Nicotto Town


暇つぶし部屋


アイス・ティアーズ 2




わたしは、出会ったことがなかった。
今まで、そんなこと一生起きると思わなかった。

この世界の全てが憎く、壊れてしまえば良いと思えるほど。
最悪な日が、一瞬にして最高の日になってしまうなんて。


「……」

「…あの、」

「……」

「あのー…」

「え?…あ、ごめんなさい!」


隣に立っている彼を見ていたら、声をかけられて急いで返事をする。
彼は困ったように笑って、それがどうしようもなく愛しかった。


「もっとこっち来て良いですよ」

「え?」

「そんなそっち歩いていたら、排水溝に落ちてしまいますから」

「っ!」


あと少し、左によれば排水溝がある。
わたしが急いで避けると、勢いがあり彼にぶつかってしまった。


「ごめんなさい、さっきから…」

「良いですけど…上の空じゃないですか?大丈夫ですか?」

「…不思議だなと思って」

「不思議?」

「はい。
だってわたし、あなたの飲み物飲むなんて失礼な真似して…。
お詫びにお店に入ったら、わたしの愚痴を聞かされて。
それなのに…嫌な顔ひとつしないから、不思議だなって」



一緒に行こうと約束していた彼氏に、当日の朝ドタキャンされて。
落ち込んで、でもチケットが勿体ないから行って。
隣の人の飲み物を飲んで、お詫びにお店に入って、泣きながら愚痴をこぼして。

初対面の相手に酷い事をされてばかりいるのに、彼は嫌な顔をしない。

してくれた方が、良かった。
最悪だって、罵ってくれた方が良かった。



「…だって、嫌な思いをしているのはあなたでしょう?
僕に責める権利なんてないですよ。
むしろ、あなたの話を僕は聞いていたいです」



ふわっとじゃなくて。
ぎこちなくて、誰の目から見ても作っているってわかるような笑顔。

不器用過ぎるその笑顔に、わたしは惹かれていた。



「…ありがとう、ございます」



マイペース。
空気が読めない。
作った天然。
ぶりっ子。

そう言われ続けていたわたしの全てが、覆されてしまった瞬間だった。



信じていなかった。

ずっと、今日がわたしの人生の中で最低の日になると思っていたのに。

彼の、作ったような不器用な笑顔が。
最低な日を、最高な日に変えてくれた。




笑顔だけではなくて、言動全てが不器用な彼。
笑うのが苦手で、感情を表に出すのが苦手。
無愛想で無口な彼と一緒にいるのは、心地良かった。

沈黙がここまで心地良いと、わたしは今まで知らなかった。
沈黙とは息苦しいもので、続いてはいけないものだと思っていたのに。
彼の隣にいる時は、自然と沈黙が続いて…息苦しいと思わなかった。

一度も。
沈黙が心地良いと思えるのは、きっと彼だけだ。



「……」



本当に、大好きだった。
世界で、一番。



「……嘘、ですよね」



あなたの隣にいられるだけで、幸せなはずだった。
満ち足りている、はずだった。


「…嘘だって、言ってくださいよ」


生きていて良かったなんて。


「嘘だって」


沈黙が心地良いなんて。


「ねえ」


あなた以外、思えないよ



「ねえッ!嘘だって言ってください!!」




……待って、と。

あの日。
仕事が忙しくて、早く出ないとと、早朝寝坊した彼に伝えたあの日。
彼は珍しく声を荒らげて、わたしの腕を掴んだ。

待って、と。

どうしたの?と問いかけても、何も言わなくて。
ただ、目だけが異様に泳いでいて。
だけどそれを、わたしは珍しいの一言で済ませて、家を出た。

制止の声を、聴かないで。




「嘘だって、う、そだって……言ってよおおおっ!!」



人が水分で出来ているって、本当だ。

涙が止まらない。
止める方法を、わたしは知らない。

ねえ、教えてよ。
あなただけだよ、わたしの涙を拭える存在は。








わたしは、忘れないだろう。
一生。
この日を。

この日だけは、忘れたりしないだろう。

かけがえないのないあなたを、失ってしまった日を。


もし。
もし、たったひとつ、願いが叶うのならば。



あなたに、会いたい。





☆END☆





超中途半端で終わらせてしまったので、解説いきます



アイス・ティアーズを書いたのは、3月11日です。
何の日だか、わかりますよね。

私は当時中学2年生でした。

本当は詩を載せようと思ったのですが、良い言葉が浮かばなくて。
小説なら何かいけるだろうと書き始めたのが、これ。


この間のは、彼目線でした。

気付いている人もいるかもしれませんが、
実は似たような日常を繰り返しています。

あれは、
半分現実で半分が夢です

彼は、ハッキリ言うと、3月11日に亡くなっています
今回の目線である彼女は、仕事だと言って外に出ているため、被害には合いませんでした

帰って来た彼女は、近所の人とか…崩壊した家などを見て聞いて、
彼が亡くなったことを知り、「嘘だよね?」と教えてくれた人に問いかけますが

誰も「ドッキリでしたー!」とは言ってくれませんでした

何故彼が「待って」と言ったのか
何故同じ日常を繰り返しているのか…

それはわたしもわかりません←

ぱっと思いついたのを書いているだけなので
詳しい、細かい設定がないのです

基本、皆様の想像にお任せしています。投げやりでごめんなさい



題名ですが

アイスは

冷たいのice(つづり合っているか不明)

愛すをかけています

ティアーズは、涙

冷たい涙っていう題名です

我ながら何と残酷な…

愛すは、お互い相思相愛だったのだよー?と



何を伝えたいのか

うーん、ぱっと思いついたのでその辺はわからないですけど

生きているのは幸せなことだとか、多分その辺です


…というか、本気で泣きそうなので、この辺でおわります

バッドエンドは無理や、やっぱり笑



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2017/03/26 11:30
>セカンド様

流すのなら暖かい水であってほしいですね…

嬉し涙
幸せだから出てくる涙

世の中の水分は飲み水とそれであれば良いのに…
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2017/03/26 11:29
>海月 璃蓬鏍様

おぉ何だか星が降って来た(゚Д゚)ノ
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2017/03/21 01:32
愛すティアーズ

心の中にも
暖かな水分と氷の様に冷たい水分があるのかも

今流れているのは
どちらの水分かな?
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2017/03/20 22:21
おー!!よしよし!がんばれ!!ご褒美もあげるぞ! ほいっつ☆☆彡




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