下の兵に頼んだところで
- カテゴリ:日記
- 2013/09/17 11:40:04
嗓摔筏撙膜い茡eれに耐える、が……。
ガタガタガタ! ひときわ大きな揺れが来て積荷に思い切り倒れこんでしまうと……。なんと、積荷はあっけなく崩れて船底に散らばってしまった。
「……あっ」
狭霧を隠していた積荷の壁が消えると、そこには……麻袋にしがみつく姫の姿がむなしく残る。
力いっぱい船を押す若い兵たちと突然目が合ってしまうと、狭霧の顔は見る見るうちに青ざめていった。
水に浸かりながら船を押していた兵たちは、もちろん面食らって唖然とする。
「あんた、だれ?」
そして、しだいに大きくなる騒ぎ声。
「娘が乗ってるぞ! えらい立派な格好をした娘だ!」
「娘って……この方は狭霧姫! 大国主の御子だ!」
「大将の? ええっ、どれ? どれ?」
「押すなって!」
たちまち、狭霧が乗り込んだ小船の周りには黒山の人だかりができて、野次馬になった若い兵たちが群がる。
それで、狭霧の身体はますます硬直してしまった。
頬も唇も引きつって、涙も出なかった。なにが入っているかも知らない麻袋をすがりつくように抱えて、狭霧はただ、小さくなるしかなかった。
3章、青海原と、夜の光 (2)<a href="http://www.cr02.com" title="http://www.cr02.com">http://www.cr02.com</a>
<a href="http://www.cr02.com/レディースバッグ-oa07-2.html" title="人気バッグ">miumiu 財布 激安</a>
<a href="http://www.cr02.com/miu-miuミュウミュウ-oa07-1.html" title="バッグ ブランド">ダコタ 財布</a>
報せを受けてやってきたのは、安曇だ。
「本当に、あなたは! ……ああーっ!」
安曇の小言は、声にならなかった。それでも彼は、小船の上で縮こまる狭霧に腕を伸ばすと抱きかかえて、好奇な眼差しの真ん中から助け出してくれた。腰まで海に漬かって、ざばざばと脚で水を掻いて、狭霧を浜へと運んで――。
そこまで来ても、まだ安曇は言葉にならない息を吐くだけだ。彼はひたすら呆れていた。
「どうして、なぜ、ここに……ああーっ!」
「ごめんなさい!」
狭霧もそれを繰り返すだけ。なにしろ……。
どうしてこんなことになってしまったのか。
いまいち自分でもよくわかっていなかった。
出雲からやってきた軍船がつながれた港の奥には、松原があった。
柔らかい砂地には大勢の兵が思い思いに寝転んでいて、布で屋根をつくった簡素な休息所、天幕もいくつか建てられている。
安曇が狭霧を連れて向かったのは、そういう天幕の一つだった。
中から出てきたのは、仏頂面をした高比古。
「で。なぜおれが」
ひととおり事情を説明されると、彼は相変わらずのしらけた目で、安曇の背後で小さくなる狭霧を見やる。でも、狭霧のほうも同じ意見だった。
(なんで、こいつが)
できれば、彼とは二度と関わりたくなかったのに。狭霧は目を逸らして、ひたすら足元の砂を見つめていた。
安曇は多少慌てていた。
「すまないが、狭霧を頼むよ。私は忙しい」
「あんたが忙しい身分なのはわかるが……おれだってひまなわけじゃ。姫の世話なんか、下っ端のひまそうな兵にやらせれば……」
「飢えた男の中に狭霧を放り込めというのか?」
「おれならいいのか?」
高比古がこめかみをぴくりとさせるので、安曇はおだてるようにも次々といった。
「なんというか、おまえは男臭いところがないというか、野獣めいたところがないというか。安心できるというか」
でも、それは結局褒め文句にはならない。
「はあ!?」
「すまない! ばかにしたわけじゃないんだ!」
高比古が眉をひそめて食いかかるので、安曇は調子よく謝った。
「頼むよ。下の兵に頼んだところで、狭霧を外で寝かせるわけにいかないよ。石玖王(いしくおう)や名椎王(なづちおう)に頼むわけにもいかないだろう?」
安曇がそこまでいうと、高比古は渋顔のままでそっと松原へ目をやる。そこにはほかの天幕が建っていたが