Nicotto Town



ビシソワーズ

梅雨が明け、群青色の空に綿菓子のような雲が浮かんでいる。クーラーを効かせた店内にも、蝉の鳴き声が聞こえてくる。キッチンには、蝉の鳴き声にまけないくらい、女性の明るい声が響いている。

「せんせー、じゃが芋が熱くて、持てませーん。」
「モテないのは、じゃが芋じゃなくて、洋子さんじゃないの~」
「和子さんたら失礼ね。和子さん手の皮厚そうだから、代わりに裏ごししてよ。」

光一は、店が休みになる日曜日に、料理教室を開いていた。フランス料理の店を開いたばかりの頃は、全く客が来ない日もあった。口コミでお客が増えればと考えて、フランス料理の教室を開いていた。

フランス料理のバイブルと言われる「Le guide Culinair」を書いたエスコフィェは、「料理人はまず何よりも菓子職人でなければならない」と言った。それで、光一は、専門学校のフレンチのコースを卒業すると洋菓子店に5年勤めた。

洋菓子の技術を一通り身に着け、新宿のホテルでフランス料理の修行を積んだ。10年が過ぎ、雇われシェフとして声がかかり始めた頃、祖母が亡くなり空き家になっていた北鎌倉の家を処分したいと母から相談された。

35歳になり、独立も考えていたので、祖母の家を改造してフレンチ料理の店を開くことにした。北鎌倉の駅から近く、繁盛させる自信があったが甘くなかった。

民家を改造したカフェは流行っていたが、本格的なフレンチは敷居が高く、閑古鳥が鳴くような状況が半年間も続いた。時間はかかるが、料理教室を開き、生徒からの口コミで、お客を増やそうと考えた。

近くには、子育てを終えた主婦も多く、料理教室の定員は直ぐに埋まり、順番を待ってくれている人もいた。キッチンの広さから定員は3人で、このコースは、子育てを終えた幼馴染の洋子さんと和子さん、それと30代の佳代子さんがいた。

洋子さんが、じゃが芋を裏ごししながら、光一に聞こえるようにブツブツ言っている。「どうして、ミキサーを使わないのかしら。私の家にもミキサーあるわよ。」
和子さんも同調する。「それに、じゃが芋冷ましてからの方がやりやすいわよ。」

説明をしようかと思ったら、佳代子さんが話し始めた。
「ミキサーを使うと、じゃがいもの風味がなくなってしまうんです。冷めてもだめなので、熱い内に、裏ごししないといけないんです。」

洋子さんに、「先生そうなの」と聞かれた。
「佳代子さんの言うとおりです。裏ごしした方が、芋の風味が残りのどごしが良くなります。ミキサーを使うと、細胞がつぶれて、でんぷんが流れ出してクリームと混ざり、味がぼけてしまいます。」と答えた。

和子さんが、佳代子さんの肩を叩きながら、「詳しいのね、佳代子さん、どうして料理を習っているの。旦那さんに美味しい料理を作ってあげるの?」
「いえ、独身です。日曜日に一人でいるより、自分磨きをした方がいいかなと思って、それに、美味しいもの食べるのが好きですから。」

和子さんと洋子さんの目が輝きはじめ、お住まいは、お仕事はと、佳代子さんを質問攻めにして、呼び方もいつの間にか、かよちゃんになっていた。

和子さんと目が合ってしまった。
「ねえ、かよちゃん。美味しいもの食べるのが好きなんでしょ。先生なんかどう。まだ、独身だし彼女もいそうにないわよ。」
「私、旦那さんには、美味しいご飯を作ってあげたいんです。自分より料理が上手だと嫌です。」と佳代子さんは小さい声で言った。

洋子さんが、言った。
「先生、残念ね。」

「はいはい、粗熱が取れたら、牛乳を加えて、塩コショウで味を整えます。」
何も悪いことをしていないのに、居心地が悪い。ボロボロになるまで読んだエスコフィェの本には5,000種以上のフレンチのレシピが載っているが、女性との付き合い方は少しも書かれていない。料理教室が終わったら、本屋に行こうと思った。


【ビシソワーズのプロのレシピ】
◇材料
 じゃが芋    250g
 玉ねぎ     150g
 ポワロ―      50g(太ネギの白い部分で可)
 無縁バター     10g
 チキンブイヨン 500g
 食塩       8.5g
 白コショウ    少々
 牛乳      750g
 生クリーム   150g

◇作り方
(1) 玉ねぎ、ポワロ―、ジャガイモはスライスしておく。
(2) 鍋にバターを入れて、ポワロ―と玉ねぎを炒める。火加減は中火。
(3) 玉ねぎが透き通ったら、じゃが芋を入れて、強火で2分炒める。
(4) チキンブイヨン、塩、胡椒を入れて15分間沸騰させる。
(5) 熱い間(90度)に裏ごし。ミキサーだったら30秒以内。
(6) 粗熱がとれたら、冷たい牛乳を注いで、冷蔵庫で冷やす。
(7) 生クリームを混ぜて、冷たいカップやグラスに注ぐ。

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2019/07/28 00:39
さなちゃん
すんません。誤解してました。
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2019/07/27 23:28
缶酎ハイなんて最近あまり飲んでないですよ?
あ、今夜は飲んでた(ノ∀`)アチャー
信玄餅も年に1度食べるかどうか・・・(´;ω;`) ウッ
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2019/07/27 19:00
みいちゃん
フレンチのシェフが普段作っているレシピです。出来上がりが1500ccですが、ビシソワーズはお店ではカップやショットグラスのような小さい器で出てきますね。ジャガイモなのでお腹が膨れるので少量で出すみたいです。1500cc出来上がったら、満腹になってしまうかもしれません。

ゆりかちゃん
料理も上手だし、抜群のスタイルを維持しているし、ゆりかちゃんの自分磨きは完璧でしょう。後は、城持ち大名クラスの男性をつかまえることだけです。料理教室よりは、兵学校とか道場や小和田先生のシンポジウム会場の方が見つけやすいかもしれません。お出かけください。

mさん
いつじゃが芋のスープを食べるか預言してあげましょう。娘さんのお見合いの席だと思います。是非、その場で、ビシソワーズのうんちくを語って、場を和ませていただきたいと思います。相手の男性がからんできたらダメな男です。男は黙って美味いと言って食べればいいのです。

a01さん
フレンチのスープなので、お高いお店じゃないと出ないですね。ジョナサンはポタージュやミネストローネはあるけど、冷たいスープはありませんでした。缶詰やレトルトも多く販売されていますが、でんぷんが添加されていて、ミキサーと同じような食感とのことでした。
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2019/07/27 18:40
さなちゃん
信玄餅ばかり食べて、缶酎ハイを飲んでばかりいると思ったら、ビシソワーズも作っているんですね。成長したものだ。その勢いで、「ラムステーキ・アコンパ二エ・ダ・アンコンフィ・ドゥ・トマト」も作ってください。

clefさん
料理教室に通われていたのですね。自分は、自己流だし、料理本のレシピを見て作ったりと基本ができていないので、料理教室に通ってみたいですね。検索したら、ル・コルドン・ブルーがヒットしました。ちょっと、本格すぎます。「男の週末料理」のような教室がいいです。

aiさん
予習復習が大事だと小学校で教わりました。敵を知れば百戦危うからずと孫子も言っています。ぼろぼろになるまで読みこなし、女性のことを学ばなければいけません。修行しなくてもハレンチは得意かもしれません。

あずささん
募集してみましょう。今は、料理男子も激増しているので、多くの応募があると思います。日記に書いたレシピだと、1.5lのビシソワーズが出来上がります。一人では食べきれません。彼氏と一緒なら...まだ、多すぎるので1/3くらいの量で作ってみてください。

たまちゃん
いつもいつもせこいことばかり言って、申し訳ありませんが、スヌーピーパン高すぎやしませんか。パン1個972円はないでしょう。場所も銀座三越だし、スヌーピーは庶民の味方ではありませんね。ガレットも「ル カフェ ドゥ ジョエル・ロブション」製じゃないですか。

環謝さん
冷たいじゃが芋のスープより、温かいみそ汁の方が白いごはんに合うのです。ご飯を食べない環謝さんはビシソワーズの方がいいかもしれません。環謝さん好きの高級生食パンにあいそうなので、作ってみましょう。

リンゴさん
白ネギ使えば、材料もよく使うものだし、ミキサーを使えばすぐにできそうですね。お昼ごはんのパスタやパンの時に作れば、おしゃれで美味しそうです。ビシソワーズには、白身魚のポワレが合うそうです。ちょっと出汁を入れての蒸し焼きでしょうか。是非、作ってください。

オレンジ先生
人見知りだったんですか。ちびっ子はもちろん、わんこにも後輩や同僚の先生にも慕われているのに以外です。料理教室は寡黙な人が多そうなイメージがあります。料理をきちんと身につけようと思う人は真面目な感じがします。

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2019/07/26 23:57
冷たいスープってだけで、なんか高級っぽさを感じる。
初めて飲んだのがちょっとお高い店だったからかな?
料理にもイメージってありますよね。
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2019/07/26 22:48
ジャガイモの冷たいスープ~~~この夏は食べる機会に恵まれるかなぁ~~~?
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2019/07/26 07:32
おはようございます、沖人さん。

料理教室か~。
安くて簡単なお手軽料理を目指す私には、本格フレンチは敷居が高いですね。
ビシソワーズ(もどき)は作るけど、裏ごしなんてしたことありません。

全てをミキサーに頼り切った料理生活を送っていますが、
芋の風味がなくなるのは初耳でした。
沖人さんは、本当に何でもご存知ですね~^^

私も佳代子さんを見習って、もっと自分磨きがしたいですが、
人様に作って貰えるなら、それだけでご馳走ですv
ささっと料理が作れる男性は、かっこいいと思いますよ。

ビシソワーズのプロのレシピは、とても美味しそう♪
沖人さんなら、ささっと作れそうですね(*^^*)
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2019/07/26 07:21
無塩バター、いつも有塩バター使って調味料も適当に振ってるので(・_・;)
↑このレシピ本格的で、絶対美味しいですね。(゚д゚)(。_。)ウン
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2019/07/25 22:38
お料理教室
楽しそうですね。
でも私は人見知りしちゃうので
人間関係で疲れそうです・・^^
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2019/07/25 21:59
ビシソワーズ初挑戦してみよう♪
このレシピはとても分かりやすいですね。
冷たいスープは夏にヨキです。
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2019/07/25 21:47
ビシソワーズ作ったこともなければ、飲んだことも(多分)ないかなぁ!
ぜひ作ってご馳走してくださいませ(●´ω`●)
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2019/07/25 21:04
おいしそ~~~♪
レシピがあるということは、当然沖人さんも作ってますよね?いいな~♪
今は「SNOOPY in 銀座」開催中で、スヌーピーの大きなパンが期間限定で出ているので、
お昼はスヌーピーの顔を2日間かけてかじります。
ビジソワーズを作る優雅さとは大違いです(笑)
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2019/07/25 16:25
冷たいビシソワーズ作っててくれる彼氏募集しようかな♡
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2019/07/25 15:32
女性と付き合うにも、本を買ってボロボロになるまで読むんですか?w
修行合わせて20年?ハレンチにならないように!(;'∀')

高級フレンチとかは、素材・調味料と普段手に入らないものが多いけど、これなら作れそうですね(^^♪
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2019/07/25 00:31
ビシソワーズ、大好きな料理の内の一つですw

冷製でも温製でもどちらでも好き♪
私も作った経験あります、やはりミキサー使いましたね、便利だし(笑)
20代の頃は一年間だけ実家近くの料理教室に通いました、一応花嫁修業で^^;
その時にフレンチのmenuもいくつかありましたが、あまり役にたったかどうかは。。。
私の料理の経験は殆どが自炊生活からでしたから、料理教室がさほど役にたったかは疑問w
やっぱり自らやろうと思ってやった方が身に付くように思います。

私は料理上手な男性は大歓迎です、作ってもらえる方が嬉しい^^
但し、無条件に喜んで作ってくれる人がいいです、何かの度に"作ってあげてるのに"
って言われる方には作って要らない、自分で作ります。。過去の経験からですが^^;

このrecipeで、また作ってみようかな………recipe有難うございます^^
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2019/07/24 23:56
ビシソワーズは何度か作ったことがありますが
ミキサーを使用した気がします・・・(ノ∀`)アチャー

今度参考にプロの味を再現してみたいと思いますw
沖人さん、まずはお手本をおまちしてますねーヾ(≧▽≦)ノ イヒヒ




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