Nicotto Town


雪うさぎが呟く


M君のこと

記憶って、呼び起こすことができなくなるだけで、消えてしまいはしない、という。何かがきっかけでふっとよみがえってくる。自分では憶えていないのに・・・不思議だなぁ。

少し前のこと、お茶をこぼしてしまって、雑巾で拭いたことがあった。そのときに思い出したのがM君のこと。

私が小学校一年生だったとき、同級に彼が居た。小柄で色白。丸顔。黒い学生服に学生帽をかぶった彼はいつも着物姿の母親に背負われて登校してきた。

母親は、小さな木の椅子に彼を腰掛けさせると、担任の女性教師に何度も頭を下げて教室を出て行った。

いつも同じ黒い襟の黄色っぽい着物に、無造作に巻いた髪型は,まるで昔の人みたいで、卑屈なほど頭を下げる姿と共に、すごく場違いだったと思う。

M君は、人形のようにずっとそのまま教室に居た。昼前になると、また迎えに来た母親に(もしかしたら祖母だったのかな?)背負われて帰っていった。

M君は障がい児だったのだろうが、見た目や行動ではわからず、とことん静かなヤツとしてただ存在していた。

ある日、悪がきの男子が、休み時間になって叫んだ「わぁ、Mがしょんべんたれてらぁ!」
近くの席だった私も見ると、彼の椅子の下に水溜りができていた。

とっさに拭かなきゃと思って、掃除道具置き場から雑巾を取ってきて拭いた、そのときの感じがこぼしたお茶を拭いたのと同じだったのだろう、突然よみがえった思い出。

子供だった私は、服まで濡れていると教師に言うことを思いつかなかった。彼は帰るまでそのままいつもと同じにただ居た。

その後の彼は、憶えていない。支援学級とか、まだ当たり前でない時代。私はそれからいろいろ経験して今まで生きてきたけれど、彼はどうしたのかなぁと思う。

「先生、おしっこ」さえ言えない子供に学生服を着せ普通クラスにつれてきた親心も、自分が親になったからわかる。ちょっと悲しい思い出・・・

アバター
2013/05/05 22:13
親になってわかること・・・色々ありますね。
切ない悲しい思い出ですね・・・何度も先生に頭を下げるお母さん・・・誰も何も悪くないのにね。
アバター
2013/05/05 17:33
切ない思い出ですね。

私の時代には支援学級がありました♪
同級生のAちゃんと30年振り位に
病院で再会しました♪
Aちゃんはお母さんに付き添われて
元気そうでした♪♪



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