『君の隣で笑えたら』#13
- カテゴリ:自作小説
- 2016/10/26 20:40:22
「……ぅ、ぁっ……」
「日向っ」
「ま、ママッ……!」
わたしは駆け寄ってきたママに抱きつく。
高校生にもなって、と笑われるかもしれないけど。
ひとりで立っている自信がなくて、わたしは抱きついた。
「話は聞いているわ、大丈夫よ日向。
一旦家に帰りましょう?」
「う、ん……」
ふらふらなわたしは、目と鼻の先にある自宅に、ママに支えられて帰る。
「今日はゆっくりしていなさい、良いわね?」
「うん……」
「何かあったら呼びなさい」
「ありがとう……」
ママが部屋を出て行き、ひとりになる。
わたしはベッドにダイブし、枕に顔を埋めた。
目を閉じても開けていても思い出すのは、つい数分前の光景。
苦しそうに咳き込みながら、レイは…。
「っ!」
そういうのは、人並みに苦手だ。
ホラー映画は怖くて観られないし、ミステリー・サスペンスものは本でなら大丈夫だけど、実際ドラマだったりすると、その度合いによる。
いくらそれが血糊といった嘘でも、気持ち悪くなることはある。
指を切って、などはあったけどたかがしれていた。
あんなに身近で…しかも、物語の中でしか知らなかった血を吐いた場面を見てしまうなんて…今でも、信じられない。
しかも相手がレイだったから…尚更……。
わたしは初めてのことに軽くパニックになりながらも、レイが言う通りおばさんを呼んだ。
おばさんは妙に落ち着いた態度で、救急車を呼び、レイと共に運ばれた。
ガタガタと震えが止まらないわたしに、おばさんは「大丈夫よ」と言ってくれた。
そしておばさんが呼んでくれたママと一緒にわたしは帰宅したわけだけど…。
あの、おばさんの落ち着いた態度。
レイも驚いてはいたけど、どこか落ち着いている部分があった。
驚くだけで、パニックになっていなかった。
…落ち着いていたってことは、慣れていたってこと?
レイがああなることは、不謹慎かもしれないけどよくあることで、だからおばさんも見慣れていてあんなに落ち着いていた?
「……大丈夫かな、レイっ…」
部屋にいるよう、言われたけど。
わたしは部屋を、家を飛び出した。
「日向っ、ちょっとどこ行くの!?」
ママの声が聞こえたけど、無視して扉を閉める。
そしてどこかへ向かって、無我夢中で走り出した。
「お、おい?」
「っ!」
「ッ!?」
聞き覚えのある声が聞こえて。
気付けばわたしは、彼へ向かって走りその胸に顔を押しつけていた。
「わぁぁっ…わああんっ…」
「か、笠木…?」
慌てていた彼…遠山だったけど、わたしがただ事ではないことがわかって。
手に持っていた多くの紙の束を落としたけど、拾わずわたしをそのまま泣かせてくれた。
「ど、どうしたんだ笠木。時任レイに何かされたのか?」
「レイがっ…レイ、がっ…!」
わたしは顔を上げた。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃだったとしても、気にしない。
「レイが、死んじゃうっ……!」
そこで、ふらっとして。
「笠木っ!おいしっかりしろ、笠木っ!!」
わたしは意識を失った。
*つづく*
レイのことは最初#1の時と変更点がありますので
後々変に思われるかもしれませんが、
あくまでフィクションであり私の作り話ですので
その辺りは流してくれると嬉しいです
本当はレイの過去なやを書こうと思っていたのですが
まだ早いと断念しました笑
後に載せるのが楽しみです
(過去ありキャラ好きだ笑)
医療関係者ではないので、
どうしてもフィクションですね
ノンフィクションは書けません笑
どうなるか待っていてくださると嬉しいです!
レイはどうなってしまうのでしょうね
楽しみです^^