ポポ
- カテゴリ:ペット/動物
- 2009/11/30 11:35:09
幼稚園に入る前の物心の付いた頃に一匹の犬を飼って貰った。
芝系雑種の白い犬だった。
ポポと名付けたのは、誰だっただろうか。
うちに来たときには、すでにその名前だったように覚えているが、もしかすると自分で付けたのかもしれない。
3~4歳くらいの頃だから記憶が定かにはない。
この頃に猫も飼った。
猫の名前はマリと言った。
戸外ではポポと室内ではマリと遊ぶのが日課になった。
双方とも仲良しだったが、同じ頃に飼育していた卵をとるための鶏をマリが襲って殺してしまったので、その後は鶏はしばらくの間、我が家にはいなくなった。
マリは私の布団の中で子猫を生むくらい良く懐いていた。
お手伝いが汚いと言って子猫もろとも布団を引き離したときには、幼心にも猛烈な怒りで抗議をしたのだったが、そのお返しに焼けた火箸を額に押しつけられた。
未だに、その火傷跡が眉の部分に残っている。
ポポは非常に賢い犬で、5分くらい離れた両親の経営する化粧小間物の店と自宅を行き来していた。
日中は私の遊び相手で、夜は両親を迎えに行き餌を食べた後は店に戻って番犬をしたのだ。
当時は放し飼いができたので、自由に行ったり来たりしていたのだった。
まだ終戦の興奮が冷めない頃で、ざわついた時代だった。
大人達の中には、放浪している犬を殴り殺して鍋にして喰ったなどと言うのもいて、子供心にも、ポポが喰われるのじゃないかと心配になったりしたものである。
国道なども小石混じりの砂利道で、近くにあった製粉工場に馬車が行き来しているような時代だった。
ポポは何度も泥棒を撃退したようで、商店街の近くの店が被害にあっても、うちの店は被害がなかった。
近隣の住居兼店舗の住人は、ポポがいるので鳴き声が激しいときは外に出ると不審者がいたりしたのだと、だいぶ後になってからまで話題になるくらいの活躍をしたのだった。
近くの同級生の家にいた警察犬のジャーマンシェパードドックは優秀な犬だったが、雑種ながらポポのほうが頭がよいと内心自慢だった。
警察が来て、よく泥棒に入られなかったとポポを褒めて帰ったときには、両親は骨付き肉のかたまりをゆでて食べさせたりしたのだった。
小学校の低学年の頃、学校から帰るとポポが死んでいた。
車に轢かれたのだという。
悲しくて泣き通した。
困り果てた両親はポポの亡骸を持って近くの寺の住職に頼んで懇ろに葬って貰った。
寺の後ろにあった木の下にポポを埋めて、その上にY字になった木の枝を刺して経を上げて貰った。
このやり方は犬卒塔婆と言う。
私の生まれる前に亡くなってしまっていた祖父の家の住所も犬卒塔婆という。
1200年近く前の故事に基づいて付けられている地名で、私と犬との縁は非常に深い。
思いはいつまでも残っていますね。
半世紀も前のことが時々胸によみがえる。
不思議でなりません。
身近にいた人間のほうは忘れたりしているのに。
彼らは「全てわかった上で」またこの世に出向くのだそうです。
だから”受け入れる魂”なのですね。。。
彼らがあんなにも愛と信頼、忠誠心に溢れているのは(例え手ひどく裏切られてもヒトを信じたいと訴えかけてくるのは)魂に刻み込まれた愛の記憶がそうさせているのだろうと思ったのでした。
一度でも愛されたことは永遠に忘れない。肉体が滅びても・・・
るもりゅうさんのポポちゃんも永遠にるもりゅうさんの事を覚えているのでしょうね(つω`*)
感動してくれてありがとう。
得に、小学生にもわかる文章を書こうと心がけているので、とても嬉しい。
何かわからない部分があったら、いつでも訊いてみてね。
なんて良い物語なのかぁぁぁ♪
犬はポポが亡くなってから何頭も、正直を言えば数百頭も飼育して、その数百頭との別れがありました。
それぞれに思いが残る奴らばかりでした。
ポポがいてくれたので、犬たちとの出会いがあり、沢山の思い出を作ってくれました。
不思議な縁だったと今でも思っています。
情景が目に浮かんできて、最後はちょっと。゚(●'ω'o)゚。うるうるしてしまいました。
私も犬を飼っていた経験があり、やはりとても利口な犬だったと思っているので、
ポポちゃんのこと、他人事に思えませんでした。
「犬卒塔婆」初めて聞きました。