を噛み潰した
- カテゴリ:日記
- 2013/09/18 11:43:05
上がっていく。高比古の目の高さが少しずつ上がっていく間、盛耶のぎらついた目は、一瞬たりとも高比古から外れない。敵の動きを見逃すまいと、相手を威圧するようだった。
高比古が立ち上がり、二人の目の高さに差がなくなると、盛耶は、高比古の身なりをじろじろと見る。黄色の染め紐で飾られた沓(くつ)や、飾り気のない白の服、腰に佩いた剣に、出雲風の髪飾りをつけた黒髪。とくに耳のあたりへ視線の先がいきつくと、盛耶は雄叫びをあげるようにいった。
「出雲風の角髪(みづら)か――。よく化けたもんだ。誰だって、髪さえそれっぽく結えば出雲の民に見えるってわけか?」
いい方は、喧嘩を吹っ掛けるようだった。
「雑草のかたわらとは……えらく貧相なところで女を口説くんだな。貧しい場所が好きなのか?」
様子を窺うように、高比古は黙っていた。しかし、盛耶の唇が閉じると、尋ねた。
「あんたは誰だ?」
いい方こそ静かだが、高比古の目は喧嘩を買っていた。<a href="http://www.1dsai.com" title="http://www.1dsai.com">http://www.1dsai.com</a>
ふん、と盛耶は鼻で笑った。
「口のきき方に気をつけろ。父も母も知れぬ流浪の民が」
盛耶の態度は横柄だったが、高比古も、どちらかといえば好戦的な方だ。高比古に、退く気配はまるでなかった。
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「それで? あんたはいったい誰だ?」
盛耶は頬を引きつらせつつ、もう一度鼻で笑った。
「――親父殿がおまえを呼んでいた。話があるそうだ」
「親父殿……大国主が?」
高比古は、不審げに目を細めた。
「なぜ、あんたがおれを呼びにくる? 話したのは今が初めてのはずだろう?」
「……やっぱり。俺のことを知ってやがったな?」
盛耶の形相が変わった。
「やっぱり――俺を大国主の御子の盛耶だと知った上でとぼけて、無視してやがったな?」
高比古に、悪びれる様子はなかった。彼は冷めた口調で応えた。
「興味の湧かない奴に、話しかける趣味はない」
「興味だと? 笑わせやがる――!」
二人のいい合いを目の前で聞きながら、狭霧は、不安で胸をどきどきと鳴らせた。二人の喧嘩じみたやり取りがなぜ始まったのかはわからない。でも、狭霧には、突然やってきた盛耶が、妙ないいがかりをつけ始めたとしか思えなかった。
盛耶は高比古を毛嫌いしているらしい。ただ、高比古が出雲の生まれではないというだけの理由で――。
(なによ、悪いのはあなたのくせに)
狭霧はとうとう、高比古を庇って二人の間に入った。
「あなたね、いい加減にしなさいよ。さっきから聞いていれば、意味のわからないわがままばかりいって! 今のは絶対にあなたが悪いわ。高比古に謝って。そうじゃないと……」
でも、それは高比古に阻まれる。高比古は、傍らで前のめりになる狭霧へ冷たい目配せを送った。
「あんたの出る幕じゃない。黙ってろ」
「え……」
高比古の味方につこうとしたのに、まさかその本人から拒まれるなんて。
(何か間違えた?)
狭霧の勢いは、見る見るうちに消えていく。
狭霧と高比古のやり取りを、盛耶は訝しげに見ていた。それから、大声をあげて笑い始めた。
「おまえはわかってる。わかってるんだな? 俺を――!」
にたりと奇妙な笑みを浮かべて盛耶が向いたのは、やはり高比古のほうだった。
「わかった。おまえがそう出るなら、俺も出る。今のは、おまえからの宣戦布告と受け取ったぞ?」
「……好きにしろ」
高比古は、苦虫を噛み潰したような渋面をしている。
「――だいたい、おれがどうこうはおれも知りようがないが、あんたの負けは見えていると思うが? おれは大国主と同じ意見だ。許しもなく諏訪を出て、こんなところまで追ってくるな