朝、玄関で出会ったとき
昼間に遊んだとき
夕方に見送るとき
いつもそこにあったもの
今はまだ
慌しさの中にあって
すぐには
沸いて来ないけれど
改めて気付くであろう
見送ったという実感
嬉しさと
安堵と
寂しさの入り混じる
卒園式の
帰り道のこと
冬の名残のように
白く染まった地面
朝日に融けだすと
春を告げる花の姿
少しだけ早い
大地の衣替え
明け方は
こさめ
傘が乾く頃
みぞれ
お昼過ぎ
あられ
夕方の空は高く
夜の街は晴れていた
そんなお天気の日
覚えているだろうか？
野原の向こうに見える
電車を見送ったときのこと
小さな駅の構内で
初めての電車を待ったこと
交替のために降りた
その運転士さんは
シャッターを切ろうとした私の前で
そっと帽子を被せてくれた
初めての電車に乗った
遠足の子ども達は
今日のこの...
日中の風が
春を運んできても
夕方の風はどこか冷たく
夜の降りてきた街の足取りが
どこか重たい
それでも
ふと空を見上げれば
いつもと変わらない
穏やかな風景
ささやかな願いを向けて
明日のことを思う
