Nicotto Town



阿伊を出たのは

、事代としての霊威をもつ人と人の間だけでしか為されようがなく、他の者には、そこで何が起きているのかも知りようがなかった。

 そういえば、事代に徹している高比古と長く一緒にいるのは、狭霧にとって初めてのことだ。これまで狭霧が一緒にいた時の高比古は、事代というよりは、戦を指揮する策士や、狭霧に技を教える薬師として過ごしていた。

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「……あの、高比古。今、何をしようとしていたの?」

 尋ねると、高比古は狭霧を見上げて、苦笑した。

「今、何をしたか? ――佩羽矢と話そうとしたんだよ」

「佩羽矢さんと? 神事を経て、好きな時に話ができるようになったっていってたけど――」

「ああ。でも、できなかった……。おれと佩羽矢の間にあるどこかで、小さな嵐が起きている。そのせいか、おれとあいつが離れすぎたせいか――こうなった理由すらわからない……」
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 高比古は、辟易という風に肩を落とした。

「そういえば、遠賀であんたが浚われた時も、おれはあんたを探すことができなかった。あれも、地形のせいだ。あんたが匿われた浜里の裏に大きな崖があって、その向こうを探すことができなかったからだ。そのうえ、崖をこの目で見るまでは、おれは結界があると勘違いしていた。――おれたちは、崖や嵐を結界と感じることがあると、それも、その時に知った。つまり、事代の技というのは、偶然を見極める力なんだ。神野(くまの)の巫女のように、力を使うたびに何かを失うわけではないが、地形だの雨だの嵐だの、偶然に踊らされる――困ったな」
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 高比古は、目元を手のひらで覆って、長いため息をついた。

「桧扇来――ここへ」

「は、はい!」

 呼ばれると、桧扇来は、衣の長い裾をはためかせながら小走りでやってくる。桧扇来が自分の足もとにひざまずくのを待って、高比古は命令を伝えた。

「おまえ、今、杵築(きつき)か意宇(おう)にいる誰かと話をすることができるか」

「話……ですか? ――精霊が多くて、ここでは無理です。夜になって風が変わるのを待つか、ここを少し離れたら、できると思いますが」

「――おれも同じだ。わかった。では、ここを離れろ。――おい、誰か――三穂(みほ)にしよう。三穂、こいつと一緒にいってやれ」

 高比古は部下の武人に声をかけて、桧扇来の守人役につけることにした。

 桧扇来は、目を丸くした。

「わ、わかりました。ですが、いったい、杵築に何をお伝えに――?」

「大国主に同行している事代の誰かに話をして、今、おれが佩羽矢の気配を探すことができないと、安曇に伝えさせろ。理由は不明。でも、思い当たることがあるから、原因を取り除くべく、これから山道を移動する。そう伝えて、指示をあおげ」

「はい、わかりました」

 桧扇来は、従順にうなずく。それを見届けると、高比古は、一行に出発を告げた。

「では、いこう」





 阿伊を出たのは、武人たちと狭霧だけだった。山の旅に不慣れな香々音(かがね)や侍女たちは、阿伊の離宮に留まることになったからだ。

 阿伊の離宮を出た一行は、谷筋に沿った野道を通って、さらに山奥へと進んでいく。

 山奥とはいえ、山と山の間にはひらけた野や、そこに流れる大川がある。出雲の内陸奥深くへ続く野道は、そういう小山の際や、谷に沿って続いていたので、木々をかきわけて進むというわけでも、際立って傾斜のきつい坂道を登るわけでもなかった。

 ただし、道は、進みやすいすいなだらかな地面に続いていたので、かなりくねっていて、遠回りを強いられることになった。

 野道はやがて、山深くにある小さな里へとつながる。その里を見つけるやいなや馬を駆けさせて先に向か




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