Nicotto Town



日本語が通じていない原発事故

福島第一原発の事故が長引いている。
政府と東京電力の対応のまずさが批判の的になっているが、どうも根本的な原因は「爆発」という言葉の意味を政府、東京電力首脳の両方が取り違えていた事ではないかという気がする。

震災直後、首相は「原発は構造上爆発しない」と政府関係者に言ったそうだ。
その日のうちに1号機で「爆発」が起きて事態は最悪の方向へ向かいだした。
これで首相が東京電力の言う事を信用しなくなり、自分で全てをコントロールしようとした結果、政府内部でも大混乱に陥った。

これまでの一連の報道を振り返ると、そういう印象を受ける。
首相や閣僚が青い作業着姿でテレビに何度も登場したため、諸外国がびっくり仰天して、まるで日本が滅びるかのような印象を受けて、自国民の退避や日本からの輸入の停止にまで発展した。

おそらくこの時点で菅政権全体が「核爆発」が起きたと勘違いしていたのではないだろうか。
もしそうなら「東日本が消滅する」と菅首相が発言したのも無理はない。

だが、福島第一原発で起きたのは「ガス爆発」と「水蒸気爆発」である。
よく引き合いに出されるアメリカのスリーマイル島原発でも旧ソ連のチェルノブイリ原発でも「核爆発」が起きたわけではない。

「原子力」で「爆発」と言うと日本人は広島、長崎の原爆をどうしても連想してしまうが、原発の燃料棒は低濃縮ウランだから「核爆発」を起こす事はない。
だから「原発は構造上、核爆発を起こす事はない」と誰かが首相に言ったのなら、それは間違いではない。

しかし、摂氏二千度とかの超高温になる燃料棒から放出される熱が、原子炉本体の周りの機器や建造物に与えるダメージは大きい。

燃料棒はウラニウムの塊である。ウラニウムはそれ自体が放射性元素である。
核分裂がある程度進んだ燃料棒の中には、放射性ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどの放射性元素が貯まる。

これらは広島、長崎で爆発の後に大気中に撒き散らされた「死の灰」と同じ物質である。
1954年に水爆実験場の近くで第五福竜丸の船員が浴びた物質もこれだ。
だから原発事故というのは、核爆発が怖いのではなく、この放射性元素がまき散らされる事が最大の問題なのである。

燃料棒はジルコニウムという金属の合金ですっぽり覆われている。
が、燃料棒が過熱してこのジルコニウムの鞘が融けると、水と化学反応を起こして大量の水素ガスが発生する。
このガスが原子炉を覆っている建屋の内部にたまり、これに火が付いてドカンといった。
これが福島第一原発で最初に起きた「爆発」である。

燃料棒は分厚い鋼鉄の容器で二重に封印されている。
しかし内部に大量の水があり、炉心が過熱すると膨大な量の高圧水蒸気がその内部に閉じ込められた状態になる。
いかに鋼鉄の容器とはいえ、この水蒸気の圧力が限界を越えると破裂してしまう。

現在事故現場で一番心配されているのはこの水蒸気爆発である。
燃料棒を格納している一番内側の容器にこれが起きると、まさにチェルノブイリと同じ結果になる。
今福島第一原発の作業はこれを防ごうとしているわけだ。

仮に炉心が部分的にメルトダウンしているとしても、融けた燃料棒は原発の敷地内で流れ出る程度で済む。
だが炉心そのものが破裂するような大規模な水蒸気爆発が起きると、燃料棒とすぐそばに保管してある使用済み燃料棒が粉々になって空中に撒き散らされ、広い範囲で「黒い雨」に描かれたような死の灰が降る事になる。

核爆発よりもこっちの方が怖い。それが原発事故という物の本当の危険である。
今なんとしても防がなければならないのは、この炉心そのものの水蒸気「爆発」なのであって、これはまだ起きていない。
逆に言えばこの爆発さえ防げれば「チェルノブイリ級」にはならずに済むのだ。

原発は構造上「核爆発」という意味の爆発は起きないようになっている。これは正しい。
しかし水素ガス爆発や水蒸気爆発は起こり得るし、実際に福島第一原発では既にガス爆発は何度も起きた。

この2種類の全く性質の違う爆発を、政府、東京電力首脳が混同したのが、事故処理の混乱の原因ではないだろうか?

核爆発の事を指して「爆発はあり得るのか?」
「原発は構造上(核)爆発はあり得ません」
「そうか。おい、原発は爆発しないそうだ」
・・・・・・・・
「なんだ!爆発しないと言ったのに、したじゃないか!」

こんなトンチンカンなやり取りが起きていた。
そうでなければいいのだが・・・・・・

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2011/04/10 16:53
菅さんは そんな 馬鹿だったのか
燃料を燃やす という表現も まちがえやすいですね
原子炉の中では 決して 燃やしていませんからね
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2011/04/06 23:03
マスコミに登場する専門家の説明では触れられない原発の詳しい説明を有難うございます。
よく理解できたように思います。
恐ろしい事態はまだクリアーされてはいないとしても正しい知識・情報があれば、闇雲に
不安を膨らませることはなくなりますね。
重要な決断をする立場の人間がそれを備えていないとしたら、それこそ最後の点火剤の役割を
彼ら自身が果たすことに・・・、なんて考えたくないですね。
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2011/04/04 12:38
もはや、、かなりやばいところまで来ているのは、、やぶさかではないような、、

報道管制が、だされたり、、しているようですし、、

横田基地には、、米軍が始めに持ち込んだ、冷却剤などが、、そのまま放置されているとも、、

風向きも、今週は、、北東になり、、沖縄から、北海道まで、、くまなく日本を、放射性物質が、覆うような

予測が、、ドイツ、ノルウェーの気象予報で、でています。

パニックに陥っているのは、、1番冷静な判断を、しなきゃいけない、、

国のお偉いさん達じゃないんでしょうか?と、、疑いたく成ります。

正しい情報公開をしない限り、、世界は、ますます日本を信用しなく成ります。

そのつけが、今後の、復興に、どんだけ損害をもたらすのか?

プライドを捨ててS.O.S.を、、出して行かなければ、、いけないと思います。

海に、こんだけ垂れ流している以上、、地球規模の災害に、なっている自覚をもつべきでしょう。




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