アメリカの寛容は健在
- カテゴリ:映画
- 2010/02/02 18:27:00
もうすぐアメリカで映画界最高の栄誉であるアカデミー賞のノミネートと発表があるが、毎年同じ時期に「ゴールデン・ラズベリー賞」というのが授与されているのをご存じだろうか?
正式には「ラジー賞(Razzie Award)」といい、野次を意味する「Razz」という英単語が語源らしい。で何の賞かというと、過去一年間で「最低!」な映画をアカデミー賞と同じように各部門で選ぶという、いわば逆アカデミー賞である。
受賞者に贈られるトロフィーが、金色に塗ったラズベリーの実のような形をしているので「ゴールデン・ラズベリー賞」とも呼ばれるようになったそうだ。
さて今回で30回目というから、結構歴史ある賞である。もちろん半分冗談でやっているのだろうが、近年はアカデミー賞の方でノミネートされた大作が「受賞」するケースも増えたそうで、アメリカ人の反権威精神、反骨精神の表れと見る事も出来る。
さて今回の、つまり2009年公開分のラジー賞の候補が発表された。
最低作品部門では
「All About Steve (日本では未公開)」
「G.I. Joe: The Rise of Cobra (邦題G.I.ジョー)」
「Land of the Lost (邦題マーシャル博士の恐竜ランド)」
「Old Dogs (日本未公開)
「Transformers: Revenge of The Fallen (邦題トランスフォーマーリベンジ)」
最低男優にはジョン・トラボルタ、最低女優にはサンドラ・ブロックも含まれている、といった具合だ。
アメリカ人は我が強くて独善的な面もあるが、こういうイベントにハリウッドが目くじら立てないという、結構寛容な面もあるのだ。
これに選ばれた俳優や監督は内心ムカつくはずだが、堂々とパロディーとしてやる分にはケチはつけない、というわけだろう。
そう言えば「馬鹿馬鹿しい発明」を毎年表彰する「イグ・ノーベル賞」というのもアメリカ人が中心になってやっている。
授賞式とかは無いが、毎年アメリカではスポーツ記者の投票でプロ野球の「Hall of Shame」というのを決めている。「National Baseball Hall of Fame」のもじりで、後者は日本では「野球の殿堂」として有名だ。前者は「赤っ恥の殿堂」といったところだろうか。
日本人は権威に弱いというか、偉い人が決めた事には盲従する傾向が強い。
一面では「和を以って尊し」の精神であり、それは美徳なのだが、その偉い人の言っている事が間違っている事だって必ずあるわけで、それに気づいても気づかないふりして黙っているという結果になるなら、けしていい事ではない。
アメリカ人は他人や他国を批判する時は情け容赦ないが、だからこそ自分が批判される事にも寛容でなければならない、という考え方の持ち主でもある。
少なくとも根拠のある批判を正々堂々とオープンにやる分には、それは相手の表現の自由として受け入れなければならない。腹の中は煮えくりかえっているとしてもだ。
最近はアメリカ人が日本人から学ぶ事も多くなったらしいが、日本人もアメリカ人のこういう批判精神、批判に対する寛容の精神はもっと学ぶべきだろう。
さてその「ゴールデン・ラズベリー賞」の授賞式なのだが、さすがにトロフィーを受け取りに出席した映画人は過去29年間で、片手で数える程しかいないそうだ。それでもゼロでないのはすごい。
アメリカという国もまだまだ捨てた物ではないな、と思うのだがどうだろうか?
そこは、見習いたいですね。。
重箱の隅をつつきあうような、、、情けない国会とか。。。
まだ、こどもの学級会の方がまともだな。。。って思うときありますもん。。。
そうでもないのでしょうかね?(^^)