Nicotto Town



読書ノート/「春季限定いちごタルト事件」米澤穂信




読書ノート

「 春季限定いちごタルト事件 」
「夏季限定トロピカルパフェ事件」
 
米澤穂信 著


先日楽しませていただいた、
「犬はどこだ」
が大変に面白かったので、
既刊のミステリを借りてきました。

面白かったです。!!

近藤さんのタルトタタン以降、
グルメ&ミステリという
分野に激しく心惹かれて居たところ、
気になる作家米澤さん+グルメ&ミステリ
という豪華三本立て。

みたいな本があった訳で、
これで借りなきゃ嘘だろ?

ってな訳です。

舞台は、とある高校。

主人公はぴかぴかの高校一年生。
小鳩君と小佐内さん。

一年生になったら♪
一年生になったら♪
友達百人できるかな?

という小学校入学時のトキメキ?
から
程遠い高校一年生。
既に学校生活における人間関係の難しさも
そこそこ学んで、夢も希望も
身の程を知るお年頃。

とはいえ、
やはり新しい環境を得れば、
新しい展開を期待するもんですが、

際立つ個性故に、
中学校生活で其々トラウマを抱えたが故に、

小鳩くんは所謂、
工藤新一的な頭脳明晰イケスカナイ小僧人生を終え、
小佐内さんは、
執念深いカウンターアタックを狙う根性を捨て、

これからは
目立たず穏やかに周囲に埋没する小市民として暮らして行くのだ!


猫も杓子も個性個性。
目立ったモン勝ち。
遊園地の遊具を止めるのも自慢。

な今日この頃の流行を逆行する欲望に身を任せようという。

残念ながらやはり、
極めて個性的な欲望を持つ二人なのですが、

中学校時代まで好きで育てた個性が
そう簡単に捨てられる訳も無く…

という訳で、

有印文書偽造事件と、
営利目的による未成年者略取
という二つの事件と
関るというのがこの二冊の物語。

面白かったです。

良太郎♪はどこに出しても恥ずかしい、
辛党酒飲みなもんで、
小佐内さんが小鳩くんを従えて
ウキウキと巡るスイーツのお店とは
余り縁がないのですが、
本というのは、
実際に食べなくても味を妄想出来るという点において、
都合良く甘味加減を妄想上で修正できるという
素晴らしい利点が!!

という訳で、

いちごタルトって言うとアレだよねー?
トロピカルパフェというと…と

メンクイゆえに、
食うのはどうもアレだが、
見るのは大好き!!な
スイーツを色々妄想しながら楽しませていただきました。

小さくて細くて一見おとなしい日本人形みたいな
可愛い小佐内さん。
甘いものが大好き!
なんて可愛いにも程がある!というカンジなんですが、
小鳩くんと共に心の底に薄暗いものが・・・。

人間生きてりゃ当たり前に色々あるよね。
警察官でも裁判官でも高校生でも小学生でも。
その時々に
その人の人生においては重大な薄暗い何か。

明鏡止水の心持というのは、
武士道と同じで容易くないからこそ、価値がある訳で、
聖人ではない主人公達が、
思い悩みながら
事件と関り、
犯人や相手について思い悩み、
そして自らを振り返ってまた思い悩む。

結局ずーっと思い悩み続ける訳なのですが、
それが大事。って
思える物語でした。

面白かったです。

スカッと爽快な面白さ!
という訳ではないのですが、

噛めば噛むほどに面白さが染みてくる。
そんな作品でした!

と言うわけで、

薄暗く思い悩むあたりに、
歓喜に満ちた、凄く面白かった!!という
言葉は似合わないのですが、

しみじみと面白い。と
思い返す作品でしたので、
準星四つでございます。





★★★◆☆








良太郎の星の数は、

星5…凄く面白かった+感動した。
星4…凄く面白かった
星3…面白かった
星2…面白かった気がする。
星1…時間つぶしになった。
星0…読むのに掛かった時間を取り戻したい。

全ての感想はあくまでも個人的な感想であり、
それが、該当作品の価値を左右するものではありません。






Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.