Nicotto Town



悪魔は細部に宿る

「悪魔は細部に宿る」という言葉をご存じだろうか?
これは元々は欧米の鉄道事故や飛行機事故の原因調査の現場から出てきたフレーズだ。

飛行機の墜落、列車の脱線、工場の爆発など大勢の犠牲者が出る大事故は文明の発展と共にたくさん起きてきた。
さて、それだけの大惨事なのだからさぞや普通では考えられない異常な出来事が起きて、それが原因のはず、と人間は考えがちだ。

ところが、そういう異常事態ももちろんあるが、大惨事の原因を突き止めていると「はあっ?」と言いたくなるような、ささいな手違いやミスである事が意外なほど多い事が分かってきた。

例えばジャンボジェットが墜落して乗客全員が死んだなんて話なら、誰でもエンジンの考えられない異常とか雷の直撃とかを真っ先に想像するだろう。
ところが機体点検時に不慣れなエンジニアが左右の部品を間違えて取りつけたのが真の原因だった、なんて話は実際にある。

まさに事故の原因という名の「悪魔」は意外な細部に隠れているわけだ。
そしてこれは会社の日常のビジネスにも当てはまる話である。

我輩の勤める会社はいろいろな種類の製品、サービスを扱っている。
我輩の属する部署の業務の一つに、会社の他の部署がリリースした情報を英文にして顧客に届けるというのがある。

もう何年も前からなのだが、その他の担当部署がリリースした情報が英文になって我輩の部署の顧客に届くまで一カ月近く間が開いてしまうという問題が起きている。
もちろん英語に訳すのに一カ月かかっているわけではない。せいぜい2,3日で英訳は完了している。

それがその後顧客の手元に届くのに一カ月近くかかってしまう。インターネットでこれだけ素早く情報が出回る時代にそんな事があれば顧客に見放されるのは当然である。
これは係長とか課長クラスの不手際なのだが、なぜそんな遅れが出るのか誰も分からなかった。

当然兵隊は「これじゃ俺たちがいくらがんばっても意味ないじゃねえか!」という不満が出る。普段兵隊がミスすると鬼の首取ったように叱りつけている連中が仕事をぶち壊しにしているわけだから、兵隊は「馬鹿らしい。真面目にやってられるか!」という気にもなる。

実はほんの1,2か月前我輩がその原因を特定した。これが笑っちゃうほど単純な事だったのだ。

兵隊が仕上げた仕事の書類を保管しておく引き出しがある。そこへ新しく仕上がった書類を置くとき一番上に置く。ところが次のプロセスのために取りだす時に、一番上から順に取り出しているのだ。

その引き出しの中の書類は数日分をまとめて保管するための物だ。新しい物を上に重ねて置いて、取り出す時も一番上から取り出す。何が起きるか?もうお分かりだろう。
下の方に置いてある書類はいつまで経っても取り出されず何日も何週間もそのままほっておかれる事になる。

で、たまたま上の方の書類が全てはけた時、下にあった書類を取り出すともう3週間以上も前に兵隊が仕上げた物、という事になる。
解決法は簡単。新しい書類を引き出しにしまう時「上に置くな。今ある書類の束の一番下に突っ込め」。これだけで解決する。

まさに「悪魔は細部に」宿っていたのである。
我輩はこれを早速部長に進言したが、解決法を実行させようとしない。まあ、我輩は下っ端の兵隊だから耳貸す気がなかったのだろう。

そこで係長級の内、我輩が一番まともだと思っている人が担当の日に部長の目の前でその原因と解決法の話をした。その人が言うには全く我輩の言うとおりだったそうだ。
さあ、これで解決した、もうそんな遅れは出ない・・・・・はずだった。

ところがまたぞろ全く同じ問題が起きだした。我輩が進言した解決法をしばらくは実行したものの、わずか1カ月ちょっとでもうやらなくなってしまったらしい。
結局元の木阿弥に戻ってしまったわけである。

新しい書類を置くときに「一番下に突っ込め」、たったこれだけの注意が2カ月と続かないのである。こんな中間管理職の言う事を兵隊が聞くはずがない。

おそらくどこの会社でも似たような事はあるはずだ。その時一番大事なのは「なぜ、そんな事が起きるのか?」という原因を徹底的に調べて考えてみる事だ。

我輩の職場が典型的にそうだが、ダメな職場というのは問題が起きると管理職はただ「注意しろ!」「失敗をするな!」とまくしたてるだけ。
問題が起きると「誰が悪いんだ」という犯人探しに血眼になる。

これは的外れな対応である。
もちろん個人の責に帰すべきミスもあるだろうが、いくら言っても何度も同じような問題が起きる場合は「細部に宿っている悪魔」がいないかどうか、いるとすればどこにいるのか?それを突き止める方が先決であり、はるかに重要である。

もっともその悪魔の所在と退治法を教えてあげたのに、2か月足らずで忘れてしまう管理職のいる職場なんてのは、もう完全に救いようがないとは思うが・・・・・

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2010/07/19 09:02
その中間管理職をどう動かせば良いのか?・・・ですかね。
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2010/07/19 02:16
①と番号を振られた書類と、⑤の番号が振られた書類を見せて
それが、予め決められた
①~⑤全ての工程だと、上司に吹き込んで手渡します

③の書類を他部署に作らせます
②と④の書類を部下に作らせます

本当は⑨の番号が振られた書類が、存在するのですが
時間の関係でその事を知らせず
⑤~⑨の工程が全てだと、他の上司に吹き込みます

⑦の書類を他部署に作らせます
⑥と⑧の書類を部下に作らせます

こうすると、全工程が誰にも解らなくなりミスが頻発し
べら棒にお金が掛かかって、みんなが貧乏になります
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2010/07/19 00:36
書類の先入れ後出しを完全に撲滅して
先入れ先出しを徹底できれば
業務効率が大幅に改善するんですよね?

何とかここはもう一押し、何か個人の「注意」に頼らず
物理的に先入れ先出しができる方法を考え出せれば
値千金のカイゼンにつながりそうなんですが。

私の勤務先の工場現場では安全対策について
「注意すれば事故は起きない」では不完全で
「注意しなくても事故は起きない」レベルの対策を
要求されることが多いです。
かなりきつい要求とは思うのですが、自分の安全のためには
日々工夫を重ねています。
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2010/07/18 21:30
うちも上司がまったく聞き耳を持たないので
大変な忙しさです。
最近ますます険悪になってきています。
どうしてなんでしょうね。
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2010/07/18 19:15
あちゃーですね。。。

どうしてなんでしょうね??
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2010/07/18 19:15
ほぉぉ・・・エンジニアが部品のつけ間違えとかする事もあるんですね。
本当に怖い話しです。
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2010/07/18 17:30
どこも似たり寄ったりなんですね><
で片付けたくないですが、下っ端がいくら進言しても・・・
悲しい&虚しいですね。。。
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2010/07/18 17:24
うちの職場は基本的に当日の文書は当日処理が原則で、審議が必要なものも何日以内と決められていて遅れると注意がきたり処分の対象になったりしますのであまりない事例ですね。

部下の提出書類に通番をうって(重要度もあるでしょうが)原則番号順に処理し、処理が終わったものに処理終了の通番を再度うつ。
これだと上司の毎日の仕事量もわかりますからお勧め。
楽をしたい上司は絶対採用しないでしょうけど。

そこまで面倒なことできないというのなら毎日箱を変えるとか。
少なくとも同日提出の書類から済ませることはできるわけだし。
もしくは提出書類に日時記入。
見落としは上司の責任にしておくと書類の停滞は軽減されるでしょう。

まあ、聞く耳を持つ人がいればこそだけど。




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