Nicotto Town



読書ノート/「贖罪のソナタ」中山七里




読書ノート

「 贖罪のソナタ  」
 
中山 七里  著



面白かった!!!

基本設定がかなりリスキーなんですが、
物凄く面白かったです。

物語は、死体遺棄の場面から始まり…
悪辣な敏腕弁護士が
あっけに取られる様な法廷戦術を計画し実行に移そうとしています。
弁護士事務所では嫌がらせが続く、
そんな
悪徳弁護士が主人公なのです。


が。

切ないほどに暖かい、中山作品が、
それで終るはずも無いのです。

読んでいてホロリ。と

最後は悪徳弁護士の無事を祈りつつ、
本を閉じる結末となりました。

ネタバレが惜しい名作なので、
詳細は伏せますが、
基本設定のリスキーさは、
悪徳弁護士。ではありません。

ちょっとビクッと来るあの事件を
モデルにしている…

私達は、いや、私は、凶悪事件をワイドショーで見る時、
解る筈も無いと思いつつも、
何故その事件が起こってしまったのかを
知りたいと思います。
それは、
正体がわからない恐怖に名前をつけたいから。
精神科医や警察がつける名前は、
本当の意味で信じられないです。
それは実際の法廷に立ち寄らないからというのもあるでしょうし、
また、
精神科医という学問がまだまだ発展途上のモノであり、
また、外科的処置の様に、
幹部を客観的に公開出来ない以上、
医師の恣意的な解釈により、
真実?を曲げられる危険性がある。
という危惧があるからです。

だから、

ショーアップされたワイドショーという
限られた窓から見えるモノであっても、
自分の目で判断したいと、
私は事件を追う訳ですが…

所詮はショーアップされた番組が見せるモノ。
それは、
あらかじめ、視聴者の求めるものを見せて、
視聴率を稼ごうとする極めて明確な意図の果てに
作られたものであり…

それを見て判断する事の危険性も
忘れてはならず…

という、

複雑怪奇というか複雑骨折したというか、
悩み多い視聴と感慨に浸る訳なのですが、

この物語もまた、
その懊悩深い闇に切り込んでいます。

希望的観測というか、願望的展開である。
というそしりは免れないとは思いますが、
奇麗事は誰かが言い続けなければならないのです。
希望は誰かが掲げ続けなければならないのです。

そして、それが、
こうした物語で語られる。
そのありがたさ。

大変に面白かったです。




★★★★★






良太郎の星の数は、

星5…凄く面白かった+感動した。
星4…凄く面白かった
星3…面白かった
星2…面白かった気がする。
星1…時間つぶしになった。
星0…読むのに掛かった時間を取り戻したい。

全ての感想はあくまでも個人的な感想であり、
それが、該当作品の価値を左右するものではありません。





Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.