Nicotto Town



元親は毅然として返した

「しかし殿、それでは殿が」
「これだけの軍勢に襲われては」
「わしを誰と思うておる」
 何とか残ろうとする家臣達にだ。元親は毅然として返した。
「鬼若子じゃぞ」
「鬼若子だからこそ」
「ここはですか」
「鬼は人にやられはせぬ」
 あえて出した言葉だった。胸を張って。
「だからじゃ。行くのじゃ」
「では殿、後で」
「城で会いましょう」
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 元親は不敵な笑みさえ浮かべて述べた。
「よいな。それではじゃ」
「はい、それでは」
「城で」
 家臣達もその元親に応えてそのうえで一斉に駆けだした。その速さは織田家の者達の予想以上だった。
 そして後詰の元親は自ら槍を振るい家臣達を逃がす。それを見てだった。
 山内が怪訝な顔になりそのうえで信長に言った。
「殿、長曾我部元親自ら槍を振るっていますが」
「それでじゃな」
「はい、敵の大将自ら槍を振るって戦うというのは」
 軽率ではないかというのだ。それが山内の考えだった。
「上杉謙信は常に刀でそうしていますが」
「越後の龍はのう」
「あの御仁はまた特別です」
 伊達に軍神と呼ばれてはいない。そうした無謀なことも謙信だからこそできるのだ。尚謙信は戦の場で傷一つ負ったころがない。
「そうしたことをしても」
「大丈夫じゃな」
「あの御仁だけは。しかしです」
「あの者がそうしておるのはか」
「いささか軽率ではないでしょうか」
 山内は迫る織田の兵達に槍を振るい続け奮戦する元親を観続けていた。信長も彼と同じくそうしている。第百三話 鬼若子その十六

「これは」
「御主は慎重じゃからな」
「若し殿がその様なことをされれば」
 山内の言葉はここで鋭いものになる。
「それがし。何としてもです」
「止めるか」
「はい、そうします」
 信長に対してこう言ったのである。
「何としても」
「大将が自ら戦う様ではな」
「何かあってからでは手遅れです」
「辰之助の言う通りじゃ。しかしじゃ」
「しかしですか」
「時と場合によるわ」
 大将が自ら戦わなくてはならない時があるというのだ。丁度今の元親がそうである様にである。
「そして今はじゃ」
「長曾我部はああするしかないというのですか」
「今あの軍勢の後詰を務められるのはあ奴しかおらん」
 他ならぬ元親しかいないというのだ。
「軍勢を逃がし生きて帰られるのはな」
「生きてですか」
「そうじゃ。生きてじゃ」
 元親に死ぬつもりはないということも指摘した信長だった。
「帰られるのはな」
「鬼若子だけですか」
「だからこそああして後詰を務めておるのじゃ」
「軍勢を逃がし己も生きて帰る為に」
「ああしておるのじゃ。見事よのう」
 信長は惚れ込んでいる顔で述べた。
「増々欲しくなったわ」
「鬼若子が」
「欲しい。欲しいからこそじゃ」
 それ故にだと言ってだった。
「攻めよ。囲むのじゃ」
「囲めばそれで」
「潰れればそれまでじゃ」
 信長の今の言葉は少し聞くと突き放している感じだった。
 しかしそれと共に信長は言ってみせたのだった。この言葉を。
「鬼がここで潰れる筈もないがな」
「では囲んでも」
「観るぞ、鬼若子の戦を」
 信長は目を輝かせて言った。それと共に采配を振るった。
 その采配により織田の軍勢は己の軍勢の後詰を務める元親に襲い掛かった。しかしそれでもだった。
 元親は自ら槍を振るい続けまさに鬼の如き戦いぶりで織田の兵達を寄せ付けない。槍は周囲に血煙を作っていた。
 それと共に精兵達に指示を出し続け采配を見せる。その采配も見事であり軍勢としても織田家を寄せつけない。
 それで軍勢の間隔が開いたその時にだ。元親は言った。
「今じゃ!」
「退きますか、我




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