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福島第一原発3号機が一番心配

福島第一原発の事故では1号機内部に作業員が入れるようになり、ある程度進展が見えてきた。
だが、今一番心配すべきなのは3号機の方ではないかと思う。

福島第一原発には6基の原子炉があり、うち5号機、6号機はかろうじて無事である。
1号機が最も型が古く年数も経っているので、今現在では一番危ない状態にある。
ただ、3号機は特別である。なぜならプルサーマル用のMOX燃料を使用していた原子炉だからだ。

原子力発電の燃料に使うのはウラニウム235を10%弱含んだ濃縮ウランである。
ウラニウム238は核分裂を起こさないが、一部が核分裂反応によって生じた中性子を原子核内部に吸収し、原子核内の中性子が電子などを放出して陽子に変身、その結果原子番号が二つ増え、プルトニウムという元素に変わる。

使用済み核燃料には微量だがこのプルトニウムが含まれている。
日本は使用済み燃料棒をイギリスやフランスの会社に委託して、このプルトニウムを抽出してもらってきた。

プルトニウムは原子爆弾の材料でもある。
長崎に落とされた原爆はプルトニウム爆弾であった。現在アメリカ、ロシア、中国などが保有している原子爆弾は大半がプルトニウム爆弾のはずだ。

プルトニウムは質量数が238から240までの同位体があるが、その全てが核分裂を起こす。
つまりウラニウムのように濃縮する必要がない。

また放っておいても核分裂が持続する、いわゆる「臨界」に達する量がウラニウムより小さく、原爆ならウラン型より小型化できるし、原子力燃料棒なら同じサイズでより大きなエネルギーを出す。

そこで使用済み燃料から取り出したプルトニウムをウラニウムと混ぜてMOXという燃料棒を作り、従来の原子炉で使おうというのが、プルサーマルである。
福島第一原発の3号機には、このMOXが入っていたのだ。

プルトニウムの半減期は239で二万四千年。ウラニウム238の半減期は約七億年。
こう言うとウランの方が危険な印象があるかもしれないが、実は逆である。
半減期が短いという事は、一定時間あたり、たとえば一日あたりとか一時間あたりとか、に放射線の形で放出されるエネルギーが高いという事。

放射性ヨウ素が検出された時「半減期が8日だから心配ない」と言われたが、それはその放射性ヨウ素に直接接触する心配のない人の場合である。
福島沖から東京湾まで放射性ヨウ素が流れて来たとしても、それには何週間もかかるだろうから、ほとんど崩壊して別の元素に変わっている。

しかし、福島原発の近くで直接放射性ヨウ素にさらされた場合、半減期が短いからこそ、浴びる放射線が強いので、危険なのである。

福島第一原発の敷地内では既に何度もプルトニウムがわずかながら検出され、その事実は各マスコミが何度も報じている。
しかし、問題は「微量だから心配ない」という点ではない。
そのプルトニウムが、使用済み燃料棒から出たのか、それとも3号機の炉心から流出したのか?こっちの方だ。

今回の事故では、原子炉のすぐそばに何千本もの使用済み燃料が保管してあった事が判明した。
これが過熱して損傷し、その中のプルトニウムが外へ漏れたというのなら、まだマシな事態と言える。

しかし、もし原発内部で検出されたプルトニウムが3号機内部で使用中のMOX燃料から溶け出た物だとしたら、これが一番危険である。
MOXに含まれるプルトニウムは4~9%と言われるが、放出する放射線はウラニウムなどよりずっと強い。

だから、今はそこまで手が回らないのは分かるが、可能な限り早く3号機の内部を調べるべきだ。
もし一番奥の圧力容器が破損してMOX燃料の一部が漏れているのなら、その危険性は他の放射性元素の比ではない。

プルサーマルはウラニウム資源を持たない日本が、原子力燃料を自給できるようになる夢の技術として始まった。
しかし、プルトニウムはエネルギーが高いという事は、それだけ原子炉に与える負担も大きい事を意味する。

それをウラニウム燃料用に設計された軽水炉で使う事が果たして本当に安全なのか?
もし福島第一原発3号機が1,2,4号機とは異なる損傷の仕方をしているとしたら、それはプルサーマルの危険性を実証した事になる。

もしそうなら、プルサーマル計画、ひいては核燃料サイクル計画自体が頓挫する。
「もんじゅ」などの高速増殖炉は無用の長物になる。
また青森県六ケ所村の施設のうち、MOX燃料製造施設は稼働できなくなる。

プルサーマルをやめたらやめたで、既に保有している大量のプルトニウムを今後どうするのか?という問題が起きる。
だから福島第一原発で一番注視すべきなのは3号機なのである。

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2011/05/11 20:11
原発はやはり問題がありますね。
放射能という物質のために人間の命がなくなるんですからね。
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2011/05/11 07:09
3号機の爆発直前時点でかなり憂慮すべきだったはずです。
東電は14日に退去したいと国に申し入れているぐらいだ。
現状の北西方向の線量の高い地域は、その時のものと
個人的には推察しています。
3号機の爆発で、プールに貯蔵したあった、MOXを含む
燃料棒の破片が降り積もっている可能性があります。
同じ距離の他の地域の線量の異常な低さからも
そのことがうかかえます。

総合的に見て初動の遅さ…そのことしか結論が出ませんが…
30km付近からでした。
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2011/05/11 06:55
福島第一はどうにか無事らしいふたつの原子炉も再稼動はできないでしょうから、「福島第一は全部廃炉」で政府も東電も話を終結させようとしているようです。
しかし、この事故が落ち着いてきたら、「そもそも何故この事故が防げなかったのか」「なにができていれば今後同様の事故が防げるのか」といったことも検証されるべきでしょう。
3号炉が別燃料であることによる被害状況の検証もその中のひとつに含まれると思われます。
ただ、現状では「3号炉は特別だから他を放置しても・・・」という状況ではないだろうと思いますので難しいですね。
これ以上なるべくひどい状況にならないように、可能な手法でひとつずつ処理していくしかないでしょうから。
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2011/05/11 02:18
単純に半減期が短いほど放射能の影響が強いと言うのは少し違うのでは?
放射能の強さは、半減期と放射性核種の量で決まる。ヨウ素とウランやプルトニウムでは核の重さが違う。これが一つ目の理由。ちなみにこれで計測される強さの単位がベクレル。
次に同じベクレルだったとしても放射線の種類により人体に与える影響は異なってくる。それを加味して強さを表したのがシーベルト。
ヨウ素の半減期が8日だから非常に危険と言うのはちょっと違うと思います。

福島原発の冷却用電源が失われた際、管首相が原子炉のバルブを開放しベントすることに非常にこだわった。東電側はベントが引き起こす放射性物質の大気開放で躊躇したが(マニュアルや法ではこうした緊急時のベントは所定の手順として定められている)。この遅れが結果的に水蒸気爆発と多量の放射性物質撒き散らしを生む原因となった。

この時点でベントを速やかに実施していれば、現状はずっとましだった。この点だけは管首相は正しかった。
なぜか。

一つ目、圧力を下げ温度上昇を抑えることで水蒸気爆発や燃料棒破損が防げる。燃料棒が破損しない限りウランやプルトニウムはもちろん、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムの放射性同位体が漏れ出すことはない。それらは全て燃料棒の容器内にあるから。

二つ目、燃料棒が破損しない状態でも、ベントすれば放射性物質は漏れ出す。但しこのときに大気開放される放射性物質というのは原子炉内(燃料棒の中ではない。炉の中の蒸気や水にある)窒素が放射性同位体に変化したもの。半減期は1日にも満たないほど短いが放射能は強くないので実質的な被害は起きなかったはず。半減期の短さだけで考えたらとてつもない影響を与えるはずだかそうはならない。

ウランやプルトニウムが危険であること、プルトニウムの臨界量がウランに比べて小さく、コントロールが難しいというのはその通り。使用済燃料中にも2%程度のプルトニウムが含まれるのですが、だからといってウランを燃料とするように設計された原子炉でのプルサーマル運用が安全であるかどうかは充分に検証すべき(臨界コントロール以外にもプルトニウムを使うことによるリスクがある)。

でも、正しい知識を持って対応することは、無用なパニックを起こさないためにも大事なことではないでしょうか 。
辛口コメントでごめんなさい。
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2011/05/10 22:23
確かに、、損傷が一番酷いのは、3号機ですね。

とんでもない事態が、、実は進行してるのではないかと、いぶかりたくもなります。

ともかく、情報公開を、きっちりしてほしいですし、今後の、エネルギー転換を、真剣に考える必要があると

思いますね。




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