Nicotto Town



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見下ろすと、袖に結ばれた染め紐をじっと見つめている。

「これでいいか」

 その紐は、高比古の袖口を留めるためのもので、出雲の軍旗を彩るのと同じ強い黄色に染められていた。それを袖から抜き取ると、高比古は、手のひらの上で丸くまとめて、口元で祈りをこめるような仕草をした。

 高比古がつぶやいたのは、言葉だったのか、別の何かだったのか。少なくとも狭霧の耳には、彼の唇のあたりで奇妙な音が漂ったとしか感じなかった。

 やがて、高比古の周りに不思議な風が起きた。それは、妙に重くて息苦しいのに、思い切り浴びてみたいと足を踏み入れたくなるほど優しくて、奇妙で、温かい。

(なに、これ……。どこかで……?)

 そういえば狭霧は、似た気配を、すぐそばで感じたことがあった。

 あれはたしか、巻向(まきむく)でのことだ。狭霧が出雲軍に混じってその国へ出かけた時、紫蘭(しらん)と桧扇来(ひおうぎ)が、戦で傷ついた兵から痛みを忘れさせようと、不思議な言葉を使って眠らせていた。あの時、紫蘭と桧扇来の二人が為していたのは、祈祷(きとう)という名の、あやかしの技だったはずだ。<a href="http://www.dfmzylcdf.com" title="http://www.dfmzylcdf.com">http://www.dfmzylcdf.com</a>


 閉じていたまぶたを開いていくと、高比古は、口元に寄せていた黄色の染め紐を狭霧へ差し出した。

「腕を出せ」

「え?」

 いわれるままに右腕を出すと、黄色の染め紐が、狭霧の手首に巻きつけられていく。結わえながらも、高比古は薄く目を閉じてまた何かつぶやくが、彼の唇が不思議な音を囁くたびに、手首のあたり……高比古が染め紐をくくりつけていくあたりがじんわりと疼いた。手首の周りに、ぬるい風が起きた気分だった。

「これでいい。たぶん、しばらく外れないから」

「外れないって? これは……?」
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「あんたは、いろいろ厄介事に巻き込まれそうだから。念を込めたから、しばらくはこれがあんたを守るよ。その……あんたの大事なお守りもあんたを守るだろうが、とにかく、何か起きたらその隙に必ず逃げろ。いいな?」

「う、うん」

 なんだか、ものすごいものを間近で見てしまった気分だった。

(これが、事代の技なんだ……)

 狭霧の薬師の手ほどきは、事代の紫蘭と桧扇来がしてくれていたので、狭霧は事代を、薬師の上役のようなものと思っていた。でも、おそらく薬師と事代は、まるっきり違うのだろう。

 事代とは、不思議な技で風を起こしたり、怪我人に眠りを与えたり、人を殺めたり――そういう、普通の人には難しい特別な技を身につけた人たちなのだ。

 そういえば、紫蘭と桧扇来がいっていた。

『精霊というのは、風や石や木々に宿る力のことです。人に魂があるように、どんなものにも精霊が宿っていて、私たち事代は、言霊(ことだま)と呼ばれるまじないの文句を操ることで、精霊のかすかな声を聞き、話し、力を借ります。でも、高比古様は、それと自在に話をします。……桁違いの力をお持ちなんです』

(そうか、今のが……言霊っていうものだ)

 不可思議な力への脅えが憧れに代わると、狭霧ははにかみの笑顔を浮かべた。

「新しいお守りっていうことね? ありがとう。その……やっぱり高比古って、事代のすごい人なんだね。そういえば、紫蘭と桧扇来がいっていたよ? あなたはすべての精霊に愛された子で、言霊を使わなくても精霊から力を借りられるって。特別で、聖なる人で……」

 褒め過ぎたせいか。高比古はむっと顔をしかめた。

「なんなんだそれは。そんなんじゃない。これくらいならあいつらにもできるし、それに最近は、こういうのに慣れてるから――」

(最近は、こういうのに慣れてる?)

 なんのことだろう? と、狭霧は思ったが、すぐに幸せな




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