Nicotto Town



タイトル買い


1年ちょっと前に


茗荷谷を散歩した時に

偶然入った児童書専門店。

そこの本棚で見つけた背表紙、

「十一月の扉」。

なんとなくタイトルに惹かれて

本棚から抜いてみると、

「赤いスレート屋根に白い壁の

欧風なアパートメントの前に

自転車から降りてその建物を見つめる少女の後ろ姿」

が描かれた表紙。

「十一月の扉」というタイトルとその表紙から

連想される物語に

久しぶりにワクワクとした気分になった。

中を読んでみたいと思ったのだけど、

縁あって茗荷谷に足繁くくるかもしれない未来に

望みを込めて

その時は、本のページをめくらずに帰った。

のだけれど、

結局、

茗荷谷に期待していた縁ができなかったので

その本のことも

なんとなく忘れてしまった。。

とはいっても

読む本が見つからない時は

アマゾンの欲しいものリストに

その本のタイトルを見つけるたびに

どうしようか、どうしようかと

意味もなく迷って1年半がすぎてしまい。。。

児童書とはいえ

新書だと2000円ちかくするので

安い買い物でもないし、

とこれまた意味のない逡巡を繰り返していたのだけど

ついに

先日

アマゾンで入手。

中古書もあったけど

この表紙絵とタイトルにたいして

中古書は失礼だわ、という

大いなる決意のもと

ようやく手に入れたのでありました。

物語は

タイトルと表紙絵を1ミリも裏切ることがない

素晴らしい内容。

読者評の

「大人になった今こそ読んで欲しい」

に大いに肯けるのであります。

おそらく札幌に住んでいるであろう主人公。

父親の転勤で東京に3学期から転校することになるのだが、

11月から2学期の終わりの12月26日までの約2ヶ月間を

「十一月荘」で一人で過ごすことになった

14歳の女の子の物語。

成長物語、というには少し短すぎる時間だけれど

その短い時間のなかで

十一月荘で暮らす人との交流を経て

閉塞と自由の意味を学んでいく物語。

それにしても

14歳の女の子が一人住まいするアパートという設定なので

当然といえば当然だけど

「十一月荘」に住んでいるのは全て女性。

オーナー兼管理人のもと英語教師の60歳の女性、

小学1年生の娘を持つシングルマザー、

そのシングルマザーの高校時代の友人で建築家でもある独身女性。

主人公が十一月荘に集う人々を

動物に置き換えて紡ぎ出す「ドードー森の物語」を

間に挟んで

ゆっくりとすすんでいく十一月荘での出来事は

この年になっても

憧れのような気持ちで新鮮に受け止められる。

スマホもpcもすでにある時代だけど

電子機器に煩わされないアナログでゆったりとした生活には

もう物語の中でしか味わえないのかもしれない。。

そして

ジュブナイル小説に

年頃の女の子が現れれば

年頃の男の子が登場しないはずはない。

乳歯が抜ける寸前のグラグラ感っていうのか、

はがゆくむずがゆく、淡い二人の関係が

微笑ましくもあり羨ましくもあり。

二人は再会することはもうないのかな?

時折、あのこはどうしているだろう

とお互いに気になりながらも、

それぞれ別の道を歩むのだろうか?

なんてことを考えたり。

でも

十一月荘の住人たちは

みんな大人だから

主人公が住む東京にだってすぐにこれそうだし

その大人を通して

淡い恋心をいだく相手とも

ひょっとしたら繋がり続けられるのかも。。

と、

くれぐれも恋愛のお話ではないのだけど

そんな後日談を

どうしても予感してしまう

エンディングなのでした。

作者は、

高楼方子(たかどのほうこ)さん。

この小説は

「ココの詩」「時計坂の家」に続く3部作最後の作品。

しばらく

高楼方子さんの作品を読み漁る日が続く予感!





アバター
2021/02/23 21:44
あかねさま>>
表紙、惹かれますよね。
児童文学書は侮れません。
難しい言葉が使えない分、
心に響きます〜。
アバター
2021/02/23 20:36
ググってみました~
ホントにキレイな表紙です

私も お気に入りの作家以外は
タイトルや ジャケ買いしちゃうので(笑)
好みに合う表紙って 大事ですよね



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