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鬼へのラブレター


1200年近く前に、ご先祖様は都に出た大イノシシを追って東北に入ったと伝えられている。
地名や寺社の伝承など沢山の言い伝えと合致するので、事実だろう。
だから、ところどころしか記録がないものの、古い家系であることは間違いがないと思う。
そこで、勝手に私自身は48代当主を名乗っている。

その頃は、東北に住んでいたのは蝦夷(エミシ)と呼ばれた人々であり、種々の理由から初代はエミシの女と京の武人の組み合わせから生まれたと想像している。
はじめは双家であったと伝えられる。
家系を絶やさぬために、二つの家を興したのだ。
エミシの女が二人いたことは間違いがない。
その後900年経って、飢饉で一方の家は消滅した。
江戸時代の記録には「禿」とある。

おそらく、坂上田村麻呂の奥州征伐と同様に何度も何度もエミシたちは殺され続けてきただろうその上に、私の家系が成り立ってきたのではないかと思っている。
初代の頃はエミシと倭人(わじん--エミシに対抗するためにあえて当時の朝廷側の人々をそう呼ぶ)の融和を図るために、鬼と呼ばれていたエミシ側が和睦のために女を差し出したのだろう。
坂上田村麻呂の父である苅田麻呂に由来の地域でもあって、苅田麻呂にしてもエミシの言葉が良くできるために奥州へ派遣されたと記録にある。
顔が赤くて多毛な人だと書いてあるので、エミシ出身であるかエミシの血を引いていたのだろう。

血は薄まっているかどうかは知らないが、東北に住んでいる人の多くにもエミシの系統は少なくないはずである。
縄文人と弥生人、蝦夷と倭人、賊軍と官軍、古代から近代までの歴史は東北に住んだ人が戦いに敗れ続けたことを示している。
鬼と呼ばれ異界人であったエミシたちは、もしそのまま攻め滅ぼされなかったなら、どのような世界が東北にあっただろうか?

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