Nicotto Town



夏の夜の夢 (前編)

異常な暑さが続いていた。いつもならお盆前の一週間くらいしか30度を超えないのに、この夏は、44日連続の真夏日を記録していた。北海道の住宅は、厳しい冬を考えた造りになっていて気密性が高い。圭一が住む独身用のワンルームの社宅も玄関の扉が二重になっている。窓は通りに面した側にしかなく、窓を全開にしても風が...

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夏は、かき氷

カキーン!乾いた金属音を残し、白球は三遊間を抜けていった。カキーン!思いっきり引っ張った打球は、緩やかな弧を描き、レフトの頭上を越えていった。
「キャプテン、気合入ってますね。」フリーバッティングのバッティングピッチャーをしている後輩の高橋が、額の汗をぬぐいながら、話しかけてきた。
明日は、県大会予...

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小説「こころ」 後編

勉強机の上においたメグミンのフィギュアを見ながら考えた。恋とはなんであろうかと。好き(like)には、ポジティブな感情しか生じない。恋(Love)には、独占欲や性的欲求、献身などの苦悩や葛藤が伴う。私のメグミンへの気持ちはlikeだが、K君の高橋李依への気持ちはLoveなのであろう。そう理解した時に...

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小説「こころ」 中編

勉強机の引き出しから、めぐみんのフィギュアを取り出し机の上に置いた。ぱっつん前髪で小柄な体に、黒いマントを纏いとんがり帽子を被った魔法使いのいでたち。ひたすら究極魔法エクスプロージョンを追い求める中二病キャラ。
蛍光灯に照らされたフィギュアを見た。フィギュアの楽しみ方は、壺屋や茶器を愛でるのと同じで...

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小説「こころ」  前編  

コの字型の校舎に囲まれた中庭に、山桜の老木が植わっている。日当たりのよい場所を好む山桜は、校舎で日差しを遮られながらも遅咲きの花を咲かせている。窓側の席のKは、机に片肘をつき、風に吹かれ、時折舞い落ちる桜の花びらを眺めていた。
級友同士の話し声や足音が響く昼休みの教室の中で、端正な顔立ちのKが桜を眺...

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