Nicotto Town



読書ノート/Gene Mapper/藤井太洋

新たな才能と出逢うというよろこびを久しぶりに味わいました。

先日読んだ、脅威のホニャララアクセスとかいうネット小説の書籍版が
あんまりひどかったので、電子書籍の個人出版がたちまちベストセラーになった話題作の・・。
という売り文句を読んで、ほんまかいな。と
いや、嘘やないんかもしれんけど・・・。
それはあんまり、面白さの保証にはならん気が・・・と
大変懐疑的な気持ちで手にとったのですが、
手にとった理由は・・・・
裏表紙の中身の紹介が面白そうだったからです。

なんか匂い立つものがあったw
あと、最初のページで示されていた未来世界の日常が、
敬愛してやまないアイザック・アシモフ氏が描いていたものと
少し似ているところがあって、これは・・・?と
興味を惹かれたからでした。




で。読んでみての感想なのですが、
これはバリバリSFですね。
面白かったーーー!!!


未来世界の構成・説明・用語の説明。
これらが大変にスムーズかつ、自然に行われて、
ハードSFにありがちな、
主題に早く入ってくれ。
主人公たちが暮らす宇宙船がどういう力学で飛んでいるかという事が
物語の主題と関係ないのならテキトーでいいから。という
イライラしたところがなかった。

過不足なく語られるそれらの知識が物語の一部として自然と頭に入る。
またそれだけの情報量を突っ込まれているのにも関わらず、
一緒にキャラクターの魅力も突っ込むという・・・・。

これらが過ぎた文学的表現も、また楽屋落ち的な馴れ馴れしい同人誌的甘えもない文章で語られていくのがとてもありがたい。

内容は、これ以上語るとネタバレになるので控えますが、後味も爽やかで読後感も素晴らしかったです。




 星 ★★★★★


もう一度読みたい。
というか、このかたの他の作品をいますぐ読みたい。

さて。前回のネット発小説と違うところとしては、
あっちはそのまんま書籍化することにこだわってらしたようですが、
こちらは「話題作の増補改稿完全版」
つまり、それが編集者の指導によるものか、
作者の自発的な改稿によるものかはわかりませんが、
ネット世界でのベストセラーという実績に甘えないで改稿なさっているという事。
さすがの早川
ありがとうございます。と御礼申し上げたい気持ちです。
大事に育ててください。
素晴らしい才能を伸ばしてください。
この人の作品をもっともっと読みたいのです。と。なーむーーー!!!







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