いったいどうやって大国主を継
- カテゴリ:日記
- 2013/09/14 14:52:39
め、逃げちゃだめ。逃げないっていったじゃない。そんなことは口が裂けてもいわないって――」
「あんたのせいだろうが?」
高比古は低い声で文句をいった。それから、片膝を引き寄せて膝頭に額を押しつけると、背中を丸めて身体を小さくした。
「――もう、逃げられない。あぁ……」
そのままの姿勢で、高比古は声を殺して泣いた。
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10章、黒穢の誓い (1)
意宇で大喧嘩をしてからというもの、狭霧と高比古は、どこかよそよそしくなった。
その時にした乱暴な言い合いは、そこで終わり。同じ言い合いを二人のあいだで繰り返すことはなかったし、いくら居心地が悪くても、決してそばを離れようとはしなかった。
軍議に出かけたり薬倉にいったり、それぞれの役目を果たしに出かけた後は必ず互いの姿を探したし、姿を見つけるとそばに寄った。
それでも狭霧は、意宇での喧嘩の後から、二人でいる時に違和感を覚えるようになった。手をつないでいればなぜだか知らない人の手に触れている気がするし、つないだ手をほどくと、すぐそばにいるのに遠ざかった気がする。
しっかりと絡まっていた糸が、ほどけてしまった気分だった。
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心と心が離れてしまった気がして怖くなると、夜に眠るあいだ、狭霧は高比古の胴にぎゅっとしがみつくようになった。
狭霧が手を伸ばせば、高比古の手も応える。そうやって互いに身を寄せているあいだだけ、「これで、やっと元通り――」とほっとした。
でも、朝が来て、二人で朝餉を済ませ、高比古が館を出ていく頃になると、やはり狭霧は高比古が遠ざかる気がしてたまらなかった。
「じゃあ、いくよ」
その日の朝、高比古の顔は無理に笑っているふうだった。その笑顔で別れを告げられると、狭霧は、高比古がこのまま知らない場所にいってしまいそうな気がした。
「今日はどこにいくの?」
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「兵舎だっていわなかったっけ? 大国主と安曇から呼ばれてる。大神事を取りやめるにはどうすればいいかって――」
「大神事をやめられるの?」
「やめればいい」
「――それで、出雲は大丈夫?」
「そうしなければ、おれにはいずれ滅んでいく姿が視えている――さあ。出雲はもともと戦の国だ。剣と矢に頼ればどうにかなるだろう?」
高比古の肌はもともと色が白かったが、狭霧が一人で神野(くまの)にいき、そこで〈形代の契り〉を交わしてからは、血の気が感じられないほど白く澄みきっていって、生きている人に見えない時があるほどだった。
出掛けに、高比古は、館を出ていこうとした足を止めて戸口にたたずみ、弱々しい声でつぶやいた。
「――おれ、大国主の後継ぎをおりようかな……」
「えっ――」
「……いってみただけだよ。でも、本音をいえば、例え追手がかかっても、おれは、あんたを連れてここから遠ざかりたいんだ。正直なところ、出雲なんかおれにはどうでもいい――そういうふうにしか、思えなくなった。なあ――そんなふうに思っている奴が、いったいどうやって大国主を継いで、この国を守るんだろう……。そんなに軽いものじゃないことはわかっているし、中途半端な気持ちで居座っていいものではないこともわかっている――。いや、そうじゃないな。もう、よくわからないんだ……」
そういって、高比古は笹の葉を彷彿とさせる目をそっとひそめる。
高比古は、憔悴していった。
日に日に顔色は悪くなり、目も、どこを見ているのかわからないふうにうつろになった。
それでも、「いってくるよ」とぎこちなく笑って、その日も狭霧を残して館を後にした。
高比古が向かう先は兵舎で、今日そこでは、軍