Nicotto Town



読書ノート/フランケンシュタイン…1.2/D.K



読書ノート

「 フランケンシュタイン 野望・支配 」
 
ディーン・クーンツ 著





面白い。
面白いけど…。

なんというか。
すごくキリスト教的な本。
日本人は自分は無宗教だと思っている人が
結構いますが、
その中には、
悪い事をしたらバチが当たる。

ごく自然に思っている人も多いし、
葬式といえば、寺。
結婚式なら教会か神社か
それを模した結婚式場のセットで、
なんの不思議も感じない。
神社に行けば拝むし、
巨木や巨石には神性を感じる。

キリスト教のお祝いも
神社のお祝いも
なんでも受け入れるあたりが
一神教の方々からすると信じられないらしいんですが、
もともと日本は八百万の神々の国。
恵まれたアジアらしい万物に宿る神々に育てられた国
なので、
キリスト教もユダヤ教もブゥードゥーも。
もひとつ神様増えた。
位なもんで、

抵抗なく受け入れちゃっただけだと思うんですね。

で。

そんな日本人の一人である良太郎♪からすると、
この本は過酷だ。

日本人にとってあまりに有名なロボットアトム。
彼に魂がない。と
言い切れる人はいないんじゃないかと思うんですよ。
彼がロボットである事は百も承知で、
そしてそれを人間が作った事も承知の上で、
魂が宿っているのではないか。
と思う。
そしてそれを信じる上で、
故にアトムを作った人間は神である。とは
ならないのが多神教視点じゃないかと。


一神教は神は一人でその神を崇めるのは選民。
選民以外は賤民だから虐げてよし。

過酷な自然環境を生き抜かねばならなかった環境では
生き延びる為にどこかで命の線引きをせざるを得ないわけで、
ここで、敵味方家来支配者みたいな
優先順位的なものが生まれて…

神がこの世にもたらした選民以外には魂がない。
だから殺していい。
みたいな免罪符が生まれたんじゃないかと…。
そしてそれは裏返せば、
魂を与えるものは神である。
につながっていくんではないかなー。と。

というような、柄でもない神学的な見解を書いてしまったのは、
フランケンシュタインとして知られている
化物とその創造主であるフランケンシュタイン博士との
対決の物語だから。

そして
作者は海外の方。
おそらくはキリスト教圏の方。
らしい。
残酷なまでの線引きが。。。

良太郎♪の目から見ればどう見たって
魂はあるだろう。と思われる人造人間たちが
どんどん殺されていくわけです。

単なる肉の塊として。
エイリアンとして。
殺しても良い生き物として。

えぐい。
その苦しみも死も一神教的価値観の中で
強固に固定されて…。

1.2巻にあたる、野望と支配を読み、只今、
三部作最終巻の対決を読んでます。
これは一応三部作として成り立ってますが、
どうやら本国では5冊出ている模様。

うーん。。。
すごく面白いんですけど・・。

いつもの文庫目録で発見した本で、
オッドトーマスシリーズというのが
この作者さんにはまだあって、
そっちを借りようと図書館に行ったら、
たまたま欠け無くあったのがこっちのシリーズだったので、
急遽こちらにした。という偶然で手に入ったもので…。

読み終わった後は
オッドトーマスシリーズに移行しようと思ってたのですが…

今、自分が書いた文章を読んでいて、
あー。そーだな。
こういう基本理念というか思考のもとに
書かれた、
キリスト教圏に向けたキリスト教圏の人間が書いた本。
だとしたら。

ちょっと良太郎♪にはキツイかなー。。。と


うーん。。。。

面白いんですけど…しんどい。

これはナルトに似てる。
面白いんだけど、
全身全霊で頑張っても頑張っても不幸な人々ばかりでしんどくなる。
みたいな。

…面白いんだけどねー。。。。

とりあえず。
買うか買わないか。と聞かれたら。。。

イラネ。

追加

「対決」三部作最終巻を読み終えました。
うーん。。。。。

なんというか。
それが悪いとか良いとか言う事ではなくて、
ただ、人としての成り立ちの基本の部分が違うから
しんどいというか。
これを楽しめないというか。
世代間の文化的断裂は甚だしい現代ですので、
多分、これを受け入れて面白く感じるアジアンや
多神教文化圏で育った人間もいると思うし、
そもそも多神教文化圏の人間として良太郎♪はダメなんじゃないかと思う。
ってのは、あくまでも良太郎♪の勝手な仮説というか見解なので、
ごく普通に受け入れて面白く感じる人がいるのかもしれないですが。。。

異文化交流的な受け入れ方以上のものは出来ない。
そんな読後感でした。

物語としては面白い。
しかし
胸悪い。



★★★☆☆







良太郎の星の数は、

星5…凄く面白かった+感動した。
星4…凄く面白かった
星3…面白かった
星2…面白かった気がする。
星1…時間つぶしになった。
星0…読むのに掛かった時間を取り戻したい。

全ての感想はあくまでも個人的な感想であり、
それが、該当作品の価値を左右するものではありません。





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