ある男の人生
- カテゴリ:日記
- 2011/01/31 23:26:36
彼は指をつめている。
いわゆるエンコ詰めというやつだ。
それも、小指二節と薬指一節だから、三度短刀(ドスと言った方が相応しいだろう)で切り落としたのだろう。
事故などで失ったのではない。
ろくに小学校や中学校に行けなかったらしい。
家庭環境がそうなのだ。
食うや食わずで育って、食わせてくれるのがヤクザだったから、彼もヤクザになった。
事件を起こして、少年院に入った。
そこで、ようやく勉強するというか、読書の時間がもてたのだそうだ。
食うことを心配しなくて済む環境になって、物事を考える余裕が生まれたのだ。
深い交友関係にはないが、一緒に飲めるくらいの仲ではある。
彼は人を殺してはいないが、同じようにヤクザにならざるを得なかったやつの中には、日本刀で相手を殺したのもいる。
指をつめるというのは、そのようなしくじりをしたと言うことである。
兄貴分の金を使ったとか、彼女を取ったとか、そのようなことだ。
彼は、いまは足を洗って堅気である。
暴力団の資金源になるわけでもないから、時々仲裁人を請け負ったりする。
彼のやり方はこうだ。
いきなり土下座するのである。
見知らぬ相手が、もめ事の仲裁に入ってきて、土下座をするのだから、相手は驚いてしまう。
それで、凄味をきかせてエンコ詰めをした手で自分の顔を覆うのだ。
ぼそっと言う。
私の顔を立てて、話を納めちゃくれませんか…




























理由もなく悪いというか、そういうのは限られた人間だろうと思いますが、そのような人間も見たことが何度もあります。
生まれつきというのも、環境がそうさせるのもいると言うことですね。
一度そのような仲裁の現場に立ち会ったことがありました。
確かに下手な弁護士よりは迫力もあって、効果的ではあります。
良いことなのかどうかは、疑問の残るところではありますが…
いろいろな人生があるんですね。
でもその仲裁の仕方は迫力ありますね……。
へたに弁護士とか入れるより効きそうですね。