Nicotto Town



人民解放軍と大日本帝国軍の皮肉な類似

前のブログで、ちよさんが鋭い指摘をしているので、それについて書いておこう。
ちよさんは、中国軍のシビリアン・コントロールは大丈夫なのか?と言っている。
結論から言えば、理論的には中国の軍隊に「シビリアン・コントロール」はない。
そもそも、そんな概念が存在しないのだ。

中国の軍隊は正確には「人民解放軍」という名前である。
そして一応中華人民共和国という国家の軍隊であると規定されてはいるが、実は米軍のような政府直属の軍隊ではない。
人民解放軍は、直接的には中国共産党に帰属する軍隊なのである。

中国は経済は資本主義化しているし、経済発展を遂げた都市部ではそれなりに市民的自由もある。
だが政治的には今でも、表向きは「社会主義国家」である。

共産主義、社会主義理論の提唱者である、マルクスとレーニンの定義では、社会主義国家では「プロレタリア独裁」という政治制度が許される。
資本主義社会から共産主義社会へと移行する途中に、社会主義国家という政治体制が現れる、と説く。

社会主義社会では、民主的選挙をやると「ブルジョワ階級」が金の力に物を言わせて勝ってしまうので、農民や労働者などの代表が独裁政府を作る事が許される。
これを「プロレタリア独裁」と言う。

旧ソ連や中国、北朝鮮などの社会主義国家が全て民主的な選挙をやらない独裁ないし一党独裁の国なのは、この理論に基づいている。
そして、社会主義国家ではその国の共産党=政府だから、国の軍隊は共産党の持ち物なのである。少なくとも中国ではそうだ。

そもそも中国には選挙で選ばれた議会や内閣などないのだから、軍隊をコントロールできる「シビリアン」そのものが存在しない。
現在の中国の国家主席である胡錦濤は、共産党のトップであり、日本の内閣にあたる「国務院」の名目上のトップであり、かつ中国共産党の中央軍事委員会主席である。
この最後の肩書は「人民解放軍の最高司令官」という事である。

これが全部同じ人なのだから、中国の軍隊にはシビリアン・コントロールなどという言葉、概念そのものが存在しない。

民主国家では、もし軍隊が政府の長である大統領や総理大臣の命令を無視したら、軍のトップは即クビになる。
しかし、中国の国務院の事実上の長である首相が、人民解放軍に何かを「やめろ」と命令したとしても、人民解放軍の最高司令官である共産党のトップが「いや、やっていいよ」と言ったら、公然と首相の命令を無視できる。

これは皮肉な事に、戦前の大日本帝国軍が抱えていた問題、矛盾とそっくりなのだ。
戦前の憲法では軍隊の「統帥権」は天皇にあると規定されていた。
つまり、日本軍の最高司令官は、理論上は天皇であって、総理大臣ではなかった。

満州事変が起きて以降、軍部は自分たちのわがままが通りそうにないと見ると、この旧憲法の矛盾を逆手に取って、総理大臣が軍隊の行動に制限を加える事は「統帥権の干犯」である、と言い出した。

つまり「俺たちのやっている事に反対するのは、天皇陛下に反抗している事になる。あんたたちは天皇陛下の、軍の最高司令官としての権限を侵害する気か?」
こういう屁理屈をこねて、政府の意向を無視して好き放題をやり始めた。

満州事変の不必要な拡大も、その後の関東軍による満州国の建国も、この「天皇の統帥権」を振りかざされたものだから、弱腰の政府では押し切られてしまったわけである。
また昭和天皇の、政治にできるだけ口出ししないという態度がこれに関しては裏目に出た。

だから人民解放軍が中国政府内部の多数意見を無視して暴走する可能性は大いにある。
そして、もしそんな事が起きるとしたら、皮肉にも中国が今でも非難している戦前の日本とよく似た統治機構の矛盾によって、それが起きることになるであろう。

アバター
2011/01/21 20:17
ニコタでもこうした骨っぽいお話があるのですね!
アバター
2011/01/13 01:03
保守系メディアを見てたら
“客家”らしき精華大学の人達が
「中国人プライド高いアルから、水資源買わせないほうがいいアルよ~」って
ODAのカネを日本に投下させている事をバラしていたから、多分、大丈夫でしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=P36qUc40kVU

(むしろ、宗教の否定や格差の弾圧で、
CIA仕込みのアルカイダ系のメンバーが事を起しやしないか心配です)
http://www.youtube.com/watch?v=vvRiHs0ly8Q

戦争の可能性ですが
歴史上、お殿様やお姫様が飢え死にした記録はありませんね。
支配者側が被支配者側に「あの事業計画は失敗だった」とは言い出しにくいでしょうし
子供が大人同士の「不適切な関係」を見抜くのも難しいでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=9s76uiBVFUY
アバター
2011/01/12 23:16
心配ですねー

ともかく、、戦争はいいことないです。。

どうして、、何度も殺戮をくりかえすのでしょう??
アバター
2011/01/12 22:56
戦前軍隊の一部が暴走した理由としては、おっしゃるとおり統帥権の問題も大きいですが、統帥権の規定は明治時代からあったものであり、何故昭和初期にこの問題が表面化したのかといえば、別の問題が隠れています。
ひとつは第一次大戦後の世界的な軍縮気運の中で国民の意識において軍隊の地位が低下した時期があったということ。
もうひとつは大恐慌後の混迷に対して政党政治は有効な対策を取ることができず、国民の支持が低下していたということ。
これらの問題について考える軍人がいたとして。
「政党政治では国民は救えない。憲法上は天皇に直属する自分たちが積極的に行動することによって国民の支持を得られれば」
誰もそうは思わなかったなんてことはないでしょうね。

おっしゃるとおり中国共産党政府に文民統治なんてものはないでしょうね。
宋の時代の失敗に彼らは学んでいるはずですから。
彼らの政治は力の要素なしには成立しません。

むしろ心配なのは今の日本。
戦後ろくな位置づけもされず、曖昧なまま存在している自衛隊。
バブル崩壊後抜本的な改善策を図れないでいる政府。
日本はかつての失敗に学んでいますか。
アバター
2011/01/12 22:34
私が言ったことは夫の受け売りなんです。私は国家主席がどのくらい「偉い」かわかってませんでした。
実際に戦争を経験した父母が、今の中国・北朝鮮を見て昔の日本にそっくりだと言っていました。
不知詠人さんのおっしゃっていることを肌で感じているようです。
とても勉強になりました。これからもお邪魔させてください。







Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.