Nicotto Town



読書ノート/「百万のマルコ」/柳広司


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読書ノート

「百万のマルコ」

 
 柳広司

図書館の本です。

前回、大変に興味深かった「ソクラテス最後の事件」で、
個人的に大注目の柳さんの他の作品も是非!と
予約を入れておいた本がようやく手に入りました。

という訳で、楽しませていただいたのですが、
いやはや。
面白かったです。

マルコとはマルコポーロ。
黄金の国ジパングの描写からしても、
嘘八百?は言い過ぎでも、
面白おかしいけど事実とは言い難い、トンデモ旅行記で有名な、
あの、マルコ・ポーロの事です。

国同士の諍いの為に、
海賊行為の被害者の様な形で
一方的な理屈で牢獄に放り込まれた私、
劇作家の「私」と、
自称「仕立て屋」「神職者」「船乗り」「貴族の末っ子」等々、
災禍に巻き込まれた人々が、
身代金を払って貰えるまで
閉じ込められていた牢獄にやってきた新入りマルコ。
これが、
見たことも無いくらいの見苦しいボロを着た
シミだらけの見るからに薄汚い爺様なのに、
一日二食の食事以外に何の楽しみもなく、
薄い豆のスープを掛けて賭け事をする位しか、
楽しみが無い、
そんな彼等に、ひと時、この狭く退屈な牢獄から
連れ出してあげよう。と
話してくれる、
トンデモ旅行記とその旅先で振って沸いた謎掛けの話。

その話は必ず、
「という訳で、私はこのような無理難題を押し付けられた訳だが、
私は莫大な宝物を得たのである。アーメンアーメン。神に感謝」

と、いう風に、
如何にしてその難題を乗り越えたのかは語らない、
人を食った話に、
その話はちょいとおかしい!
と、
問いかける一同に、ひとしきり話させておいて、
正解が出ない中、
実は。と真相が語られるという形をとっているのですが、

これがいやはやまったく、
本当に人を食った話でwww

それが面白い。

百万の(イル・ミリオーネ)マルコ
はほら吹きマルコという意味があるそうで、
察するところ、大風呂敷のマルコといったところでしょうか。

東方見聞録よろしく、
笑うしかない日本他の異国描写が
大変に面白いのですが、
これを聞いているのが、12世紀のイタリアの
牢獄の住人。ともなれば、

見知らぬ土地への憧れは
自由への憧れと共に
大きく育ち妄想の空へ羽ばたいたのであろうな。と
思うとソレも楽しい。

いやはや。堪能しました!



★★★★☆



*・

良太郎の星の数は、

星5…凄く面白かった+感動した。
星4…凄く面白かった(読み返したい)
星3…面白かった
星2…面白かった気がする。
星1…時間つぶしになった。
星0…読むのに掛かった時間を取り戻したい。


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それが、該当作品の価値を左右するものではありません。





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