Nicotto Town



下の兵に頼んだところで

嗓摔筏撙膜い茡eれに耐える、が……。

 ガタガタガタ! ひときわ大きな揺れが来て積荷に思い切り倒れこんでしまうと……。なんと、積荷はあっけなく崩れて船底に散らばってしまった。

「……あっ」

 狭霧を隠していた積荷の壁が消えると、そこには……麻袋にしがみつく姫の姿がむなしく残る。

 力いっぱい船を押す若い兵たちと突然目が合ってしまうと、狭霧の顔は見る見るうちに青ざめていった。

 水に浸かりながら船を押していた兵たちは、もちろん面食らって唖然とする。

「あんた、だれ?」

 そして、しだいに大きくなる騒ぎ声。

「娘が乗ってるぞ! えらい立派な格好をした娘だ!」

「娘って……この方は狭霧姫! 大国主の御子だ!」

「大将の? ええっ、どれ? どれ?」

「押すなって!」

 たちまち、狭霧が乗り込んだ小船の周りには黒山の人だかりができて、野次馬になった若い兵たちが群がる。

 それで、狭霧の身体はますます硬直してしまった。

 頬も唇も引きつって、涙も出なかった。なにが入っているかも知らない麻袋をすがりつくように抱えて、狭霧はただ、小さくなるしかなかった。



3章、青海原と、夜の光  (2)<a href="http://www.cr02.com" title="http://www.cr02.com">http://www.cr02.com</a>
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 報せを受けてやってきたのは、安曇だ。

「本当に、あなたは! ……ああーっ!」

 安曇の小言は、声にならなかった。それでも彼は、小船の上で縮こまる狭霧に腕を伸ばすと抱きかかえて、好奇な眼差しの真ん中から助け出してくれた。腰まで海に漬かって、ざばざばと脚で水を掻いて、狭霧を浜へと運んで――。

 そこまで来ても、まだ安曇は言葉にならない息を吐くだけだ。彼はひたすら呆れていた。

「どうして、なぜ、ここに……ああーっ!」 

「ごめんなさい!」

 狭霧もそれを繰り返すだけ。なにしろ……。

 どうしてこんなことになってしまったのか。

 いまいち自分でもよくわかっていなかった。





 出雲からやってきた軍船がつながれた港の奥には、松原があった。

 柔らかい砂地には大勢の兵が思い思いに寝転んでいて、布で屋根をつくった簡素な休息所、天幕もいくつか建てられている。

 安曇が狭霧を連れて向かったのは、そういう天幕の一つだった。

 中から出てきたのは、仏頂面をした高比古。

「で。なぜおれが」

 ひととおり事情を説明されると、彼は相変わらずのしらけた目で、安曇の背後で小さくなる狭霧を見やる。でも、狭霧のほうも同じ意見だった。

(なんで、こいつが)

 できれば、彼とは二度と関わりたくなかったのに。狭霧は目を逸らして、ひたすら足元の砂を見つめていた。

 安曇は多少慌てていた。

「すまないが、狭霧を頼むよ。私は忙しい」

「あんたが忙しい身分なのはわかるが……おれだってひまなわけじゃ。姫の世話なんか、下っ端のひまそうな兵にやらせれば……」

「飢えた男の中に狭霧を放り込めというのか?」

「おれならいいのか?」

 高比古がこめかみをぴくりとさせるので、安曇はおだてるようにも次々といった。

「なんというか、おまえは男臭いところがないというか、野獣めいたところがないというか。安心できるというか」

 でも、それは結局褒め文句にはならない。

「はあ!?」

「すまない! ばかにしたわけじゃないんだ!」

 高比古が眉をひそめて食いかかるので、安曇は調子よく謝った。

「頼むよ。下の兵に頼んだところで、狭霧を外で寝かせるわけにいかないよ。石玖王(いしくおう)や名椎王(なづちおう)に頼むわけにもいかないだろう?」

 安曇がそこまでいうと、高比古は渋顔のままでそっと松原へ目をやる。そこにはほかの天幕が建っていたが 




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