マスクをして
雑巾を沢山
残り湯を汲み置いて
洗剤に消臭スプレー
机の下
棚の裏
天井に
流し台
慌しさの影に
少しずつ積もった
淀んだ空気を
入れ替える
風が味方して
優しく吹き抜ければ
気持ちもどこか
晴れやかになる
すっきりと呼吸すれば...
木の葉の揺らめきに
そっと香りを乗せて
冷気と共に
頬を横切る
薫り高い使者は
姿を隠しても
気配を辺りに伝え
秋の深まりを
柔らかに告げていく
夜風の吹く街
冷気が肌を過ぎる
風は雲を掃い
幾重にも塗られたような
深みのある黒を
私の瞳に映し出す
ほんのりと
赤みの差した月
真下に一つ
星を宿らせて
漆黒の中に浮かび上がる
空を覆う薄い雲
その向こうにぼんやりと
光って浮かぶ丸い月
ただ柔らかにうっすらと
辺りを優しく照らしてる
いつしか風が運び去り
今度ははっきり輝いて
やっぱりそこに浮かんでる
辺りを照らす優しい色は
心に優しさ響かせる
青空の
気配の残る
明るさと
暗さの間
うっすらと
顔を出すのは
淡い色合いの
白い輪郭
金色に輝くよりも
数段大きな姿で
西の空へ
太陽を見送り
東の空に
ゆっくりとのぼる
