Nicotto Town



企業における老害と若害

長引く不況で若者の間に「終身雇用」への回帰の傾向が強まっているという。
景気が良かった時代にはキャリアアップのための転職がもてはやされたが、再び大学生や20代のサラリーマンの「定年まで同じ会社に勤めたい」という願望が強まっているらしい。

先日何かのニュースサイトで、とある大企業の偉い人がこの傾向を歓迎する意見を述べているのを見た。経営者サイドにとっては良い事だと考えているわけだ。
だが我輩に言わせれば、現場を知らない能天気管理職のたわごとである。

終身雇用と年功序列の組み合わせはうまく機能すればもちろん利点もある。
だが、現場の兵隊から見ると、この組み合わせは「老害と若害」に他ならない。

老害というと役員などのトップクラスの偉い人の話だと思われがちだが、実は実務現場の兵隊レベルの老害こそが一番深刻な問題なのだ。
そして、これは我輩の勝手な造語だが、それに「若害(じゃくがい)」がくっついて回るようになっているのが、日本のある程度以上の大企業の共通の病理である。

現場の老害というのは例えばこういう事だ。有名な笑い話だが、ある企業の総務とか経理とかの部門で最新バージョンのエクセルを導入した。
知っての通り、エクセルというのはデータの数字さえ打ち込んでやれば、合計値、平均値などのあらゆる統計結果をパソコンが自動的に計算してくれるソフトだ。

ところが結構な数の大企業でこんな爆笑物の光景が一時見られた。
エクセルの各欄に数字を打ち込んだ後、電卓で合計や平均を全部いちいち計算し、その数字を合計や平均の欄に手作業で打ち込んでいた、という話である。

これが管理職がPCに不勉強だから起きた事なら、実はまだいい方なのだ。その勘違いを正してやれば解決する話だからだ。
しかし大企業の老害というのは、例えばエクセルがそういうソフトだという事を百も承知の上で電卓での手作業を続けさせる、という話なのである。

つまり年長の社員が、自分が新しい事を勉強したりするのが嫌なばかりに、部下や後輩に信じられないような非効率な仕事のやり方を強要するという事なのである。
こういう老害社員はしかるべき所へ左遷するか、その任から降ろすべきなのだが、管理職がその点を見抜けないと、その企業なり部門なりのコストパフォーマンスは目も当てられないほど悪化する。

一昔前までは、そういう老害社員がいても若手が相手にしなかったから何とかバランスは保てていた。しかし我輩の経験から言うと、若者の企業帰属意識が再び強まった頃から、こういう老害とセットになって「若害」が起こり始めた。

若害とは何の事かと言うと、若手の社員が「職場の和」だの「良好な人間関係」だのを最優先し、上記のエクセルの例の様な馬鹿馬鹿しい事に疑問を抱く事すらなくなってきた、という事だ。

「職場の和」や「良好な人間関係」はもちろん大事である。だが、それらは「仕事を円滑に進める」という目的のための手段である。
和や人間関係のために仕事の能率をわざわざ落としたり、業績には何の関係もない事にばかり社員が目の色変えている、というのでは本末転倒である。

企業への帰属意識が強まっても、こういう手段と目的を取り違えた若手ばかりになって「一生この会社にいたいです!」と言い出したら、それは経営者にとっては憂慮すべき事態のはずだ。
にも関わらず終身雇用への回帰が強まったという表面的な事実だけを見て喜んでいる経営者が妙に目につく。

こういう「会社に忠実な」若手なんてのは、少なくとも我輩の様なタイプにとってはハタ迷惑でしかない。なぜなら正社員になった時点で「人生のゴールイン」だと勘違いしていて、正社員になってからの勉強だの自己研鑽だのに全く無関心だからである。

自営業ならともかく、サラリーマンというのは入社こそがスタートラインのはずだ。
だがこういう若害社員は仕事の能率や結果など二の次三の次。時代遅れもはなはだしい馬鹿げた仕事のやり方をしている老害社員に必死になって合わせようとする。

その結果職場の士気は下がり、本当に優秀な若手はさっさと辞めて行き、ミスは増え、能率は下がり、コストパフォーマンスは悪化の一途をたどる。
これが大企業における「終身雇用回帰」の正体である。そして今後中小企業にも波及する恐れがある。ゆとり教育を受けた世代が社会に出てくるからだ。

人の和や人間関係はあくまで手段であり、危機的な状況にある企業や部署ではむしろ喧嘩させるぐらいでちょうどいい。
管理職がいつまでもこれを理解出来ないままの企業は早晩淘汰される。そうなっては和も人間関係もへったくれもなくなる。

なんとか日本企業の偉い人たちは早くその点に気付いて欲しい。

アバター
2010/06/18 11:21
そんなに、ひどいんですか??

あちゃー

新旧のいいとこどりで、いけたらいんですけどねー
アバター
2010/06/17 06:32
おおざっぱにとらえると「右へ倣え症候群」?
右がろくでもなかったらみんなとんでもなくなってしまいますね。
うちの職場は最低限のパソコン環境はありますし、上司もわからないなりに「よきに計らえ」かな。
それがいいとも限りませんが。
ある程度人と違ったことをしようという気風がないと、どの業界も伸びてこないんですけどね。
アバター
2010/06/17 00:02
納得。ホントどうしたらいいんでしょう?
アバター
2010/06/17 00:01
さすがに「エクセルに向かって電卓を叩く」「印刷したワード文書をPCに手入力する」
といった手合いは10年ほど前に絶滅しました…私の身の回りでは。

それ以前には「メールを送ると返事が電話で返ってくる」
「人事異動案(極秘文書)を職場の共有PCに部下に入力させる(共有PCなので誰でも見放題)」
なんてのもいましたが。
アバター
2010/06/16 23:45
「国際情勢」
「政治・経済」
「語学力」
「PCスキル」
「即戦力」
「バイタリティー」
「チャレンジ精神」
「コミニュケーション能力」・・・

企業は一体、
どれだけの''完璧超人''を求めておられるのだろうか?
http://www.youtube.com/watch?v=lWOfnFA8sqA&feature=related

面接を、結婚のお見合いに例えられたりするのですが
どうも、最近は
「就職する側」より「採用する側」のほうが
高望みしすぎなんじゃないかと思う
http://www.youtube.com/watch?v=MtUoMgY223I&feature=related

「ビンラディンとブッシュ家って、前から仲良しですよね?」
とか言ったら、ここも絶対に落ちるような世の中だし・・・
https://www.cia.gov/
アバター
2010/06/16 21:55
老害でも若害でも、犯罪でも起こさない限りくびにはできないのが日本の会社。
セーフティネットは企業が担っていますから。もしくびにしてしまったら、即生活保護行きです。
意識的な若害はまだ良いのですが、まわりの影響でそれが当たり前だと思っている若害が困ります。
朱に交われば赤くなるのですね。
アバター
2010/06/16 21:29
害というほどじゃないけど、細かな仕事の手順でうるさく言われていらっとすることあります。
上司だとしても多少は反論出来る関係がいいですね。
アバター
2010/06/16 20:16
ふむ~。




Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.