Nicotto Town



「暴力装置」を知らない大人たち

いやはや、最近の国会議員の無知無教養には恐れ入る。
仙谷官房長官の「自衛隊は暴力装置」発言に関してである。

ただし我輩が呆れているのは仙谷氏に対してではない。
これを「大失言」として批判している方の政治家とそれに同調している一部マスコミに、である。
言葉の意味を分かっていて叩いているとしたら、小学生レベルの言葉狩りである。

そもそも「暴力装置」という言葉はれっきとした政治学用語である。
もともとはドイツのマックス・ウェーバーという政治学者が軍隊、警察などを指して「国家による合法的な暴力の独占」という概念を提唱したのが始まりだ。

この場合の「暴力」は「物理的な手段で他者の行動を制約し、身柄を拘束し場合によっては処罰、処刑する事」を意味する。
だから警察官が犯罪者を取り押さえて逮捕して留置場に閉じ込めるのも「国家の合法的暴力」である。

日本では江戸時代まで、犯罪者を私的に裁く事が許されていた。
例えば武士による「仇討」がそうである。警察機構に頼らず、身内を殺した犯人を自分たちで追跡して捕え、その場で斬り殺して復讐する、という事が当然とされていた。

また軍事力、軍隊も各藩の殿様が私的に所有し動員できる物だった。
幕末の薩英戦争が典型的だが、薩摩藩の「軍隊」組織は徳川幕府の意に反して英国船を襲撃し、後に英国軍の反撃を受けてさんざんな目に遭った。

いずれも上のような意味での「暴力」を個人や封建君主が別々に所有していたわけだ。
この辺は中世ヨーロッパでも同じだった。
近代国家が誕生した時、警察権や軍隊を個人はもちろん、君主にさえ私的に帰属させず、国家・政府の独占的な権利にする。
これが国家による「合法的な暴力の独占」という概念である。

日本語の「暴力装置」という言葉はマルクス主義の理論から入って来たもので、レーニンが警察や軍隊を「国家の暴力装置」と表現した事から来ている。
つまり本来は左翼思想の用語なのである。

仙谷氏の発言は「公務員の世界では、(言動に)政治的中立性が求められる。『暴力装置』である自衛隊はある種の軍事組織でもあるので、これはシビリアンコントロール(文民統制)が利かなければならない。」という物だった。

仙谷氏は菅首相の右腕なのだから、どちらかと言うと左よりの思想の持ち主のはずだ。
あの年頃の左翼系の人が軍隊を「暴力装置」と表現するのはしごく自然な事なのである。

あれが「暴力集団」とでも言ったのなら失言だし、自衛隊員に失礼この上ない。
しかし自衛隊は事実上の軍隊なのだから「暴力装置」という単語が出て来たのであって、批判・非難するにしても論点がずれている。

自衛隊は日本国憲法第9条で禁止されている「陸海空軍その他の戦力」ではない、あくまで自衛のための最小限の武力である、だから「軍隊」ではない、というのが戦後日本政府が一貫してとって来た憲法解釈である。

野党時代ならともかく、政権与党である民主党から出ている官房長官が自衛隊を「軍隊と変わらない」という認識を示した。
こっちの方が大問題なのだ。

自衛隊を「暴力装置」すなわち「軍隊」である、あるいは軍隊同然と認めたら、政府のNo.2が憲法第9条第二項を公然と否定した事になる。
あるいは自衛隊が9条第二項に違反した存在であると国会で公言した事になる。

確かに「暴力装置」という単語は聞こえが悪いが、語感の問題ではない。
あの発言をギャーギャー騒いでいる連中の大半は「暴力装置」という単語の語源すら知らないようだ。

ネット上で左翼系の言論を披露している人たちが同じ論調で騒いでいるのに至っては、もう笑うしかない。
「暴力装置」という言葉はレーニンが発明したものであって、左翼思想家のバイブルに登場する言葉なのだ。

マルクス主義はもう過去の遺物だが、今でも政治思想史の重要な一部である。
国会議員なら、過去の政治思想としてのマルクス主義の内容ぐらいは知っておいてくれないと困る。
それを知らない国会議員が多数派だと言うのなら、世も末と言うべきである。

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2010/11/20 15:44
私も大人ですが、勉強不足でした^^

タイムリーなご教示、興味をそそりました。
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2010/11/20 10:15
国会答弁というものは出席している議員だけではなく、中継やニュースを通じて見ている一般国民にも誤解を与えないよう配慮しなければいけない部分があるように思います。
その配慮が行き過ぎて官僚の原稿を棒読みするだけの答弁になるのも困りますが、「わかる人だけにわかればよい」という答弁も困るわけで・・・
官房長官の発言はこれに限らず国民の顔が見えていないのだろうと思わせるものが多いのは問題ですね。

「暴力装置」の説明は一応マスコミもしていましたが(それだけでも以前よりはだいぶん「親切」だと思う)、マルクス主義を今の日本に持ち出されてもね~というのが一国民の正直な感想。
日本式社会主義的互助システムはこの20年でぐだぐだになってますし。

日本の不幸は自衛隊が軍隊と認められていないことだと思う。
今回の発言でも「文民統制が必要」と言えば済むことですが、厳密にはそれも「自衛隊=軍隊」の前提があるので難しかったりするのでしょうし。
合法的でないとされる軍事組織の方が憲法に認められた正規の軍隊より面倒な存在ではないのかな。
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2010/11/19 23:55
ケインズとケンカ別れするまでの間、
恐らく、その時代というのは
プロレタリアート(労働者)と名乗る事すら、奴隷には権利は与えられていなかったと思う
http://www.youtube.com/watch?v=nxe4hZZLXn0&feature=related

あの年代の人らは、左翼思想に“かぶれてる”感じがしてしょうがない
(戦闘スタイルの後ろで、
ワーワーキャーキャー言ってた「市民団体」っていう名の“寄生虫”勢力
それが、民主党の正体かなぁと)
http://www.youtube.com/watch?v=lIYmTpvDTi0&feature=related

うつ病を患っている人を見て
「落ち込んでる人」「怠け者」扱いしてるヤツラと程度が同じ
(むしろ、その症状は他者に対して、非情に残虐であり、
想像しているようなものとは、正反対だと思ってくれて差し支えない)
http://www.youtube.com/watch?v=kv4s3fn8jDc&feature=related

※余談
共ぉー産~党ぉーは、穏健派だと思うけど
“みんな”が何故か、社会的弱者をコレラ菌のように毛嫌いをして、「ありがたい説法」を聞かないでいる
なぜ、“予言”が的中しているのか?世界で今、何が起きているのか?
資本家連中(経団連とかワンマン経営者)は、恐らく、わからないであろう・・・
http://www.youtube.com/watch?v=EeWqlJHzcSo
http://www.youtube.com/watch?v=f0PDhMZf6Yc
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2010/11/19 23:23
もう、、、何だか、、、情けない、、、マスコミ、、そして、、内閣ですねーー

公私の区別が、、付いてないのか、、あまりに、正直なのか。。。

他にも、、びっくり発言が。。。。ありましたねー





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