Nicotto Town



大きいことはいいことだ(後編)

ペペロンチーノは、イタリア語でそれぞれニンニク(aglio)・オイル( olio)・トウガラシ(peperoncino)を意味しており、直訳すると「ニンニクとオイル(オリーブ)と唐辛子を使ったパスタ」って意味になりますね。
  ネットから


煙草を吸い終え、席を立とうとすると、綾瀬はるかが、「少し待ってください。」と言って、テーブルの上にナポリタンと水を置いた。

「これは、私からのお礼です。弟に付き合っていただいて、ありがとうございました。あの子は、人見知りが激しくて、私以外の人と話すのは、珍しいんです。ナポリタンで良かったかしら。好きなパスタがあるんですか?」
「ペペロンチーノが好きです。」

綾瀬はるかが、不満足そうな顔をしながら、向かいの椅子に座った。

「ペペロンチーノは、絶望のパスタと言われていて、何もなくても、オリーブオイルとニンニク、唐辛子があれば作れる家庭料理なんです。お店で出すものじゃないんですよ。喫茶店のパスタと言えば、ナポリタンとミートソース。ここは、海沿いにあるから、ボンゴレとペスカトーレも置いているけど。」

「そうなんですか。ボンゴレも好きですよ。」
「ナポリタンは、喫茶店のためのメニューなんです。前日に柔らくなるまで茹でて、サラダ油を絡めて冷蔵庫で冷やしておくんです。注文を受けたら、少しのピーマンと玉ねぎ、輪切りのウィンナーと一緒に炒めて、ケチャップを絡めるとできあがり。パスタを茹でる時間がいらないから、お客さんを待たせないんです。」

「これは、ウィンナーの輪切りでなくて、タコさんウィンナーですね。」
「サービスです。目は黒胡麻にしてみました。」

綾瀬はるかが、にこりと笑った。笑顔が眩しくて、目を合わせることができない。うつむくと、大きな胸が目に入った。大きな胸の女性に悪い人はいないと言ったのは、ベーコンだったか、ソクラテスだったか思い出せない。目を合わせることができないので、やむなく、胸を見つめていた。やむなく。

「弟が、人付き合いが苦手になったのは、自分のせいだと思うんです。」

何を言い始めるのだろうと、顔を上げると、彼女は、窓から外を眺めていた。彼女の話を促そうと、タコさんウィンナーを口に運びながら、「どうして」と言った。

「私が高一の時に、母が亡くなったんです。弟は、まだ、小学校三年。私は、母の代わりに、家事や弟の世話をしないといけなかったんです。」
「頑張ったんだね。」

「それなんですよ。みんなが頑張ってるねと言ってくれるんです。父や弟に、母親の役割を期待されているなと思って、自分をそのキャラにしていたら、褒めてくれるんです。自由はなかったけど、自分の居場所が分かりやすかったんです。」

僕は、うなずいた。

「弟には、私のようになって欲しくなくて、自分で決めなさいって、自主性に任せていたんです。今、思うと、自分で決めるって、すごく、難しいことじゃないかって思うんです。」
「大人だって、自分の人生を判断するの難しいね。」

「親に、勉強しろって言われたり、残さず食べろって言われるの、すごく嫌だけど、そうすれば親に喜ばれるから、自分が認められたって思うようになると思うんです。弟は、そんな機会が少なかったんじゃないかと思って。」
「承認欲求が満たされなくて、不安だったってことかな。」

「弟は、会ったこともない人たちとLINEをして、いつも、一人で海の写真を撮っているんです。そんな弟が、おじさんと話をしているのを見て、少し、嬉しくなったんです。」
「心配しすぎただと思う。今どき、そんなものじゃないかな。それに、しっかりしてた。」

綾瀬はるかが、ニコッと笑った。笑顔が眩しくて、やむなく視線を落として、大きな胸を見た。やむなく。

「いろいろ口うるさく言ってくれた方が幸せですよね。早く結婚しろとか、箸の持ち方が綺麗な人と結婚しろと言われていたら、私も、ふらふらしていなかったかも...です。」
「どんな人がいいんですか?」

「食べ物の好みが合う人がいいです。そして、注文の早い人。なかなか、決められない人を見たら、仕事がら、いらいらしてしまいます。『今日は、カレーが食べたいな~』、『私もそう思ってたっての~』というのに憧れています。」
「いいね」

「カレーだと、甘口、辛口、どっちが好きですか?」
「辛口、激辛がいいかな。ココイチだと7辛くらい。」

「私は、甘口が好きです。オムライスだと、どんなのが好きですか?」
「ラグビーボールを縦に切ったような形で、薄い玉子焼きで覆われて、ケチャップがかかっている昔ながらの喫茶店で出てくるのがいいな。」

「私は、ふわとろでデミグラスソースに生クリームが少しかかっているのがいいです。」

彼女は、立ち上がり、空いた皿やグラスを持って、カウンターに戻って行った。

『辛いカレーが好きだけど、たまには甘いカレーも美味しいですね。』とか、『ケチャップ味が好きだけど、デミグラスソースも高級感があっていいですね。』と答えるべきであった。

質問者の選択肢を狭めない回答が正解だった。令和時代のコミュニケーション術を身に付けなければいけない。

喫茶店を出る時に、綾瀬はるかから、帰りの車の中で飲んでくださいと、カップに入った珈琲を渡された。煙草を返しながら、もう一度、大きなおっぱいを見て、車に向かった。

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2020/01/27 23:16
genzoさん
ペペロンチーノは、ニンニクさえあれば作れるので、手軽で美味しいですね。自分で作るパスタの95%はペペロンチーノです。それ以外は、シーチキンと鰹節に醤油、ごま油少々です。大葉とか、野菜を追加できるのもいいところです。

スズランさん
昔は、高学歴、高収入、高身長が必須の条件だったかもしれませんが、今は、多様な時代。一緒にいってほっとできるとか趣味が同じのように、感性が重視される時代になったと思います。山ガール、城ガール、鉄子さんと、趣味も多様化。へんな趣味の素敵な女性もどこかにいるかもしれません。

れんげさん
勉強してますね。高校生の頃に、上野千鶴子の本を読んで、こいつは、何を言ってるんだと思いました。四国の田舎高校生だったから、仕方がありません。自分のポリシーとしては、多様性が一番大事だと思ってますので、いろいろあっていいと思っています。

あずさちゃん
松の実が家にあるなんて、お母さんは料理に凝っていますね。家にあるウー・ウェンさんの北京小麦粉料理の本を見ても、松の実を使った料理は、マオアール(猫耳)を小さくしたガーダを使った炒飯のような料理の材料にしか出てきません。お母さんに、料理をしっかり教わりましょう。

mさん
オムライスには、福神漬けだと思ってました。カレーには、福神漬けがいいのか、らっきょがいいのか悩みます。子供の頃は福神漬けでしたが、だんだん、らっきょに傾いてきています。酢が健康的な気がします。ニコ店に合わせて、オムライスの注文。旬を大事にしてますね。
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2020/01/27 18:00
おっ!
今日の昼、食堂で昔ながらのケチャップかけたオムライスを食べました。
横に福神漬け、置いてあったのが←謎
味噌汁ついてるのはまあいいか(^^)/
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2020/01/27 17:29
ペペロンチーノに松の実とツナを入れたら美味しかったです
うまうま)^o^(
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2020/01/27 17:20
先ほど、フェミニストの意味を調べていたところでした。
男でも女でもそれ以外でも、
おっきくてもちっさくてもそれ以外でも、
甘党でも辛党でもそれ以外でも、、
ありのままが尊重される世の中が良いですね^^

でも、誰かと絆を築いていくには、、
ますます大変な時代になっていくように感じます(~_~;)、、
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2020/01/27 15:52
綾瀬はるか似の大きなおっぱいって、
ライバル多過ぎですよ。そういう女性は条件も厳しいですよね。
即答が欲しいと言っておきながら、この態度だし
知識を活用しても、散々。令和時代ですね~(笑)
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2020/01/27 12:58
ナポリタンでもボンゴレでもなく、
何故かペペロンチーノが食べたくなりました^^お昼に作ろうかな。
おっぱ・・・・おっと~安定感のあるお話でギリセーフなのであったヽ(´▽`)/ww
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2020/01/27 12:36
環謝さん
そう、ニコタ事務局に怒られないようにしないといけないからな。しかし、作者の思いは、タイトルに表れているはずだ。
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2020/01/27 12:31
なるほど、、、
おっぱいメインの話にはさすがにできなくて、、、
ナポリタンのうんちくを書くことにしたんですね、わかります(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪
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2020/01/26 23:32
つん
そうなのであーる。
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2020/01/26 23:11
そうであーるか
それは 大変失礼したであーる
ふふふ( *´艸`)
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2020/01/26 22:58
つん
作者の本意は、「認知への闘争」の解説である。しかし、前編後編に及ぶ超大作になってしまったので、読者が飽きないように、やむをえず、おっぱいを登場させたのであーる。決して、作者の好みを書いたものではないのであるが、大きいことはいいことだ。

環謝さん
注目すべきところは、そこではない。ナポリタンの作り方だ。前日に茹でて、のっぺりとさせておくのがポイント。戦後は、薄力粉しか手に入らかったので、腰のあるパスタを作ることができなかった。その麺を美味しく食べるための工夫なのだ。

たまちゃん
たまの好みは、マロン、スヌーピーパン、ガレットか。あまり、日記に食べ物が登場してない。そこから、導かれるのは、人様に言いづらい嗜好があるということかもしれない。おそらく、男子高校生が大好きなラーメンの上にから揚げが山盛りになっているがっつり系だろう。
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2020/01/26 22:00
いつもながらのオチ、なんだか安心します。すばらしい安定感!
食べ物の好みは重要ですよね。自分の嗜好を曖昧にしておいても、
相手に合わせるばかりになって不満がたまっちゃう。
かといって、自分の好きなものを食べてるときに、目の前の相手が文句たらたらだと
せっかくの好きなものもおいしくなくなるし。難しいですね~
ちなみに私はまだPHS。スマホかガラケーに変えましょう、とお達しが出てますので、
PHSよりガラケーの位置づけの方が上です。ガラケーに負けるなんて侮辱ですw
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2020/01/26 21:58
いっぱいおっぱいっていう単語が出てきました。。。
そして、やむなく。。。(●´艸`)プププーッ
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2020/01/26 21:45
なるほど~
前編で「綾瀬はるか」ちゃんの登場で 作者の欲が見えたような気がしましたが、
後編の「やむなく おっぱい」で 作者の欲望がはっきりしましたw
それで「大きいことはいいことだ」なのですねw

「大きめの胸」と長い付き合いともなるとあまり人の目線は気にならなくなります。
見てる人が何を思っているのか知りませんが 見られてる分は気にならなくなりました。

海岸近くの喫茶店?カフェ?いいですねぇ~ 憧れますw
ただ・・・塩害で建物の維持は大変そうなのと 窓ふきは忙しそうですねw
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2020/01/26 20:43
寧々子さん
ヘーゲル、プラトン、マキアベリ、ソクラテスまで出てきた、どこから読んでも、西洋哲学の系譜をたどる哲学入門です。おっぱいなんかに、惑わされてはいけません。

みゅうさん
綾瀬はるかは、ハードルが高かったですね。目を見て、話せないようではいけません。コミュニケーションは目線や表情が大事ですから、根性なしと思われてしまったでしょう。

あずさちゃん
ナポリタンもペペロンチーノも出てきた、どこから読んでも、パスタ史の入門書です。おっぱいなんかに、惑わされてはいけません。あずさちゃんが生まれる前は、パスタと言わずに、スパゲッティと読んでいました。イタリア語で紐です。
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2020/01/26 20:10
ほんとおっぱい小説ですね~(˘ω˘)
一体何回書いてんだろ
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2020/01/26 19:36
前編も後編も読ませて頂いています
上手くコメントできないで申し訳有りません
綾瀬はるかにの人にお付き合いしませんかと申し込めば、良かったのに
当たって砕けろって言うでしょう、タイミングを逃しましたね。
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2020/01/26 19:29
おっぱいしか印象に残らないのは私だけであろうか
寧々このおっぱいは小さい。




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