Nicotto Town


雪うさぎが呟く


羽の生えた亀

ガラスをとかしていて、玉作りがうまくいかないので、気分転換に「なんちゃってガラス細工」をしてみようと思った。

手元のガラス、茶色を丸く溶かして、練乳色で点々をつけ溶かし込む。薄黄色を細くとがらせて6カ所につけ、さらに重ねてボリュームを出す。一カ所は細くとがるように、反対の一カ所はずんぐり丸くなるように。

残り4カ所に透明の黄色を少しだけつけて爪をつくり、ずんぐりしたところへ黒い小さな点を二つ打つと目になった。

すると亀が私に「羽をつけて」といった。「羽?」思わず聞き返したら、じれったそうに首を振って「そう、羽!」

「何で、亀に羽がいるの?」と汗を拭きながらいうと、亀は細い棒の先でため息をついた。

「私ね、団地に住んでいたの。」(へえ・・亀がねぇ、私と一緒じゃん)
「で、毎日つまらなかったから、神様に羽をくださいと頼んだの」(神様?亀の神様?)

「そうしたら、団地の5階から飛んでごらんっていわれて、飛んだらいつの間にか羽が生えていたの」(・・・・・・)

だったら、と私は亀に聞いた。「今は毎日が楽しい?」
亀はじっと私を見返した。

「亀なんて、普通は飛ばないものなの。やっぱり、どこへいってもつまらないわね」きっぱり言い切ると亀はガラス細工に戻った。

透明ガラスでくるんだ白の細引きを甲羅の2カ所に何度かつけて、羽のある亀ができあがり。




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