Nicotto Town



今年の百周年

今年は日本にとって、非常に重要な「百周年」の年である。
百年前と言えば1911年。
この年、明治維新以来、日本国の悲願であった目的がついに達成された。

それはアメリカとの間で新通商条約が締結され、日本が「関税自主権」を獲得した事である。
幕末の開国の際、徳川幕府が欧米列強と結んだ条約は、不平等条約であり、治外法権など日本にとって不利、不公平な内容を多く含んでいた。

特に、貿易の分野では関税を日本が自分で決めることができず、条約の相手国である欧米列強に好きなように決められてしまっていた。
簡単に言えば、貿易をすればするほど日本が損をする、欧米列強にいいように食い物にされていたわけだ。

明治政府は何度も条約の改定を申し込んだか、欧米諸国にとってはオイシイ既得権益なのだから、そう簡単に応じるはずはない。
明治政府は、これを「日本が遅れた国と見られているせいだ。ならば、日本が欧米に劣らぬ文明国家である事をもっとアピールしなければ」と考えた。

そのために明治政府は、涙ぐましい努力を重ねた。その多くは当の欧米諸国からは物笑いの種にされていたのだが。

たとえば、首都東京に「銀座」という西洋風の一大ショッピング・ストリートを建設した。
が、今の銀座と違って、当時の銀座は一本のメインストリートにこそ、西洋風の近代的な店舗やガス灯などが並んでいたが、一歩裏に回れば江戸時代と大差ない長屋や畑が広がる、映画のセットみたいな街だった。

鹿鳴館という国営の社交場を建設し、毎晩のように各国の大使や有力な貿易商を大勢招待して西洋風の華麗な舞踏会を開いた。
しかし実は当の招待客たちからは陰で嘲笑されていた。また国内の知識人からも「屈辱的」なご機嫌とりだとして批判された。

やがて日清戦争に勝利し、日露戦争に勝利して欧米列強の評価が少しずつ高まって行く。
そしてこの時代、日本軍の軍人、特に将校は戦術だけでなく、ハーグ条約などの国際交戦法規を徹底的に教え込まれた。

非戦闘員への直接攻撃禁止、戦地での民間人への略奪禁止、捕虜の人道的処遇などである。
これを馬鹿正直に守る事で、欧米列強に「文明国」と認めてもらおう、としたのだ。
実はその欧米列強もこの国際交戦法規を厳密に守っていたわけではないのだが。

とは言え、第二次世界大戦の頃と違って、明治時代の日本軍は規律正しく人道的であると、戦争相手の国からも称賛されるほどだった。

そして百年前、その涙ぐましい長年の努力の結果、日本は自国の経済を自分でコントロールできる権利をやっと回復したのである。
これ以後、日本は本格的な経済成長が可能になり、都市部だけとは言え、大正時代の繁栄を謳歌できるようになる。

明治維新は当時の「中国のようになりたくない」という一心から成し遂げられたものだった。
清朝下の中国はもろに欧米列強の植民地同然にされ、日本以上に食い物にされていたからだ。

その中国でも1911年、辛亥革命が勃発する。孫文が率いる革命軍が清朝を打倒すべく決起した。
革命が成功し中華民国の成立が宣言されたのは翌1912年だが、中国にとっても今年はそういう重要な百周年である。

またモンゴルにとっても重要な百周年である。
1911年、清朝の支配下にあったモンゴル民族が、辛亥革命の勃発に刺激されて「独立宣言」を行ったからだ。

実際には紆余曲折があり、現在のモンゴル人民共和国が成立したのは1921年で、かつ万里の長城の外側、いわゆる外蒙古だけの独立になったが。

明治時代の日本は、関税自主権の回復に代表される、「一人前の文明国と認められたい」という大きな目標があったからこそ、貧しくとも立派な国家でいられた。
しかし大正時代の、いわばバブル経済に踊った結果、確たる目標を見失い、昭和恐慌でバブルがはじけると、経済的利害のみに目がくらみ、日中戦争にのめり込み、第二次世界大戦での破滅へと突き進んだ。

最近経済界から「第二の開国」という言葉がしょっちゅう聞こえる。
だが、そこに「国家としての確たる目標」はあるのか?
「日本のようにはなりたくない」と先進国から言われているのが、現代日本の有様である。

確固たる目標、目的がないままに、目先の経済的利益のみを求めて国際化の潮流に流されれば、昭和初期の、いや下手すれば明治時代の状況に逆戻りする羽目になりはしないだろうか?

アバター
2011/01/02 01:02
今の日本って、周りの国に両手を広げて、
「はい、どうぞ、食べちゃってください~。」ってしてるようなもんだもんね。
そして、ありがたくおいしいところを、かたっぱしからいただかれちゃってる。
いったい、どうなっちゃうんだろう。。。
アバター
2011/01/01 19:13
それは、、、困る。。。

しっかりしなければ、、

有能な人材は、、流出して行くだろう。。

昔とは違うのだから。。。




Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.