珈琲を飲みながら、カフェの入り口を眺めると、お昼時を随分過ぎたのに、席が待つ人が通りにまで並んでいる。
「6月も終わりに近づくと、空いているんじゃなかったの」
北鎌倉の駅を降りてから、敦子は何度も繰り返している。紫陽花で有名な寺を出てからは、言葉に含まれていた棘が、むき出しになっている。
「一枚...
珈琲を飲みながら、カフェの入り口を眺めると、お昼時を随分過ぎたのに、席が待つ人が通りにまで並んでいる。
「6月も終わりに近づくと、空いているんじゃなかったの」
北鎌倉の駅を降りてから、敦子は何度も繰り返している。紫陽花で有名な寺を出てからは、言葉に含まれていた棘が、むき出しになっている。
「一枚...