『君の隣で笑えたら』#12
- カテゴリ:自作小説
- 2016/10/25 18:54:18
数週間後。
わたしはレイの家を訪れていた。
が、いつもの縁側にレイの姿はなかった。
キョロキョロ辺りを見渡していると、いつかと同じようにおばさんが顔を出した。
「日向ちゃん」
「おばさんっ」
「玄関に回ってちょうだい?
あの子今家の中にいるから」
「わかった、お邪魔します!」
レイはあの、悪夢を見たらしい日から。
少しだけど体調を崩しがちになっていると、おばさんから話を聞いたママから聞いた。
確かに昨日とか顔色悪かったし、いつもの柔らかな笑顔も無理矢理作っているような笑顔で、少し心苦しかった。
「おばさん、レイ大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ」
おばさんの後ろを歩き、レイの部屋に向かう。
おばさんが軽く襖を破らないようノックし、おばさんに続いて入る。
レイは布団の中で一瞬眠っているようだったけど、こちらを振り返った。
「日向?」
「やっぱりわかるんだね?」
「もうすぐ来るって思ってお母さんに言ったの僕だから。
お母さん、手伝ってくれる?」
「はいはい」
おばさんは嬉しそうにしながら、レイの上体を起こす。
そして「日向ちゃんゆっくりしっていってね」と微笑むと部屋を出て、わたしはレイとふたりきりになった。
「最近、遠山くんとはどう?」
「え?遠山?」
「うん、仲良くしてる?」
「まあ…クラスメイトの情報を聞いたりしているよ」
遠山は土日以外ほぼ毎日、わたしの家へやってくる。
家に帰ったら何故かいて、ママと早く帰ったパパと楽しくお喋りしていたってのは珍しくなくなってきた。
遠山のあの固い話しぶりは変わらないけど、基本は礼儀正しいからパパとママと凄く仲が良くなってきている。
わたしとも、よく話すようになった。
といってもわたしは基本話すことなどないから、一方的に向こうが話す感じ。
遠山は淡々と、クラスメイトのことについて教えてくれる。
クラスメイトじゃない人も、先輩後輩同年代関係なく、わたしと以前関わりのあった人の情報は仕入れて話してくれる。
女子バスケ部がこの間地区大会で優勝したことや。
2年に上がっても同じクラスだったあの子が誰と付き合ったとか。
そんな、他愛もない話の最後に、遠山は必ず同じことを言って帰る。
『全員、笠木が復帰してくるのを待っているぞ』
玄関で毎日言うそれに対し、わたしは何も言わずただ笑顔で手を振り返し、何も言わない。
遠山が何も言わないわたしを見つめ、背を向けた所で『ばいばい』とわたしはようやく喋る。
遠山は振り向かず、『また来る』と言って扉を閉めるのがお決まりだ。
「そう。
日向、日向そろそろ学校へ行きなよ」
「……え?」
「来てくれるのは嬉しいのだけど、僕との時間が日向の学校へ行ける時間を奪っている気がするんだ。
日向に何があったか知らないから強制はしないけど、遠山くんがいるのなら行っても良いんじゃないかな」
「……」
「学校へ行けないのなら僕の所へ来ないで勉強をした方が日向のためになるんじゃないかな」
「……レイは、わたしのことが邪魔なの」
「そうは言っていないよ。
だけど、僕は日向の未来を奪いたくない」
コホコホと咳き込んだレイは、わたしを見て久しぶりに柔らかく微笑む。
「日向、君には幸せになれる権利がある」
わたしはレイの細い腕を掴んだ。
「どういう意味?
レイにだってあるでしょう?幸せになれる権利」
「……」
「ねえ、レイ。君にだって幸せになれる権利あるでしょう。
というか、生きている人類全員にその権利は平等にあるはずよ」
「……」
「レイ、レイだって幸せに―――」
「無理だよ」
レイは笑みを消し、珍しく真顔でわたしを見つめてきた。
冷たくて、何も映していない暗い瞳。
「日向」
レイは光の届かない海の底のような、暗い瞳でわたしを見ながらわたしを呼ぶと。
コホコホと、咳き込んだ。
「レイ、大丈夫?」
「だ、いじょ……ゲホッ」
家の中のためマスクをしていないレイが、辛そうに目を閉じ、指先より長い長袖で口元を覆いながら咳き込む。
そして閉じていた目を開け…その目を、表情を、驚きに染めた。
「……レイ?」
「…ひ、なた……」
「ん?」
「……お、…母さん……呼んで」
「え?」
震えた声でわたしに言うと、レイは咳き込む。
なかなか治まらないそれに、怖くなりつつも背中をさすったわたしは……その目で見たものを信じられなかった。
「……ッ!?」
「おねがっ……早く、呼んでっ…」
ぽたり、と。
まるでスローモーション映像を見ているように、それは。
赤い、紅い、それは。
「っ……ゲホッ、ごほっ…」
咳き込むレイの、口元を、押さえている手を真っ赤に染め上げている…その薔薇のように真っ赤な鮮血は、
真っ白な肌と布団を……濡ラシタ。
*つづく*
きゃーきゃーパソコンの前で叫びつつ執筆した今回。
えー、私はですね、
12という数字が好きなのですよ、8の次に
どうしてどちらも好きなのか自分でもよくわかっていないのですが
8と12は好き
なので小説などでこういった数字に差し掛かる時
登場人物の秘密や過去にまつわる話を書くような回にしようと考えています
なので、今回#12でこの話を書かせていただきました
超今更なのですが
私・みい及びみいの周りには
医療関係者や視覚障がいの方はいません
なので全て妄想です
調べられるところは調べていますが90%以上妄想です
ご理解ご了承、今更ですがよろしくお願い致します!!
#20で終わらせたいという願望がありますが
(キリが良いから。早く終わらせたいというのはない)
果たして終わるでしょうか…うーん、60%ぐらい無理な気がする笑
まぁ長引いたら長引いたらで、お付き合いよろしくお願い致します!!!!
予測出来る話じゃなくて良かったです
出来たら勿体ないかなぁ思うので
誰も予想だにしなかったラスト!
かっこいいですね~笑
結末、どうなるかお楽しみに~(*ノωノ)
無理矢理終わらせたりはしないですね
長引いたら長引いたらで、お情けにはしません
あんまり起承転結考えていないのですが
そうですね…転、かな?
遠山くんが入って来ますからね笑
楽しみながら書くのが一番かと思いますよ
二人とも亡くなって天国で結ばれる?
二人とも病が治る
一人治って、一人が治らない
どうなるのかな???
本論は、そろそろ「転」時ますかね!?!?!?楽しみにしています。