Nicotto Town



内向き志向なのはどっちだ?

最近ニュースなどで、よくこんな論調を見かける。

1) 今の若者は内向き志向である。海外へ留学する人数が減っているし、大手企業でも海外赴任を嫌がる若手が増えている。
2) 企業は国際的に活躍できる人材を求めている。新卒採用で留学生を採用したり、「グローバル枠」で直接現地の学生を採用する企業が増えてきた。
3) 最近、国際協力機構(JICA)が「青年海外協力隊の出身者の採用枠を設けるよう、企業に対して働きかける方針」を発表した。

どれも別々に見るともっともな話ばかりである。
しかし、この三つ、完全に矛盾している、という点に財界人や政治家が気づかないのはなぜだろう?

青年海外協力隊と言えば、行った先は発展途上国である。
紛争地域などは避けているとはいえ、生活も不便、治安も日本よりは悪い、言葉の問題でも苦労する。

商社などの後ろ盾で海外勤務するのとはわけが違う。
いわば「修羅場」をくぐって来た人たちである。
ならば、なぜ、JICAがわざわざ企業にこんなアピールをしなければならないのか?

もし本当に日本企業が「グローバルに活躍できる即戦力」を欲しがっているのなら、帰国した青年海外協力隊員は、就職市場で引っ張りだこのはずだ。
しかし実際には職探しに苦労しているから、JICAがわざわざ企業に「もっと雇ってくれ」と悲鳴に近い声をあげている・・・・・そういう事になるはずだ。

若者が内向き志向なのは、そうでないと就職できないから、に他ならない。
下手に企業や知識人の言う事を真に受けて海外経験など積んだら、「新卒」ではなくなって応募すらできなくなる。

また、海外の大学などの学歴を正当に評価しない企業もまだまだ多い。
なまじ日本を飛び出して広い世界を見てきたら、人生の負け組にされてしまう。
若者の多くはその事に気づいているから、留学などしたがらないのだ。

企業内部でも似たような事が言える。
企業が欲しがっているのは確かに海外で通用する人材だ。
しかし今の「海外」のメインは新興国である。インド、ブラジル、東南アジア諸国などだ。

が、海外勤務地がアメリカや西ヨーロッパである事が出世競争の決め手になる、そういう日本企業はいっぱいある。大企業ほどこの傾向が強い。
人事を決めるお偉方がみな爺さんで、「花の海外勤務」と言えば欧米、という古い基準で社員を評価するからだ。

まして日本国内でゴマすり競争に精出してた奴が勝ち、という企業なら、若手が海外勤務を敬遠するのは当たり前だ。

上記の最近の論調見ていて、我輩は1980年代後半から1990年代にかけて流行った、帰国子女採用ブームを思いだす。

1985年のプラザ合意以降、日本円の価値が跳ね上がり、海外駐在員が急増した。
家族と一緒に赴任した人が多かったため、十代のかなりの期間を海外で過ごした帰国子女も増えた。

わざわざ「帰国子女枠」を設けて、そういう若者を大量に採用した企業も多かった。
この時も「グローバルに活躍できる人材」として採用された。
しかし、この帰国子女ブーム、惨憺たる失敗に終わったケースの方が多かった。

たとえばアメリカからの帰国子女は英語がペラペラである。
「英語ができるから海外とのビジネスに役立つはず」という短絡的な考えで採用した結果、日本企業に適応できない社員にしてしまった。

アメリカは「だめで元々、主張してナンボ」の文化だから、それを身に付けた帰国子女社員は、押しが強く、自己主張が激しい。
だが受け入れた企業の大多数である普通の日本人社員は、謙譲を美徳とする価値観で仕事をしているし、人間関係もそれで考える。

当然、社内で両者の感情的な摩擦が頻発する。
また「英語がペラペラ」だからと言って、その会社の業務を入社初日から全て知っているわけではない。
職場での実地訓練、いわゆるOJTを怠ったため、期待したような働きができない。
すると企業は手の平返して「帰国子女は英語ができるだけで、使い物にならん」と言い出した。

海外生活や海外での就労体験の持つ一番重要な点は「普通の日本人とは異質な価値観や考え方を身につけている」という事である。
日本人だけの発想では世界で通用しないから、外国人を雇うのだと言うが、外国人はこの点、もっと異質だ。

異質な人材を採用しておいて、日本人特有の価値観や人間関係になじまなければ冷遇する。これが、帰国子女ブームの結末であった。

今回の「グローバル枠」とやらも、企業側、特に経営者の意識が変わっていないなら、二の舞になるだけだ。

海外経験者や帰国子女であろうと、合理性より職場の「マアマア、ナアナア」的な人間関係を優先するようになったら、採用した意味がない。
悪い意味での日本的風土に適応した外国人社員は「外国語をしゃべる日本人」でしかない。

若者に「世界を見て来い」と言うのなら、企業の経営者や管理職が非日本的価値観を受容できる器量、度量を身につける方が先である。

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2010/12/14 21:16
企業に振り回され、叩かれ、あげくに馬鹿にされ
若者の存在価値なんて無いんですよね。
企業はそれを買い叩くことしか考えていなくて、伸ばそうなんて気持ちは微塵もない。
就活生はぼろぼろですよ。
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2010/12/14 17:18
企業が何をしたいかにもよるのでしょうけど、海外重視というなら英語より寧ろアジア地域の言語を操れる方が貴重になるのかも。
おっしゃるように管理職の意識が変わらなければ何も変わりはしないのだけど。

国内企業といいつつ工場などの拠点を海外に移している企業は、実は始まりが日本であるというだけの非日本企業なのだろうと思います。
つまり税制面で優遇する価値がない。
国内の雇用を守っている企業の振興策をもっと考えるべきだろうと思います。
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2010/12/13 16:41
企業側の古い考えを改めないと何にもならないよね。
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2010/12/13 11:06
やっぱり、英語だよね。
JICAの書類作成した事あるけど、
トーイックの成績がどうとか言うのがよく出てきた。
英語苦手人には就職が難しくなってる気がしますケロ♪
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2010/12/12 20:15
絶対、外国の大学に行ったら就職できないよぉ~
それに外国の大学授業料が上がるところが軒並みなのよぉ~
イギリスなんか4万+授業の教材だったのが
今度は10万+授業の教材なるんだって・・・
王子様だってもデモ隊に攻撃されるよね・・・
日本より安いって言う人がいるけど、外国って学生が働いて学費出すもん
大変だと思う。
日本だって大学卒業して正社員は無理でしょ
大学卒業して契約社員だと・・・なんか考えます。
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2010/12/12 18:22
大企業の事はわかりませんが、矛盾してると思います。

ほんとに、どうなる日本?




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