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サムライボンドによる円高予想

最近ちらほらと「サムライ・ボンド」の募集を見かけるようになってきた。
リーマン・ショック以降見かけなくなっていたのだが、最近の円高でまた出て来たようだ。
ただし、今はまだ「私募債」が中心で「公募債」の新聞や雑誌広告までは見かけない。

このサムライ・ボンドが一般に宣伝されるようになると「円高が行くとこまで行った。これからは円安に振れるぞ」というサインである可能性が高い。
少なくとも経済の専門家やハゲタカ・ファンドを含む機関投資家の大多数がそう判断した時にサムライ・ボンドが一斉に売り出される、というパターンがある。

ボンドというのは日本語で言う「債券」。つまり「この債券一枚あたり何円貸して下さい。何年後に何%の利子付けて返します」という借金証文みたいな物だ。
日本国債や日本企業の社債もこのボンドの一種である。

なぜ「サムライ」が付くかと言うと、その債券の発行主、つまり金の借り手が外国の企業や政府系団体などであって、しかし日本国内で発行し、元本も利子も日本円で支払われるという特徴があるからだ。

話を分かりやすくするために「トレニー」という架空の国の架空のお金があると思ってほしい。
普通なら交換比率、つまり外国為替レートは1トレニー=100円であるとしよう。

さてなぜかの円高でこのレートが1トレニー=80円になっているとする。
外為レートの場合はこの数字が小さいほど、その国の通貨の価値は高くなる。
ある国の会社、仮にロレンス商会としておこう、がサムライ・ボンドを発行して80億円を大勢の日本人から借りたとする。利子は5年で10%。

実際には手数料やら複利計算やらでもっと複雑だが、分かりやすいように単利計算で1年で2%としておこう。現在の日本の銀行預金とかの利息の低さを考えれば充分オイシイ投資だろう。

1トレニー=80円の時に借りたのなら、80億円は1億トレニーになる。
この1億トレニーで「ホロの森ランド」というテーマパークを建設して儲けたとする。
さて5年後にロレンス商会は日本の投資家に元利合計で88億円を返済しなければならない。

もし外為レートが1トレニー=80円のままなら、1億一千万トレニーという金額を用意しなければならない。
しかし、5年経って円安になっていてレートが1トレニー=90円になっていたらどうなるか?

日本で返済しなければならない金額は日本円で計88億円、この数字は変わらない。
ロレンス商会がこの返済のために用意しなければならない「トレニー」での金額は、88億割ることの90だから、97、777、777。
まあ少し切り上げて約9千8百万トレニー。サムライ・ボンドを使って借りた時点では1億トレニーだったのだから、日本での借金を全部返してもまだ2百万トレニー残る事になる。

つまり1トレニー=80円が円高の限界という予想が正しければ、借りた金額より返す金額の方が少なくなる。
1トレニー=85円なら返す金額の方が大きいが、それでも返済に必要なトレニーでの金額はずっと少なくて済む。

これが「円高が限界に来たと判断した時にサムライ・ボンドで金を借りると得する」という仕組みである。

だから私募債でサムライ・ボンドが出始めたという事は、外国の大規模な投資家が円高がもう行く所まで行ったと判断したから、という可能性がある。

私募債というのは一般人向けに広告を出したりせず、証券会社などが長年のお得意さんとか資産家とか特別な客だけに売り込む物。
新聞や雑誌に広告を出したりして、誰でも買えるような形で売りだすのが「公募債」。
この公募債でのサムライ・ボンドが目につくようになったら、以後円安に振れる可能性が高くなったということである。

ただし、本当に円安に振れるかどうかは神様にしか分からない。
もしさらに円高になって1トレニー=70円になっていたら、ロレンス商会は日本で88億円返済するのに1億2千5百万トレニー以上用意しなければならない。

「ホロの森ランド」から5年で2千万トレニーしか儲けがなかったら赤字になる。
こういう場合、ロレンス商会は「予定の利子が払えませんから10%ではなく5%でがまんして下さい」と日本の投資家に言ってくるかもしれない。

あるいはロレンス商会がそのサムライ・ボンドに関して「デフォールト」を宣言してしまう危険もある。これは個人の「自己破産宣告」みたいな物で、最初の払い込んだ金額より少ないお金しか戻ってこないケースがある。いわゆる「元本割れ」である。

最悪の場合はロレンス商会が倒産して関係者は全員夜逃げした、である。
この場合そのサムライ・ボンドを買った日本の投資家は1円も取り返せない。

サムライ・ボンドは利率が高いのでうまく行けばオイシイが、利率が高いほど損するリスクも高い。
公募債が出て来た時、やってみようかなと思っても、手を出す前にそういうリスクの確認はしつこくやった方がいい。

アバター
2010/11/03 20:30
王族用(支配階級や富裕層って言い方の方がいいかな?)の通貨(トレニー)と、
全世界の普通の国民が使用している紙幣(ペリカ)は全く別物らしいですよ
(ホラ・・・、クレジットカードにも、階級みたいな“ランク”があるじゃないですか・・・)

紙幣のすかし部分は、偽造防止は実は建前で
そこは、特別な権力を持った人だけが
ある日突然、「発行停止」のスタンプを押すんだそうです

旧1000円札と今の1000円札

夏目漱石はヘアスタイルが全然違いますし
半分に折ると、どうも“日本人”じゃないらしい・・・
紙面の裏に、印刷された“富士山”
あれも、紙幣を逆さまにすると、実は“シナイ山”だそうです

夏目漱石 ~三四郎~より

「こんな顔をして、こんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になってもだめですね。
もっとも建物を見ても、庭園を見ても、いずれも顔相応のところだが、
―あなたは東京がはじめてなら、まだ富士山を見たことがないでしょう。
今に見えるから御覧なさい。
あれが日本一の名物だ。
あれよりほかに自慢するものは何もない。
ところがその富士山は天然自然に昔からあったものなんだからしかたがない。
我々がこしらえたものじゃない」
と言ってまたにやにや笑っている。
三四郎は日露戦争以後こんな人間に出会うとは思いもよらなかった。
どうも日本人じゃないような気がする。

「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。
すると、かの男は、すましたもので、
「滅びるね」と言った。

・・・小説通りに、ならない事を祈るばかりです
アバター
2010/11/03 12:02
素人考えでは昨今のドルの下落はアメリカ経済に対する信用度の低下によるものだから、円高は資産家の緊急回避的な部分が大きいのかなと。
もしそうであるなら、他に資本を預けやすいところが設定できれば、円安になるという可能性もありそうですがどうでしょう。

トレニーですか~
どこかにありそうでないという妙な響きのある架空貨幣単位ですね。




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