Nicotto Town



陸奥はおろおろとするば

あらあら、北上ったら手加減なしね。大井ちゃんが泣いちゃうわよ?」
 長門が横から優しげな笑顔をしながら入ってきた。すると、そんな彼女にバッと大井に
「長門ぉッ! どうすれば姉さんに勝てるようになるのッ!?」
 大井はすがるように長門に哀願する。ちなみにこの二人は長門より少し年上である。
 長門は「そうね???」と考え込み、
「ま、努力する事ね」
 そんな情けない言葉を苦笑いしながら助言するのであった。
「そんな???」
 大井は肩を落とした。そんな妹を見て、北上は呆れたようにため息する。
「これが私の妹かと思うと、先が思いやられるわよ」
「コラコラ」
 長門はそんな北上の言葉に苦笑いした。
 今や会議室は雑談場と化していた。
 艦魂同士で楽しそうに会話をし、囲碁や将棋を楽しみ、先輩艦魂が後輩艦魂に色々と指導をしたり、平和そのものだった。まるで今が戦時中だとはとても思えない。
 そして、そんな場所に一人の人間がお邪魔していた。
「なぁ大和。長門さんが来いって言ったから来たけど、本当に来て良かったのかな?」
 翔輝は隣に座っている大和に声をかけた。翔輝の問いに大和は気にした様子もなくお茶をすする。
「いいんじゃないんですか? 艦魂を見る事ができる人間はめったにいないらしいですし」
「うーん、でもな???」
 翔輝は改めて目の前の艦魂達を見る。みんなすっごく楽しそうだ。しかし、その中には一人だけ知っている顔がなかった。どうやら遅れて来るらしい。
「遅いなぁ???」
 翔輝は懐中時計を見る。その時、
「遅れてすみません!」<a href="http://www.watchsremedy.com" title="http://www.watchsremedy.com">http://www.watchsremedy.com</a>
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 ドアを開けて一人の少女が入って来た。その少女を見て翔輝の顔がぱあっと華やいだ。
 長門は遅刻してきた妹を見てにっこりと微笑んだ。
「あぁ、陸奥。やっと来たのね。まぁくつろいでよ」
 長門は楽しそうに言う。陸奥はその言葉に微笑み、ふと翔輝と目が合った。すると陸奥は翔輝の前までやって来ると、柔和な笑みを浮かべながら敬礼した。
「お久しぶりです。長谷川少尉」
「久しぶり。陸奥」
 翔輝も立ち上がって陸奥に微笑む。。その様子を不機嫌そうに大和は唇を尖らせながら見詰める。
「少尉。どうです? 一勝負」
 陸奥は近くにあった将棋盤を指差して笑う。
「お、いいね。やるか」
 翔輝と陸奥は将棋盤の両側に向かい合うようにして座った。
 将棋盤の上には規則正しく駒が置いてあった。これからこれを自分が指揮するんだと思うと、気合が入る。ちょっとした指揮官の気分だ。
「では、始めましょう。先手は少尉で」
「了解」
 翔輝は歩兵一体を前衛に出す。
「私はこれで」
 陸奥も歩兵を一体出陣させる。
「ほい」
 翔輝は別の歩兵を出して連携をとる。
「では、私はこうです」
 陸奥も別の歩兵を出す。
 そんな調子で駒は盤の上を縦横無尽に動き回り。戦いを繰り返す。
 そして十数分後、
「うーん???」
 翔輝はかなりの劣勢だった。考え込む翔輝に、陸奥は容赦なく楽しげにとどめの一手を打ち込む。
「王手!」
「うぐっ!」
 右に逃げれば金将が、左に逃げれば銀将が、前に逃げれば飛車が、後ろに逃げれば角行が王将を狙っている。つまり、逃げ場なし。
「くっ???参った」
 翔輝は負けを認めた。
「やったーッ!」
 陸奥は嬉しそうに駒を片付ける。その目の前では、
「ま、負けた???」
 一人の少年が泣きそうな顔で将棋盤を見詰めていた。実は翔輝は同僚の中では将棋は強い方であった。その彼がまともに反撃できずに一方的にボコ殴りにされた形で戦いは終わった。
「あ、あの少尉???」
 一方、小動物を思わせるように弱々しい姿をする翔輝にどう声かければいいかわからず陸奥はおろおろとするばかり。




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