桜の枝と枝がそっと触れあいました

その瞬間たくさんの幸せの花びらが風に舞い
街へ海へと飛んでいきました


2013年にアップした詩です
桜で思い出してまた出してきました

10年前が経ったのですね
その間に色々なことがあり過ぎました

そして人々が今一番望んでいるのは
平和なのではないでしょうか

 




 

アバター
2023/04/17 01:17
粋生夢詩 様

自分の詩や文章は頭に浮かんだことを文字にしているだけ・・・
そんな感じです

最近は頭も疲れている為か
書く意欲も低下気味です

自分の詩は軽いのに対し
粋生夢詩さんの詩には重みを感じます

内容が濃いというか
何かが迫ってくるように感じています

それは心の叫びのような・・・

感想ありがとうございます^^
アバター
2023/04/16 18:56
こんばんは。
当たり前の話ですが、僕はセカンドさんのように優しいものを書けません。
セカンドさんの作品の中に一貫してあるのは、《芯のある優しさ》ではないでしょうか?
優しさは人を傷つけることも有ることを知ったうえで、
やっぱりそれが無いと人は豊かになれないと教えてくれている感覚があります。
10年前だとは言え色あせないのは素敵です。



月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.