Nicotto Town



ユータが言う

ようで、指導者と体格矯正に恵まれたら、将来バロンドールも狙えるポテンシャルがあると評価するクラブも多かった。
 確かにそうなれれば嬉しいが、僕の体が今更大きくなる保障もない。そんな不確定な要素にかけるよりは、まだ頭脳の方が伸びしろがあるように思えた。
 僕は構え直し、もう一度バットを振った。
「――さあ。正直今はよくわからない。日本に帰って、<a href="http://www.shjkzc.com/" title="プーマ">プーマ</a>
自分の生活がどう変わるかもわからないし、帰って少し落ち着いてから、じっくり考える」
 とりあえずそう言ってお茶を濁す。報道陣にもよく言う建前だ。
 そう言ってから、僕はバットを下げ、ピッチに杖のように突いて立った。
「ただ――やっぱサッカーってのはいいスポーツだと思うよ。将来、仕事になるか趣味になるか、他の関わり方になるかはわからないけれど、できればこの先もサッカーに関わる何かができたらいいなとは思う」
「へぇ…<a href="http://www.shjkzc.com/その他-cyqn1q1-8.html" title="スニカー">スニカー</a>
…」
 ジュンイチが含み笑いを浮かべた。
「その台詞、野球のバット持って言う台詞かよ」
「これは僕の調整法なんだよ」
「お前、3年間ずーっとバット振ってたもんな」
 ユータが言う。
 僕は、この華奢な体格のために、体の回転を使って蹴るボールに威力を与えてきた。体の回転――つまり腰を軸とした遠心力運動、それには体の軸、体幹を強く意識することが重要だ。
 色々試行錯誤した結果、僕がそれを意識する一番の調整が、このバットの素振りだった。中学時代は打率6割を誇る好打者だった僕は、中学3年間、嫌というほどバットを振っていたし、打撃フォームは体の軸がしっかりしていた。バットも腰の回転で振るという原理は同じだし、実際にボールを蹴るよりも体の負担が少ない。威力あるボールを蹴るために、野球経験者の僕が独自に取り入れた調整法だった。多分中学時代からバットを振っていた僕以外には意味のない調整法だ。
「それだけバット振ってりゃ、元々足と守備はすごいんだ。少しの調整で甲子園のスターどころかプロも狙えそうなもんだが――お前、もう野球に未練はないのか?」
 ユータが訊いた。ユータは僕をサッカー部に一方的に勧誘したため、僕が無理して野球を捨てたのではないか、いまだに心配なようだ。
「ない」
 僕はバットを構え直した。
「初めは色々迷ったし、サッカーに思い入れもなかった。成り行きでやっているだけだったが、それでも続けられたのは、サッカーが嫌いじゃなかったからなんだろう。今ではサッカーを楽しいと思ってやっているし、サッカーが好きだと思っている」
 そうだ、今はサッカーが楽しい。
 今まで、そう思ってサッカーをしたことはなかったけれど……
 それに、サッカーを通じて、<a href="http://www.shjkzc.com/pumaプーマ-cyqn1q1-1.html" title="スニーカー">スニーカー</a>
お前達と出会えた。サッカーを続けていたからこそ、今の僕がある。
 僕は十分、サッカーをやってきた甲斐があった。プロになんてなれなくてもいい。それだけで十分だった。
「ユータ、ジュンイチ」
 僕は二人に背を向けて、バットを構え直した。
「その――僕をサッカー部に誘ってくれたこと、今では感謝してるから。ありがとう……」
 照れくさくて、声が尻込みしてしまう。
「あの――次の試合が終わったら、僕、お前達に伝えなきゃいけないことがあるんだ。聞いて貰っても、いいかな……」
 情けない。ずっと前から、それを聞いて貰うためにやってきたというのに、今更そんなことを言うことが、柄でもないことに気付くなんて。
「サクライくーん」
 複数の人の声が、僕を呼ぶ。
 僕は振り向くと、日本、オランダ、世界の報道陣が、僕の方へやってくる。
 僕はバットを手近に置いて、自分の鞄からウインドブレーカーを引っ張




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