Nicotto Town



ビクトリア朝



ニューヨーク豪遊をしていた頃、
ザガット夫妻の評するレストランランキングで、各ジャンル上位から順に全ての店を食べ歩いていた。

その中にはロシアン・ティールームあり、マキシムあり、ブーレイもあった。
今はどうか知らないが、当時、ニューヨークで最高のレストランはブーレイであって、
ザガットの評価でも数年連続で首位の座を守り、点数は常に29点であった。

ザガットのチェック項目は、いくつかあって、
全てをパーフェクトと評されると満点の30点になるのだが、
ブーレイは常に29点であった。

コメントに曰く

  ブーレイに、もし欠点があるとするならば、予約の取れないこと、ただそれだけ。


正式にニューヨーク社交界で遊んだ訳ではないので、実際の事情は知らないが、
友人達の囁く、あれはアンディー・ウォーホールを弄んだ最後のジゴロだとか、あれは誰々の愛人だ。
などというゴシップを肴に、美術館巡りと食べ歩き&飲み歩きに勤しんでいた。

日本で、売国奴養成委員会に洗脳されたヒステリックで偏差値の低い、
わが身を顧みず子供に無理難題を押し付ける教育ママ達には、卒倒しそうな言葉だろうが、
ニューヨークでは「階級」というものが厳然とあって、
誰もが、抗えない立場の違いというものを受け入れた上で努力している様を、渡米中、何度も目の当たりにした。

全てが平等で、義務も果たさず権利を主張する、努力もせず結果の平等を求める、
お気楽能天気で時代錯誤の空想的社会主義者の夢物語は、日本だけでの戯言だということを、
私はニューヨークで確信するに至った。


東洋人は、最低ランクに属していた。
ブーレイやそういったお店に出入りする日本人は大抵、
外務省や通産省など高級官僚の奥様方、渡米中の議員様や奥方、とその取り巻き、
日系企業のにわかハイソ奥さん連中、もしくは愛人グループ、というのが普通であった。

日本では全く意味の成さない言葉であり、むしろネガティブに扱われることが多いが、
公家の出というステータスは海外では相当に威力を発揮するらしく、
苗字からもすぐわかる公家出身の現地駐在の友人が、色々手配してくれて、平民出身の私はそのお零れに与っていた。

いい席は、常にフランスやイタリアの爵位の流れを汲む白人や、
もしくは WASP の生き残りが占めていて、私など極東からの迷い者は、トイレの前であったり、出入口の付近であったり、
最悪とまではいかないが、ベストの席に案内されることは、まずなかった。
それでも、オーダーの仕方やワインの頼み方を、支配人が聞きつけつけると、
前後左右、五席程がリザーブされ、花が飾られ、銀食器が並べられ、
ヌーベル・キュイジーヌ以前の正式な晩餐会の手法に則った、
即席ながらも、豪華で居心地のいい空間を作り上げてしまう手際のよさには感心したりもした。


そんな中、よく彼ら上流志向の口から、「父はビクトリア朝の家庭に育ち」とか、
「母はビクトリア朝の・・・」という言葉が出て来た。
私は、この「ビクトリア朝の」という修飾語の意味するところが分からなかった。

「エリザベス朝の」と言えば、結婚せず男を従えたエリザベスⅠ世の力強さを指すのだろうが、
「ビクトリア朝の」となると、ビクトリア女王のどの部分を指すのかが分からない。
ビクトリア女王が、夫アルバート殿下を愛し、夫没後は長く喪に服していたというのは、歴史的事実として知っている。
しかし、その何を言わんとするのか、もう一つ分からない。
ビクトリア女王の治世は、繁栄と貞淑を備えたヨーロッパ社会の理想なのだろうか?

彼らは、「ビクトリア朝の何々」という言葉を、
自分たちの素性を補完でもする枕詞のように、高らかに謡い上げる。

否、むしろ無意識に使っているのだろう。
ビクトリア朝の家庭という言葉に疑問や非難を向けるヨーロッパ人はいない、という大前提があるのだろう。


先日、『プラダを着た悪魔 』のモデルになった、アナ・ウィンターのドキュメント映画を見ていると
彼女も自分の素性に対して、「ビクトリア朝の家庭で育ち」という言葉を使っていた。
ファッション業界に君臨し、ヴォーグという壮絶な部数を誇るファッション雑誌の編集長という肩書きで、
全世界の服飾業界を牛耳る彼女ですら、ビクトリア女王に頼らざるを得ないというのは、
どういうことなのか、少しビクトリア女王について調べようと思う。


興味がわいてきた。


 では、また。。







 

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2011/08/05 15:12
遊佐 さん

 うんうん。。^^
頑張れ~~ヽ(´▽`)ノ♪
ヒュ~♪ヒュ~~♬
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2011/08/05 15:08
そうですね

時間的にも心にも余裕ができたのなら
ふらっとまた、戻ってきます

ありがとうございます^^
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2011/07/18 03:29
紫〔ゆかり〕 さん

 www
王族好きだし、フランス好き!^^
あの階級の公用語はフランス語だった!@@!

ボリュームは普通だったよ。。
日本より若干多いかなっていう程度、
東京だったら、ヒラマツでアラカルト頼んだ程度のボリュームかな。。^^;
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2011/07/17 23:01
アメリカ人って王室とかそういう階級主義から逃げ出して国を作った人達なのに
なんであんなに王族大好きなんだろうね?
昔の南部の黒人奴隷にしても階級大好きがそうさせた気がするし。
アメリカンはイギリス人よりも英国王室を愛してる気がするのは間違いじゃないと思うw

で、N.Yの高級レストランって一皿のボリュームはどうなんだろう?
やっぱりメガサイズ?




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