Nicotto Town


るもりゅう の 大好きな 仲間たち


西村寿行の三回忌


2007年の、ほかのSNSに書いた日記を見たら、西村寿行哀悼の文を書いていた。
もう三回忌ということになるのだろうか。

鯱シリーズはとうとう未完で終わってしまいました。
荒々しい構成でありながら、大衆小説の原点とも思う小説の魂という部分が読者をとらえて放さない。
もっと品の良い小説であれば、いくらでも大きな賞を手にできただろうに、どうにも彼の描く女性観はレイプの対象であったり、一方的に毒されてしまうヒロインがほとんどすべてと言える。
対象作品となっても品位という面に欠けたことは否めない。
そこが『寿行さん』の面目躍如たるところで、『これが俺の芸風だ』(そんな言い方はしなかっただろうが)と嘯いたことだろう。

名前を聞かなくなってしばらく経つので、もう既にと思っていた読者も多かっただろう。
76才。
若いなぁ。
明らかな酒の飲み過ぎじゃなかっただろうか。

真ん中にどすんと落ち着いたあなたの時代は、戦後の大衆小説にとって大きな金字塔でした。
私は『寿行さん』の犬のさまざまな小説が好きでした。
ご冥福を心から祈ります。

西村寿行が若いときに書いた「世界新動物記」が最初の著作だったと思いますが、もう偏見ばりばりで、さすが西村寿行というものでした。
ミステリーに分野を移して書き始めたときは、結構まじめに書いていて、あの初期の時代の作品が比較的好きです。

これもいまは亡き「栗本薫」が「中島梓」名で発表した最初の評論「文学の輪郭」で西村寿行を評して「魂を揺さぶられる荒々しさ」と言ったのは、西村寿行がエログロナンセンスの量産型作家と思われていただけに、鮮烈なイメージだった記憶がありましたね。




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