Nicotto Town


ドリーム・バー 「デスシャドウ」


インター・ミッション(休憩)


 昔、小説家「西村京太郎」に憧れて、ミステリー小説を書いてました。まあ、西村氏に影響されたせいもあってか、鉄道を題材としたトラベルミステリーを書いていた訳ですが、刑事物ではなく、探偵物を書いてました。主人公の『谷本 治』と『春田 貴史』の二人がいる春谷探偵事務所が、様々な事件を解決していくと言うストーリです。


 同日、16時過ぎ。
 高知とはうって変わって、京都市にある府警捜査一課の一室ではバタバタと人が飛び交っていた。三時間程前、南区にある東寺で死体が発見されたのだ。
 「警部、仏さんの身元が判明したそうです。山岡 総一郎、東京、新宿で宝石店を経営しているとのことです。」
 先程まで電話をしていた刑事が男に報告した。
 「新宿か。すぐに警視庁に協力要請を取って、男の身辺を調べるように伝えてくれ。」
 デスクで事件調書を作成していたむさ苦しい男。捜査一課の警部である木村は、伸びをしながら気怠そうに部下に命令した。
 「分かりました。  あれ、どこかへお出かけですか?」
 「今日は例のやつでね、あとは宜しく頼むよ。 そうそう、害者の死亡推定時刻が分かったら、すぐに連絡してよ。」
 「あっ、警部ー。」
 あっけに取られている部下を後目に木村は部屋を出ていった。


 国立京都国際会館。左京区にある国際会館だ。夕闇迫る17時半、木村はそこにいた。今日ここで、鉄道研究会の定期発表会が行われる。彼はこの会の会員で、支部長でもあったのだ。
 「あっ、警部。いらっしゃい。」
 紺色のスーツ姿の青年が木村に声を掛けた。年齢は二十歳前後だろうか?
 「よう、谷本君。元気そうだね。」
 彼は右手を挙げ、青年の挨拶に答えた。
 「警部こそお元気そうで何よりです。所で、仕事の方は大丈夫ですか? 確かさっき、 ニュースで殺人事件が起きたことを伝えてましたけど。」
 谷本と呼ばれる青年は心配そうに声を掛けた。
 「ああ。実はその事で、君に少し頼みたいことがあるんだ。後でちょっといいかな?」
 「三十分位なら構わないですよ。今日の事は先生に言っておきましたから。」
 「そうか。 ん、そろそろ始まるな。 中に入ろう。」
 木村は腕時計を見ながらそう言って、二人は会館へ入っていった。一時間程の発表会も終わり、二人が外に出た時にはすでに19時を回っていた。
 「で、警部。頼みとは一体、何でしょうか。」
 水を飲みながら谷本が聞いた。熱帯夜で気温が三十度を超えているせいもあってか、彼はグラスの水を一気に飲み干した。
 「実は探偵見習いの君に、調べて欲しい事があるんだ。」
 「何でしょうか?」
 彼は身を乗り出して聞いた。手には手帳を持っている。探偵は聞き込みが捜査の命と言う事を先生から聞いていたからだ。
 「先程電話を掛けたら、害者の死亡推定時刻が13時前後で、死因が青酸性毒物による窒息死という事が分かったんだ。」
 「青酸性毒物ですか。」
 「そうだ。で、害者の京都での行動を君に調べて貰いたいんだ。必要な情報は後で事務所の方にファックスする。」
 木村は一端ここで区切った。丁度ウエイトレスが料理を運んで来たからだ。
 「警察の固まった視点じゃなく、一般人の君に頼んだ方が違った視線で物事を見られるからなんだが。 いいかね?」
 「いいですよ。二年程前に警部に出会ったのも縁ですし、先生に紹介してくれたのも警部でしたから。 ただ、経費の方は・・・・。」
 「それは心配しなくてもいい。毎度の事だからね、大村探偵事務所に依頼するのは。おやっさんも了解済みだよ。」
 「了解済みって。 じゃ、今まで何回か先生に依頼されてるんですか?」
 「まあ、持ちつ持たれつって事だな。おやっさんの依頼を受けたこともあるし。」
 「そんな関係だったんですか? 警部と先生って。」
 「意外そうな顔をしてるな。まあ、おやっさんが一課の警部だった頃、俺はまだ駆け出しの刑事(デカ)だったからな。もう二十年位前の話だが。丁度、君と同じ位の年齢だったかな。」
 「じゃあ、四十ですか?」
 「いや、四十六だ。デカになる前は交番勤務だったからな。」
 「じゃあ、先生とは長い付き合いなんですね。」
 「ああ、俺のデカ師匠だよ。」
 「師匠ですか・・・・。」
 「そうだ。」
 その時、木村の携帯電話が鳴った。
 「はい、私だ。うん、分かった、今から帰るよ。」
 携帯を切った彼は、溜息をついて言った。
 「害者の家族が到着したから、早く帰ってこいってさ。全く、飯ぐらいゆっくりと食わせて欲しいもんだよな。」
 「家族ですか。」
 「ああ、俺の一番嫌な仕事だよ。仏さんと家族を引き合わせる作業っていうのが・・・。さて、ここの支払いは俺が済ませて置くから、君は例の件を頼んでおいてくれよ。」
 そう言うと木村は料理を半分以上残したままレストランを去っていった。


いかがだったでしょうか。 次回へ続くかも?(原作より抜粋)

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2010/09/01 01:22
かぐらさん・李桜さん・gauさん

 皆様、本当にありがとうございます! そう言って頂けると、作者冥利に尽きますね!
でも、物語を考えたのが僕が高校生の頃なので、何ぶんトリックが上手くいってるかどうか分かりません。一応、校正をかけながら「一太郎」で制作させて頂いておりますので、多少の時間は必要です。何とぞご理解の上、読んで下さい。
 ちなみに、ニコッとのブログへはコピーさせて貰ってますので、一日に3~4ブログほど掲載する可能性があります。(ニコッとのブログ文字数が2000文字以下しか掲載出来ない為)
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2010/08/31 21:36
物語を作れるってこと自体がすごいのに、
ミステリーだなんてますます、ですねー!
一体どういう風に考えたら、話とトリックが
考えられるのか、製作秘話も気になってしまいますb

それだけに続きもぜひ!
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2010/08/31 08:18
西村京太郎氏、好きですww
最近はホラー系が多いのですが、ミステリも社会派もよく読みますよw
(此処のところ、なかなか時間が取れないのでご無沙汰ですが^^;)
御手洗潔とか、好きですよ^^

続きが楽しみです~❤
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2010/08/31 06:42
続きを楽しみにしてま~す! ^O^



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