Nicotto Town



食べても美味

も混ぜてよ!」

 仲間外れにされたのを、本気で悔しがっているらしい。

 結局、真浪は、断る隙も与えずに二人にくっついて歩く。高比古は、からかっておいた。

「やだよ。おまえはいつも、一人で喋る」

「あ、そんなこというわけ? じゃあ、狭霧ちゃんを誘いにいくけど、いいんだな?」

 真浪の童顔には、得意げな笑みが浮かんでいる。真浪は、兄ぶっていると高比古をからかいたいのだ。高比古は、小さく吹き出した。

「勝手にしろよ。狭霧なら、今ごろ須佐乃男のそばで夕餉を食っている。爺様の団欒(だんらん)を邪魔して、須佐乃男に八つ裂きにされるのがおちだ」

 にこやかに端をあげた唇から、するすると冗談が出ていくのは、すこし奇妙な気分だった。そして、愉快だ。
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 だが、高比古の胸の内のひそかな困惑に、真浪にも火悉海にも、気づいた気配はない。

 火悉海は、太い眉をひそめていた。

「須佐乃男のそばで夕餉って……もしかして、その狭霧ってのが須佐乃男の孫か? おい、真浪。なんでおまえが、その子と知り合いなんだ?」

 火悉海は、狭霧を見知った風に話す真浪に苛立っている。――が、火悉海のいい分は、高比古にとっては聞き捨てならない。

(なぜ、おまえが怒る?)

 だが、二人に、高比古の無言の苛立ちに構う気配はない。
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 火悉海は、真浪をせせら笑うような顔をして続けた。

「ちょうどいい。その狭霧って出雲の姫と、おまえが前にいってた越の姫は、いったいどっちが美人だ? 越には絶世の美姫が四人いて、四人まとめて娶るとお得ですとか、適当にいってただろ、おまえ?」

 それは、本当に適当だ。

 思わず吹き出した高比古は、うつむいてくっくっと忍び笑いを漏らした。

 でも、きっと火悉海の作り話ではないのだろう。真浪ならいいそうなことだった。

 その証に、そばを歩く真浪の口が重くなった。

「あー、えーっと、それはだねぇ。……ここに高比古がいなきゃ、うちのほうが絶対美人っていい張るんだけどなあ――」

 ……高比古。

 それは、自分の名だ。だが、真浪の口から、まるで幼友達の話をするようにその名が出ると、高比古は目を丸くした。

 ……そんなふうに名を呼ばれたのは、初めてだった。

 これまで高比古の名を呼んだのは、たいてい自分より格上の相手か、自分の力を恐れる部下たちだった。似たような境遇にいる若者など、そばには一人もいなかった。物心ついてから、ずっとだ。

 越の若王と、隼人の若王。それから、出雲の――。

 見慣れない模様の岩山に囲まれた異国の風景の中で、三人で連れだって歩いているのはとても奇妙で、すがすがしい。

 胸に湧いた爽やかな困惑に、人知れず浸った。だが、高比古が無言でいれば、そばで騒ぎ合っている二人に気づく気配はない。真浪はいつもの調子を取り戻し、火悉海の肩にぐるりと腕を回すと、笑ってごまかした。

「まあ、それはこれからゆっくり話そうよ。酒でも飲んでさ」

 背中を押しやって、真浪はみずから、火悉海の仮宿へ案内した。

「ほら、きみの仮宿はこっちだろ? 隼人の阿多族って、宗像にまで集落をもってるんだね。いや、すごい」

「……おまえ、本当に調子がいいな」

 火悉海は呆れたが、真浪はあっさりとかわす。真浪は、越服の深い袖の中から黒い布のようなものを取り出した。

「まあね。用意もいいよ。北の海の幸を、酒の肴にお持ちしたからさ」

「なんだ、その黒い帯?」

 火悉海が興味をもっているとわかると、真浪の舌はますます滑らかになる。

「これはですね、昆布(こんぶ)といいまして。出汁(だし)を取るにも最適、そのまま食べても美味、乾燥




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