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ジャトロファは世界を救うか?

日本の企業がミャンマーからジャトロファの油を輸入して販売を開始したそうだ。
ミャンマーから日本への輸入としてはわが国初だそうだ。
日本バイオ・エネルギー開発株式会社という日本企業が輸入元である。

ジャトロファというのは日本では「ナンヨウアブラギリ」と呼ばれる高木で、実から油がたくさん取れる。
そしてこの油が植物性のバイオディーゼル燃料の原料に適しているとして世界各地で大規模な栽培実験が始まっている。

日本でミャンマーと言うと、軍事独裁政権の国でありアウン・サン・スー・チー女史の話ばかりが思い出されるが、実はこの国現時点ではジャトロファの栽培面積が世界一なのだそうだ。

バイオ燃料は植物から作るので理論的には枯渇する心配がない。これを車の燃料などに使うと石油の節約になり、また植物由来なので二酸化炭素の排出量が理論上プラスマイナスでゼロになる。

さらに良い事にジャトロファは普通の農作物が育たない痩せた土地でも栽培できるから、食料用の農業生産と土地を奪い合う関係にならない。

またジャトロファの大規模栽培が成功すれば世界の貧困問題の解決にもなる。
ミャンマー自体が貧しいが、ミャンマーの内陸部は農業生産に不向きな乾燥地帯や山岳地帯が多く、そこに住む少数民族は輪をかけて貧しい。

ミャンマーの人口統計は信頼性に問題があるが、おおむね国民の6~7割が主要民族であるビルマ族、残りが七つもの少数民族に分かれている。
平野部や沿岸部などの地理的条件のいい土地がビルマ族、農業に不利な奥地が少数民族の居住地という場合が多い。

そしてミャンマーの少数民族問題は東南アジアの中でも特に激しい。
いくつかの少数民族はミャンマーからの分離独立を公然と主張しているし、小規模ながら中央政府と武力衝突を起こした事も過去にはある。

もし西洋式の議会選挙を実施すると、人口の最低3割が少数民族だから議会の3割をビルマ族に敵対的な少数民族に握られてしまう可能性がある。
ミャンマーの現政権がかたくなに民主化を拒んできたのは、ひとつにはこれが理由なのだ。

また深刻な民族対立というのは民族間の経済格差が原因である事が多い。
ミャンマーでも山岳辺境地帯の少数民族の農民は農業だけでは食べていけない。
で現金収入を得るために麻薬の栽培に手を染めざるを得ない。

正確にはケシの栽培である。ケシの実からは白いどろっとした液体が取れる。
これを乾燥させて固めたのがアヘン。麻薬成分を抽出したのがモルヒネ。それをもっと高濃度に精製するとヘロインという強力な麻薬になる。

もちろんミャンマーでもケシの栽培は法律で禁止されているが、辺境の貧農にとっては「じゃあ、法律を守って飢え死にしろというのか?」という話になってしまう。
ミャンマー、ラオス、タイの国境が接する一帯はゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)と呼ばれ、世界有数の麻薬用ケシの産地である。

ビルマ族に差別されているから自分たちは貧しいのだ、と思ってケシを栽培している少数民族の貧農にケシ栽培を止めさせるには、代わりの農産物を与えるしか方法がない。
ジャトロファはその代替農産物になり得る数少ない植物である。

バイオ燃料の原料ならそれなりの値段で売れるから、犯罪だと承知の上でケシを作るよりはマシだろう。
もしジャトロファの実がケシより高く売れるようになれば、彼らだって喜んでジャトロファ栽培に乗り換えるだろう。

そうなればその地域からの麻薬の供給はシャットアウト出来る。
電気も水道もない生活をしている辺境の少数民族も豊かになれる。
経済格差が縮小すればビルマ族と少数民族の敵対感情も和らぎ、ミャンマーの民主化への道も開ける。

日本のエネルギー消費全体から見ればミャンマーからのジャトロファ油はまだ微々たる物だが、石油は向こう何十年という長いスパンで見ると不足ないし値上がりする可能性が高いから、今から代替燃料の確保を始めておいても損はない。

うまく行けばいい事だらけのジャトロファ栽培だから、日本政府ももっと応援すべきではないだろうか。
スケールはまだ小さいが、これも立派な国際貢献だと思うのだが、どうだろうか?

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2010/09/15 05:50
ジャトロファ油はすごく安いのですが、エネルギー収支比は解決できているのでしょうか
誤食(毒性が高いです)事故も起こっています
個人的には、油の取れる植物は連作障害が心配ですが
そのあたりは大丈夫なのでしょうか

とか、揚げ足取りみたいなことを言っていると
利権のひとみたいでイヤですね(> <)
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2010/09/08 07:09
もう、普通にガソリンの中にバイオが入ってます。
バイオについてはトヨタも着目して植物を育成しています。
徐々にバイオに移行して行くと思うですし・・・
平和貢献と言うよりバイオ産業や養殖産業で貢献すれば
軍事貢献なんて馬鹿馬鹿しい他国の貢献に勝てるのに!
日本の影響力も大きくなるのになぁ~♪
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2010/09/08 00:00
関係者がみんなお徳みたいなすごい話ですね。
他の燃料と比較して勝負できる量を適切な価格で安定して提供できる見通しがあるのならば、今後消費が伸びるかもしれませんね。
レアメタルをエサに某国から不利益な条件を押し付けられる危険性も少しは減りそうだし、頑張っていただきたいものです。
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2010/09/07 23:45
三重大学名誉教授の梅林正直さんがタイにて
ケシ栽培の代わりとして梅を栽培する運動をされていますね。

「日本からのODAはわが国に対する戦後賠償金である」
と自国民に対して喧伝している国家への援助などスパッと切り捨て、
こういったほうにお金を使って欲しいと思うのですが…

やはり利権が深くかかわっているのでしょうね。




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