Nicotto Town


雪うさぎが呟く


牡丹灯籠

夏と言えば怪談。いろんな怪談があるけれど、小泉八雲の怪談もすごいけれど、どれが一番好きかと聞かれたら、たぶんこれをあげる。

視覚的に、美しい女が華やかな灯籠を下げて、おつきの小女を従え、夜、恋しい男を訪ねてくるというのが良い。

だが、この男はいただけない。理想の女が見つかったのに、それが死霊であると言うだけで退けようとする。それもお札を貼って無理矢理に断ち切ろうという強引さ。

私が女でも「きい~、く、くやしい!どうしたって取り殺してやるわ!」と思うだろう。

永遠の愛を誓い、自分の一生を終えるまで待ってくれと、縷々切々と口説いてみたって良いではないか。それで駄目ならお札をはるとか、ものには手順というものがあるだろうと言いたくなる。

どう見てもこの男、モテる自分に舞い上がり天狗になったアホである。だが実にいい男という設定なので、見た目でころりといく女も女か・・・

若い間は、男も女も見た目に引きずられ、相手の本質など二の次になるということなのかなぁ。

それでも、カランコロンと涼やかな足音を立てながら、男の元へ通う美女。やはりこのイメージの美しさには惹かれる。

これは中国の作品を日本に置き換えて作ったものだけれど、その元の本の中で忘れられない話もいくつもある。

一つは、悪いことをたくさんして、人の恨みを買いながら財産を作った男が夢を見る。夢の中で、昔だまされて恨み死にした男が「さあ、取り返すぞ」と門から駆け込んでくる。

目を覚ますと「奥様が男の子をお産みになりました」と使用人が知らせに来る。
で、この男の子というのが、病弱で医療費がわんさとかかり、粗忽者で家宝は台無し。うっかりもので火事を出す・・・とさんざんなヤツ。

あっという間に家が傾いてしまうと言う話である。何でこの話が記憶に残るかと言えば、私には息子が3人いる・・・・

もう一つ、強烈で忘れられない話は、独り者の学生のところへ、昔の友人が訪ねてくる。明かりを嫌って、遠い部屋の隅から話しかけてくるのが、郷里の自分の親への頼み事。




月別アーカイブ

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.