Nicotto Town



世界の終末思想

前のブログで、イ・スライムさんが十二イマーム派の事に触れているので、ついでに終末思想の事を書いておこう。

イスラム教は大きく分けてスンニー派とシーア派に分かれる。
そしてシーア派は十二イマーム派とイスマイル派に分かれるが、現在ではシーア派と言えば十二イマーム派が圧倒的多数を占める。

スンニー派とシーア派は直接的には預言者マホメッドから数えて五代目の指導者を誰にすべきか、でケンカ別れした。
さらに第七代目が正当な後継者かどうかを巡ってシーア派の中にイスマイル派という分派が出来た。

教義の違いをあげて行くときりがないので、普通の日本人はこの程度に覚えておけばいい。
ただ一つだけ、十二イマーム派とスンニー諸派には決定的な違いがある。
それは終末思想があるかどうかである。

終末思想とは、いつの日かこの世の終わりがやって来て、神に従って正しい生き方をした者は天国へ、そうでない者は地獄へ、という教義のパターンである。
ただし、その終末の日には神と悪魔、あるいは善と悪の最終戦争が起こり、この世界は滅びる、あるいは一度滅んで再生する、と考える。

コーランそれ自体には、こんな「終末の日」をはっきり預言した記述はないようだ。
スンニー派の教義では、単に善人は天国へ、悪人は地獄へという教えがあるだけで、仏教の「地獄極楽思想」に近い。

十二イマーム派は後からはっきりと「審判の日」という教義をつけ加えた。
「イマーム」というのは、スンニー派では地域共同体のイスラム指導者に過ぎない。日本で言えば昔の「おらが村のお寺の住職さん」みたいなものだ。

十二イマーム派では、イマームとはイスラム教徒全体の指導者である。カトリックのローマ法王みたいな物と考える。
そしてこの宗派では、第4代カリフであったアリーを初代として12人のイマームが出現し、現在はその12人目のイマームが支配する時代と説く。

しかしこの12代目イマームは今はこの世にいない。「隠れイマーム」とも呼ばれ、何らかの理由で人間世界から姿をくらませている。
そしてこの12代目イマームがこの世に再び姿を現した時、悪魔の軍団との最終戦争が起こり、当然イマームが勝って、この世に理想郷が出現する、と説く。

ピンと来た人もいるだろう。キリスト教の「ハルマゲドン」あるいは「アーマゲドン」という概念にそっくりだ。
新約聖書の最後の章「ヨハネの黙示録」に、再臨したキリストがサタンの軍団と最終決戦を行い、この世は一度滅ぶ、とある。

歴史上存在した全ての人間が死者に至るまで神の審判に引き出され、イエス・キリストの教えに従って正しく生きて来た者は天国へ、サタンの誘惑に負けた者は地獄へ、というのがキリスト教の終末思想である。

十二イマーム派の本拠地はイランだが、イスラム教以前のペルシャ人はゾロアスター教という宗教を信仰していた。
ゾロアスター教も善の神と悪の神が、遠い未来で最後の戦いを行い、善の神が勝って人間を幸福にする、という教義を持っていた。

おそらく十二イマーム派の終末思想は、このゾロアスター教の最終戦争の概念が元になっているのではないかと思う。
だから十二イマーム派は、終末思想を持つ宗教であり、同じイスラム教でもスンニー派とはここが決定的に違う。

さて仏教にも実は終末思想を持つ宗派がある。ただし日本では定着せず今では知らない人の方が多いと思うが。
「弥勒菩薩(みろくぼさつ)」という仏を崇拝する宗派である。

弥勒菩薩の仏像自体は見たことのある人が多いはずだ。
170円切手の図柄に使われているからだ。思いだせない人はここへ。

http://www7a.biglobe.ne.jp/~jooko/buddha/html/bstamp.html

弥勒信仰を知らない人でも、日本人ならその教義から出た慣用句を使っているはずだ。
若い人でも何かで聞いた事、読んだ事ぐらいはあるはずだ。
何かに心底あきれた時に「世も末だ」という、あのセリフである。

弥勒信仰は「末法思想」の代表である。
お釈迦様が入滅、つまり人間としては亡くなった後、その教えは年とともに人々から忘れられ、あるいは形骸化していく。

そして人間の世界は時間が経つにつれ、道徳や秩序がどんどん失われ、さながらこの世の地獄と化す。
そして釈迦入滅後、五十六億七千万年後に、弥勒菩薩が救世主としてこの世に現れ、人間を救う、という教えである。

だから、少し前までなら考えられなかったようなひどい犯罪や不祥事が頻発するようになると「もう世の中は終末の日に近づいているんじゃないか?」という比喩で「世も末」と言うのである。

確かに今のご時世、道徳や人情は失われ、親殺しや子殺し、いじめや我が子の虐待など信じられない事件が珍しくもなくなっている。
ニコッとタウン征服を宣言するやつまで出現しているのだから、確かに「世も末」なのかもしれない。

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2011/01/07 08:09
ペストが流行った時代や原爆が落ちた広島・長崎の住民は
多分終末を感じたに違いない、と思ったりしました。
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2011/01/07 07:28
ちょっと前ならノストラダムスなんてのもありましたが、あれは静かになりましたね。

仏教の末法思想は平安期に流行していたような。
何時の世も漠然とした不安を感じる人は存在していたのでしょうね。
江戸時代に寺院が戸籍係になってしまったものだから方向性が変わってしまったんでしょうね。

教義の違いは話し合いで解決する類のものではないですから根深いし大変ですね。
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2011/01/07 01:31
「アドルフに告ぐ」
http://www.youtube.com/watch?v=s1I6d0OTSOA

ホロコーストは、有ったかもしれないし無かったかもしれない。

・・・

多分、有ったとしたら、原因は腸チフスの蔓延かもしれないし
酷い目に遭ったのは
「デーブ・スペクター」や「ビンラディン」風の顔付きをした“カザール人”や“セファルディム”だろう。
http://www.youtube.com/watch?v=_hLUCBa8yV0
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2011/01/07 00:26
とりあえず、身近な人に親切にしていきましょうね。
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2011/01/06 22:14
イスラム教もキリスト教も、、ともに、一神教の、、兄妹宗教ですよね、、

だから、、喧嘩になる。。

マヤでも、、2012年12月に、、週末が来ると、、いってるようですねー

さて、、どうなる事やら??




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